中央競馬のためにならない話

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師匠の馬限定・騎手の勝利数ランキング

中央競馬は3月が年度替わり。騎手では蛯名騎手と佐久間騎手が引退しましたが、代わって大人数、8人の騎手が週末デビュー予定。今年は二世騎手、三世騎手が多く、女性騎手も2人デビューと注目度が高いように思います。活躍を祈るばかりです。

実力未知数の新人騎手にとって、乗せてくれる所属厩舎の存在はありがたいもの。自厩舎のバックアップが不可欠、とまでは言わないですが、ないよりはあった方がいいはずです。昨年の新人で言えば、泉谷騎手が本田厩舎の大きな後押しによって出だし好調だったのと対照的に、原騎手が武井厩舎のバックアップに結果的に応えられず、何かトラブルがあったか、早々とフリーになって(現在は小桧山厩舎所属)今も苦戦気味。本田厩舎にしても、2010年に川須騎手が所属でデビューした時には川須騎手がデビュー年にフリー転向、以来両者のコンビは今日に至るまで10年以上実現していません。本田厩舎はそれこそ減量騎手なら東西問わず誰でも乗せるくらいの傾向がある厩舎*1なので、この断絶は本当に謎です。

そのような例を見るにつけ、各騎手は自厩舎でどのくらい優勝しているのか、最も勝利数の多い師弟は誰か、という興味から、中央競馬の年度の替わり目のこのタイミングで調べてみました。普段この手の紹介は1位から順に示すことが多いですが、今回はカウントダウンの形で示していきます。全員載せるので、表はいくつかに分けています。ルールは以下としています。

・調査対象は1986年以降に初騎乗した、JRA騎手免許を取得した騎手全員。地方・海外からの移籍も含む。
・21/2/28終了時点の各騎手の、デビュー時所属厩舎とのコンビ勝利数(他厩舎所属後、フリー転向後も含む)を集計。
・デビュー時所属厩舎は、インターネットの情報やデビュー年の騎乗数上位厩舎を基に判断。このため、昔の騎手ほど間違えている可能性がある。誤りがあったらご指摘ください。修正します。
・地方・海外からの移籍騎手は、フリーとしてJRA騎手デビューした場合は除外。このため、岩田康騎手、小牧騎手、藤井騎手、デムーロ騎手、ルメール騎手は対象外。1986年以前に初騎乗だった安藤勝騎手も対象外。
・以上から最終的に集計したのは276人。
・表の「集計期間」列は騎手の初騎乗日以降、師匠か騎手のいずれかが引退するまでの日数を示す。騎手も師匠もいずれも現役の場合、現時点の最終開催日である21/2/28までの日数。地方からの移籍騎手は中央移籍後の初騎乗日からでカウント。
・表の「現役」列に印が付いているのは騎手も師匠もともに現役で、勝利数がさらに伸びる可能性がある。
・同順位の場合、デビューが早い順に示す。

<227~263位>(コンビ0~4勝)

順位優勝数騎手師匠集計期間現役
2630山本康志佐々木亜良5474
細江純子柳田次男1093
板倉真由子石栗龍雄1095
押田純子湯浅三郎1095
野崎孝郷原洋行1247
菊池憲太河野通文3738
大沢辰也増沢末夫563
岩崎祐己田中耕太郎340
草野太郎坂本勝美2088
池崎祐介池上昌弘2123
大江原圭作田誠二4385
菅原隆一保田一隆990
高嶋活士柴崎勇860
原優介武井亮364
2501森勝義久恒久夫1333
玉ノ井健志梶与四松934
今村康成古川平3651
田中亮田島良保2219
竹本貴志古賀史生27
川須栄彦本田優4005
山崎亮誠杉浦宏昭746
原田敬伍田所秀孝418
伴啓太伊藤伸一2913
服部寿希湯窪幸雄1093
大塚海渡木村哲也729
秋山稔樹蛯名利弘364
小林脩斗奥平雅士364
2452大森勇一鶴留明雄3889
井西泰政阿部新生236
水口優也加藤征弘4012
西村淳也田所秀孝1093
小林凌大小西一男729
2363鈴木慶太藤原辰雄6567
千葉直人成島英春2463
伊藤工真古賀史生4747
小野寺祐太伊藤正徳3651
国分優作国枝栄4382
西村太一和田正道2916
花田大昂西橋豊治1793
原田和真天間昭一3284
川又賢治森秀行1457
2274服部剛史梅田康雄2694
柄崎将寿尾形充弘3579
平沢健治稗田研二2943
南田雅昭加藤修甫1095
中井裕二長浜博之1823
岡田祥嗣笹田和秀2920
井上敏樹本間忍2556
三津谷隼人目野哲也1095
森裕太朗鈴木孝志1821

このゾーンは悪く言うと「師匠に恵まれなかった騎手」が多め。もちろん、その他の事情によってコンビ優勝が少なくなった騎手もいます。昨秋活躍していた秋山稔騎手のコンビ成績があまり伸びていないのが意外ですが、厩舎が年間一桁勝利の常連であまり勝っていないという要因もあるでしょうか。師弟で0勝という昨年で言う原騎手のパターンは、実は少なくないです。

<185~223位>(コンビ5~10勝)

順位優勝数騎手師匠集計期間現役
2235西原玲奈須貝彦三3648
高野和小桧山悟6203
宮崎北斗高市圭二4735
鷹野宏史二ノ宮敬宇1389
2136瀬古正明久保田敏夫5197
藤井正輝大久保正陽4307
内田博幸嶋田潤7554
荻野要増本豊5682
白坂聡鹿戸幸治2916
北村友一田島良保2757
安藤光彰菊川正達1826
藤田菜七子根本康広1821
山田敬士小桧山悟1093
団野大成斉藤崇史729
2067小谷祐司武宏平2872
田村真来奥平真治2008
高野容輔福永甲2920
南井大志橋田満3682
水出大介矢野進1455
田中克典山内研二2188
菅原明良高木登729
1998嶋田高宏清水利章4469
田口大二郎中野隆良2953
小林慎一郎中尾謙太郎1457
木幡初也鹿戸雄一2556
野中悠太郎根本康広2191
荻野極清水久詞1821
木幡育也藤沢和雄1457
1939矢原洋一大和田稔5110
黒岩悠吉岡八郎3285
松岡正海前田禎960
田村太雅佐藤正雄4378
城戸義政藤岡健一2920
亀田温心北出成人729
18510岩部純二成宮明光4378
仲田雅興新井仁1966
中谷雄太高松邦男4322
佐藤年毅中野隆良2492
赤木高太郎坪憲章2820
田中博康高橋祥泰4014
斎藤新安田隆行729
泉谷楓真本田優364

現役の師弟コンビが多く見られる範囲ですね。根本厩舎門下の野中騎手と藤田菜騎手がここで登場。いずれも騎乗数の割に多くない印象がありますが、後から出てくる兄弟子の丸山騎手がだいぶ上を行っているので、キャリアの差ももちろんあるでしょうが、厩舎の勝負は丸山騎手ということなのかも。泉谷騎手と本田厩舎は順調で、まだまだ勝ち星が伸びそうです。

<134~180位>(コンビ11~20勝)

順位優勝数騎手師匠集計期間現役
18011亀山泰延阿部新生4318
上野翔飯田雄三6202
船曳文士加用正1751
大下智梅内忍2919
横山和生勢司和浩3648
17612宗像徹笹倉武久5472
田村宏之秋山雅一2556
金子光希矢野進2918
義英真崎山博樹1734
17313郷原洋司田村駿仁4016
松田大作崎山博樹7943
加藤士津八国枝栄3227
17114荻野琢真大久保龍志5111
長岡禎仁小島茂之3284
16315小原義之増本豊7232
安田康彦宇田明彦1054
勝浦正樹久恒久夫1484
宇田登志夫福島勝3282
高井彰大新川恵2790
塚田祥雄藤沢和雄1821
黛弘人中野栄治5475
小崎綾也村山明2507
15616横山雄一谷八郎4382
江田勇亮矢野照正6208
竹之下智昭橋本寿正3729
蓑島靖典後藤由之3791
三浦皇成河野通文1304
平野優二ノ宮敬宇2857
武藤雅水野貴広1457
15017合谷喜壮島崎宏5498
宝来城多郎福島勝4746
川合達彦坂田正行3645
増沢由貴子増沢末夫4381
大庭和弥嶋田潤4776
中村将之谷潔5839
14718日吉正和湯浅三郎4523
池田鉄平浅野洋一郎4413
加藤祥太庄野靖志2191
14319北川和典領家政蔵4382
武英智領家政蔵4957
畑端省吾坂口正則6935
富田暁木原一良1457
13420武豊武田作十郎1825
白浜雄造浅見秀一8394
高橋智大大久保洋吉4621
梶晃啓稲葉隆一4379
田嶋翔大江原哲4430
五十嵐雄祐菅原泰夫5476
佐久間寛志鹿戸明4017
佐藤聖也根本康広1794
藤懸貴志平田修3648

武豊騎手が早くも登場。武田作厩舎には師匠が引退するまで5年間在籍していたわけですが、デビュー5年で既にトップ騎手になっていたことや、よく言われる師匠や兄弟子の河内騎手との関係性を考えると、自厩舎でこれしか優勝していないというのが意外です。所属期間は河内騎手の方がより勝っていただけに、兄弟子優先であったということでしょうか。この20勝というラインが全師弟の中央値くらいにあたります。加藤士騎手は国枝厩舎でかなり苦しんだイメージがありましたが、思ったより勝っていました。実は根本厩舎デビューという佐藤聖騎手もこのゾーンにいます。正直自厩舎でこんなに勝っていたとは意外でした。

<79~130位>(コンビ21~40勝)

順位優勝数騎手師匠集計期間現役
13021長峰一弘和田正道3135
丹内祐次清水美波3646
横山武史鈴木伸尋1457
岩田望来藤原英昭729
12822五十嵐久平井雄二2229
戸崎圭太田島俊明2920
12523高橋明境勝太郎2918
古川吉洋長浜博之7668
杉原誠人藤沢和雄3627
12424酒井学二分久男1095
12025鈴来直人平井雄二4308
石神深一成宮明光1823
小坂忠士境直行5110
北村浩平田所秀孝2850
11826村田一誠松永勇3651
嶋田純次手塚貴久3648
11327町田俊夫大久保良雄3652
町田義一田中和夫3528
青木芳之藤沢和雄6501
生野賢一音無秀孝2844
吉田隼人堀井雅広6203
11128高橋康之池江泰郎5593
金折知則内藤繁春2188
10929柴田未崎高木嘉夫3366
国分恭介五十嵐忠男4376
10630横田雅博二本柳一馬3647
柴原央明田中章博3651
森一馬松永昌博3648
10331村山明斉藤義美3650
大野拓弥杉浦宏昭5839
丸山元気根本康広4382
9832嘉藤貴行田中清隆7666
難波剛健高橋成忠3649
田中健浅見秀一5111
浜中俊坂口正大1458
高倉稜崎山博樹3190
9633久保田英敬田所秀雄2149
菊沢一樹菊沢隆徳1821
9534古川寛和二本柳俊夫4017
9435鮫島克駿浅見秀一2191
9236鮫島良太松田国英5839
和田翼河内洋2920
8937林満明吉田三郎3093
橋本美純松田博資6573
高田潤松田博資6204
8538牧田和弥中村好夫4015
植野貴也梅内忍7665
西田雄一郎境征勝6135
石橋脩柴田政人5843
8039浜野谷憲尚松永勇6206
水野貴広飯塚好次4381
小林久晃高橋祥泰6145
幸英明谷八郎1456
木幡巧也牧光二1821
7940長谷川浩大中村均3491

現役引退問わず、ある程度競馬をやっていれば知っている、というくらいの師弟が多く出てきます。岩田望騎手は自厩舎で21勝、デビュー当初は厩舎の強力なバックアップになかなか応えられませんでしたが今は重賞でもたびたび乗せてもらえるほどに。仮にフリーになっても良好な関係が続きそうです。戸崎騎手がこれだけ自厩舎に貢献しているのが意外な印象。中央騎手デビューから丸8年、今も所属しているというのも地方出身騎手としては異例の長さです。

<32~76位>(コンビ41~80勝)

順位優勝数騎手師匠集計期間現役
7642菊地昇吾鹿戸明6134
柴山雄一畠山吉宏5843
小島太一小島太4743
7543山本康二谷八郎2246
7244後藤浩輝伊藤正徳8398
伊藤直人小林常泰6437
西谷誠瀬戸口勉4379
7145石川裕紀人相沢郁2556
6846小林淳一佐藤林次郎2842
柴田大知栗田博憲8398
菱田裕二岡田稲男3284
6647横山義行加賀武見5843
川島信二安藤正敏2330
6048千田輝彦伊藤雄二6934
上村洋行柳田次男2555
常石勝義中尾正4015
穂苅寿彦和田正道5388
津村明秀鈴木伸尋6203
松山弘平池添兼雄4382
5949徳吉孝士内藤一雄5418
5550菊沢隆徳柄崎義信2917
山田泰誠田中良平2087
藤岡佑介作田誠二5841
藤岡康太宮徹5111
5451石山繁浜田光正5108
5354武士沢友治中野渡清一4981
5256寺島祐治沢峰次4742
4957佐伯清久高橋成忠5840
横山賀一奥平真治5022
4659田中勝春藤原敏文2749
沢昭典尾形充弘6512
丸田恭介宗像義忠5111
4660菊沢隆仁工藤嘉見2921
4561土谷智紀鈴木勝美7152
4463坂井瑠星矢作芳人1821
4366川田将雅安田隆行6202
4267藤原英幸仲住芳雄3282
4168吉永護元石孝昭4614
4070岸滋彦梅田康雄5437
3972藤田伸二境直行8764
3873小野次郎高松邦男7600
3577伊藤暢康大和田稔6635
高山太郎佐藤全弘5811
的場勇人的場均5475
3279塩村克己小林稔4376
四位洋文古川平5842
松若風馬音無秀孝2556

このあたりまで来ると自厩舎の存在がないとどうにもならなかったケースか、幅広く依頼を受けながら自厩舎との関係も良好なケースかの二極化が進んでいる印象です。現役では松若騎手と音無厩舎のコンビと坂井騎手と矢作厩舎のコンビが出色の伸びを示しており、最終的には歴代の中でもかなり上位のコンビになりそうです。矢作厩舎の場合、今年から古川奈騎手も所属になるので、そちらにどれだけ流れるかですね。1ヶ月半は坂井騎手が遠征なので、少なくともその間は古川奈騎手への全面的なバックアップが期待できます。

<1~31位>(コンビ81勝以上)

順位優勝数騎手師匠集計期間現役
3183内田浩一池江泰郎7320
2884清山宏明小原伊佐美3401
北沢伸也荻野光男3284
二本柳壮鈴木康弘5838
2785武幸四郎武邦彦4382
2687小池隆生太宰義人6589
2488武藤善則黒坂洋基5477
岡潤一郎安藤正敏1808
2390橋本広喜藤沢和雄4626
2294高橋亮橋口弘次郎5842
2195横山典弘石栗龍雄5113
2096田辺裕信小西一男6938
19101芹沢純一鹿戸幸治6934
18102蛯名正義矢野進7670
17105池添謙一鶴留明雄5113
16110江田照男田子冬樹6937
15114野元昭嘉野元昭5840
14116太宰啓介太宰義人3305
13118秋山真一郎野村彰彦6208
12126佐藤哲三吉岡八郎8031
11138渡辺薫彦沖芳夫6865
10146福永祐一北橋修二3650
9150小林徹弥目野哲也9125
8151熊沢重文内藤繁春5477
7175河北通小野幸治6868
6204北村宏司藤沢和雄8030
5211和田竜二岩元市三8033
4225飯田祐史飯田明弘7299
3262角田晃一渡辺栄5475
2275松永幹夫山本正司7304
1370吉田豊大久保洋吉7664

最上位はよく名の知れた師弟が並んでいます。トップ3は競馬を20年以上見ている方なら納得しかないメンバーでしょう。特に吉田豊騎手と大久保洋厩舎のコンビは圧倒的。現役ではかなりのペースで勝ち星を積み上げている松若騎手や坂井騎手すら現在のペースでは到底吉田豊騎手に及ばないだけに、史上最強の師弟と言って良さそう。これに迫る可能性があったのが岡騎手と安藤厩舎の師弟*2吉田豊騎手とほぼ同じペースで自厩舎の勝ち星を挙げており、夭逝が惜しまれます。現役トップのコンビは北村宏騎手と藤沢和厩舎。和田竜騎手と岩元厩舎のコンビまであと7つ、藤沢和厩舎の解散までのあと1年で抜けるでしょうか。

新人騎手にとって所属厩舎というのは本当に難しく、一概にたくさん勝っていればいいかというわけでもなく、名門藤沢和厩舎出身の騎手が全員大成したかと言うと必ずしもそうとは言いづらいですし、他にも馬主サイドの力が強めだとかえって自厩舎の管理馬の騎乗が少なめになる傾向も。その点、今年の新人騎手を受け入れる8厩舎はそこまで強い預託馬主が少なそう、あるいは新人を育てた実績がある等である程度信頼できるのでは、と思います。繰り返しになりますが、何とか活躍を、無事の成長を祈るばかりです。
…これを単純に勝利数だけではなく、騎乗数や重賞3着以内等で数値化して並べてみるとまた違った状況、本当にバックアップしていたかどうかが見えてくるように思いましたが、結局トップ3は変わらないでしょうね。興味のある方はやってみてください。

*1:開業以来、減量時代に依頼のなかった関西の騎手は北村友騎手、鮫島駿騎手、中井騎手、中村騎手、松山騎手くらい

*2:「迫る」と言ってもデビューは岡騎手の方が先なので、吉田豊騎手が追いつき追い越していったとする方が正しいのでしょうけど

中央獲得賞金不完全ランキング(現在の賞金で換算した場合)

アーモンドアイ号がヴィクトリアマイルを優勝して国内獲得賞金が10億円を突破したと報じられています。ご存知のように現在の獲得賞金ナンバーワンはキタサンブラック号で、長らく破られなかったテイエムオペラオー号の牙城を破ったわけですが、近年の目玉GI競走の賞金高騰(すべてのレースの賞金が上がっているわけではなく、むしろ一時期より下がっているレースもあります)もあり、獲得賞金上位馬は近年の馬が占めることがほとんど。賞金ランキングが話題になるたびに、「昔の名馬の賞金を現代の賞金に換算するとどうなるのか」という声も一定数上がります。

今回、Twitterのフォロワーさんからそのようなリプライをいただいたのと、戦績集計の素地はあったので、この機会に「戦績はそのままに、現在の賞金体系で集計したらどのような賞金ランキングになるか」をやってみることにしました。このようなことにどれだけの意味があるかというのはありますが、お示しする結果を見るとわかるように、実際の獲得賞金では量れない、過去の名馬の活躍の度合いを定量的に見る(過去のこの馬は現代のこの馬並みの活躍だった、等)には良いのではないかと思います。

本来年末なり、秋競馬の番組発表時点(一律今年の賞金が適用できる)なりの区切りでやった方がいいのでしょうが、上位には現役馬がほとんどいないので、変な時期にやるのはご了承くださると幸いです。また、あとで述べるように、都合により集計対象としたのは中央重賞競走のみです。交流重賞は含んでいないので、ダート馬が上位に進出するには厳しいものとなっています。オープン特別や新馬戦等の賞金も含まないので誤差があることをあらかじめご了承ください。さらに、処理量の関係でろくに再チェックせずに数字を出していますので、集計ミスが含まれている可能性があると留意ください。このあたりを考慮してタイトルも「不完全ランキング」としました。順位の厳密性よりは各馬だいたいこの位置、というお遊びくらいに思ってくださると、こちらとしてはありがたいです。

賞金の集計ルールは以下のように設定しました。細かい話なので、気になる方のみご確認ください。

・集計対象は中央重賞競走のみとする。85年以前の重賞は「優駿達の蹄跡」*1記載の中央重賞で集計。オープン特別や一般競走は含まないため、厳密な結果ではない。青葉賞チューリップ賞のように当初オープン特別だったレースは重賞昇格後のみが対象。
中央競馬の本賞金の考え方に則り、重賞5着以内の賞金を加算する。この結果、集計対象となったのは約11,600頭。
・同着賞金も現行のルールに則り反映させる。
・最近年の賞金を使用。番組と賞金が発表されている春夏開催は2020年の賞金、秋開催は2019年の賞金。今年賞金が上がった大阪杯高松宮記念安田記念中山記念金鯱賞は今年の賞金。一時期に比して賞金が減ったレースも現行賞金とする。
・グレードが変わった重賞の場合、グレード変更前の賞金は現行の同グレード類似条件を準用。例えば、GII時代のフェブラリーSはGII相当の賞金、GIII時代はGIII相当の賞金とし、GIの賞金を適用しない。ただし、ホープフルS(GII)は重賞化当初から賞金がGI並み(通常の2歳GIIの倍近く)だったので、GIと同賞金にする。
・「同グレード類似条件」は同じグレードでも芝ダ障の別、牝限か否かの別、2歳3歳古馬の別、距離体系で賞金が異なるため、それを考慮する。例えば、GIIのフェブラリーSには古馬芝GIIの賞金(同じ芝でも多少の違いはある)を適用するのではなく、古馬ダートGIIの東海Sの賞金を適用する。
・85年以前は86年のグレードを準用。例えば85年以前の弥生賞セントライト記念GIII扱い(86年までGIII、87年からGII)とする。
・ノングレード重賞はGIIIとし、現行の同グレード類似条件を準用。
・ジャンプグレード導入前の障碍重賞は中山大障害春・中山大障害秋をGIとする。また、阪神障害S春、東京障害特別春、京都大障害秋をGIIとする(GII競走である阪神スプリングジャンプ東京ハイジャンプ(ジャンプグレード導入当時は春)、京都ハイジャンプ(当時は秋)の代替)。それ以外はGIII
阪神3歳S阪神JFの賞金を用いる。
フェアリーSは2歳12月に施行されていた時期も3歳牝限GIIIの賞金とする。
・3歳限定のエリザベス女王杯秋華賞の賞金を適用。
・東京開催のマイルチャンピオンシップ南部杯、京都開催のJBC3競走は当時の賞金のままとする。
・アラブの競走はサラ系競走に比べ賞金が全然違う(安い)ので細かい設定を諦め、セイユウ記念やタマツバキ記念の95年(最終年)の賞金を芝ダ障によらずすべての年に割り当てる。
・今年グレードが上がる富士SGIIIとして集計する。

上位50頭の結果は以下のとおりです。「換算賞金」が現在の賞金で重賞戦績を手集計した結果、単位万円。「実際の本賞金」が賞金ランキング等で表に出る数字と思ってください(こちらには一般競走の結果も含みます)。

順位馬名換算賞金実際の本賞金
1テイエムオペラオー210,600175,787
2キタサンブラック184,300181,320
3シンボリルドルフ175,80068,482
4スピードシンボリ172,17016,321
5オグリキャップ165,50088,830
6ディープインパクト162,500132,400
7ブエナビスタ155,600130,580
8オルフェーヴル152,650122,220
9ゴールドシップ151,770130,820
10ジェンティルドンナ151,330125,190
11ウオッカ143,600123,200
12スペシャルウィーク140,600102,400
13ゼンノロブロイ134,100108,680
14シンボリクリスエス125,30095,550
15メジロマックイーン119,00099,810
16ナリタブライアン118,25089,510
17シンザン115,6006,022
18ハクチカラ113,7701,657
19タップダンスシチー112,830106,880
20リユウフオーレル110,2703,868
21ダイワメジャー109,27094,540
22テンポイント108,70032,842
23メイショウサムソン108,40098,150
24アンバーシャダイ105,50046,205
25グラスワンダー104,27067,740
26カネミノブ103,99034,056
27グリーングラス102,10032,845
28ナリタトップロード100,83092,270
29エアグルーヴ99,80078,350
30ドリームジャーニー99,73083,520
31トウカイテイオー99,20060,470
32メイショウドトウ96,30090,900
33トウショウボーイ94,90028,077
34カンパニー94,72092,340
35マヤノトップガン94,30075,309
36シュヴァルグラン94,11099,020
37アーモンドアイ94,10094,380
38ダイワスカーレット93,80074,400
39シーザー93,0502,731
40ミホシンザン92,98048,468
41メジロブライト92,30081,130
42ビワハヤヒデ91,70081,740
43ニッポーテイオー91,05054,499
44カブトシロー91,0057,381
45スワーヴリチャード89,10087,310
46カツラギエース88,30041,068
47メジロアサマ87,65018,737
48リスグラシュー86,88086,560
49ハイセイコー85,80021,957
50ヒシアマゾン84,97068,690

※「実際の本賞金」の集計結果はTARGET frontier JV(元データはJRA-VAN DataLab.)によるJRA本賞金。86年以前も走った競走馬の賞金はWikipediaを参照(付加賞金等が含まれている?)、万円未満四捨五入。

当然ながら、有馬記念ジャパンCのような、現在1着賞金がすごいことになっているレースで活躍した過去の名馬が上位に進出する結果となりました。
予想はされましたが、1位はやはりテイエムオペラオー号。現代の賞金にすると20億円どころか21億円ホースになってしまいます。2位はキタサンブラック号。最近の馬なのでほぼ誤差がないですが、3位以下の過去の名馬より上にいるのはさすがの実績。以下は意外と最近の馬が多いです。昔に比べて重賞の整備が進み、今回の集計方法だと賞金を加算できるレースが多いというのも一因でしょう。そんな中にあって上位に食い込んでいるシンボリルドルフ号、スピードシンボリ号、オグリキャップ号は、各馬の実績がキタサンブラック号やディープインパクト号に比肩するものであったと実感できます。この3頭はいずれも有馬記念を2勝しているのも集計上大きなポイントですね。
現役でアーモンドアイ号に次ぐのはオジュウチョウサン号ですがそれでも93位、平地の現役馬となると157位のブラストワンピース号まで下がることになります。

牝馬を抽出して換算賞金上位20頭を見ました。

順位馬名換算賞金
1ブエナビスタ155,600
2ジェンティルドンナ151,330
3ウオッカ143,600
4エアグルーヴ99,800
5アーモンドアイ94,100
6ダイワスカーレット93,800
7リスグラシュー86,880
8ヒシアマゾン84,970
9トウメイ80,700
10ホマレボシ76,240
11スイープトウショウ75,340
12メジロドーベル70,360
13スウヰイスー59,030
14ダンスパートナー57,700
15ショウナンパンドラ57,450
16タカハタ56,400
17クインナルビー55,600
18アパパネ54,520
19ダンスインザムード54,400
20パスポート54,190

牝馬20位のパスポート号で、全体の166位に位置しています。近年の歴戦の名牝たちは、過去と比べても圧倒的だということがよくわかります。トウメイ号やホマレボシ号は有馬記念を優勝しているので、それが上位進出の原動力になっています。
アーモンドアイ号以外の現役ではラッキーライラック号がパスポート号のすぐ下におり、以前実績についてTwitterでも述べましたが、歴々の名牝に肩を並べるところまで来ています。

障碍重賞の結果のみを抽出して上位20頭を見ました。

順位馬名換算賞金
1オジュウチョウサン70,040
2バローネターフ47,900
3グランドマーチス44,870
4アップトゥデイト42,920
5ポレール36,220
6コウエイトライ33,640
7ゴーカイ32,220
8キングジョイ31,670
9メルシーエイタイム30,270
10ファンドリナイロ30,160
11メジロアンタレス29,740
12フジノオー29,000
13ケイティタイガー28,600
14シンボリクリエンス27,060
15キングスポイント26,890
16オースミムーン25,670
17ライバコウハク25,610
18ブロードマインド24,450
19キョウエイウオリア23,850
20パンフレット23,690

障碍競走の獲得賞金は平場オープンやオープン特別の賞金の有無でけっこう変わってくるので、実際との乖離は平地の上位馬以上に大きくなります。
今回の集計スタイルでも史上最強ジャンパーのオジュウチョウサン号が貫録のトップ。出走レースの多くが重賞で、賞金をほとんど加算できたことも大きいです。獲得賞金約5億円のゴーカイ号や4.5億円のコウエイトライ号が思ったほど上位にいないのは、平場OPやOP特別が加算されていないこともありますが、現役時の賞金が現在より高かったため、現在の賞金で計算するとかえって目減りするというのも一因としてあります。オジュウチョウサン号に次ぐ現役ではシンキングダンサー号が障碍界で54位、上位を脅かすにはまだまだです。

これ以上の細かい分析についてはとりあえず措きます。賞金が大きく変更になった場合にまたできたら…というのはありますが、そういう変更が簡単に適用できない集計方法をとってしまったので、一回きりの集計になると思います。もっとも、ジャパンC有馬記念が1着5億円くらいにならない限り、傾向としては大きく変わらないでしょう。上位陣の壁はなかなか厚く、現役最高賞金のアーモンドアイ号もまだこの位置。先々上位に食い込む馬は出てくるでしょうか。

*1:https://ahonoora.com/ いつもお世話になっております

新人騎手の北海道開催騎乗成績

新人騎手がデビューしておよそ5ヶ月。今年の新人騎手は見事なスタートダッシュを見せた 斎藤騎手を筆頭に、なかなか粒揃いの印象。夏競馬が始まって、東西主場で騎乗している新人騎手は岩田望騎手以外やや苦しんでいるように映りますが、目下元気なのが北海道シリーズ参戦組です。
特に6勝を挙げた団野騎手、4勝ながら3着が9回の菅原明騎手には馬券的にお世話になった競馬ファンも多そう。団野騎手は藤沢和厩舎からの依頼も受けるようになり、北海道続戦なら続く札幌開催でますますの飛躍を予感させます。ちなみに、先週団野騎手がレッドサイオン号で挙げた勝利は、藤沢和厩舎の30年以上、通算1,500勝にも届こうかというキャリアの中で、厩舎初の「関西の3kg減騎手による平場優勝」。また、団野騎手の藤沢和厩舎の管理馬への騎乗数(3鞍)は、既に関西の3kg減騎手の平場最多騎乗数(これまで2鞍が最高)となっています。

さて、函館開催を終えての団野騎手の成績は60鞍騎乗で6勝、勝率はちょうど10%。これは新人騎手の北海道開催の成績としてはけっこういいのでは?と思ったので、一通り調べてみました。
調べた対象は、86年以降デビューの競馬学校卒業騎手のうち、デビュー年に北海道開催で騎乗した全騎手。2年目の年に初めて北海道に来た、というような例は除き、あくまでデビューした年に騎乗した例のみです。この成績を函館、札幌、北海道合計で見て、参考に勝率も併記しました。北海道シリーズは97年に開催順が札幌→函館から函館→札幌になっているので、整理表は96年以前と97年以降の2つとしています。本来は他にどんな騎手が騎乗していたか、例えば去年の札幌はモレイラ騎手が騎乗していたから仕方ない、というような他者を要因とした成績への影響もあるでしょうが、考えたらキリがないのでここでは無視して、純粋に個々の成績がどうだったかで見ています。

騎手札幌函館合計
成績勝率成績勝率成績勝率
1986松永幹夫(10.7.8.59)11.9%(8.13.10.44)10.7%(18.20.18.103)11.3%
横山典弘(4.2.3.24)12.1%(2.4.5.23)5.9%(6.6.8.47)9.0%
森勝義騎乗なし(0.0.0.5)0.0%(0.0.0.5)0.0%
1987塩村克己騎乗なし(7.4.2.25)18.4%(7.4.2.25)18.4%
長峰一弘騎乗なし(0.3.4.11)0.0%(0.3.4.11)0.0%
合谷喜壮(0.0.1.43)0.0%騎乗なし(0.0.1.43)0.0%
1988岡潤一郎(6.14.15.50)7.1%(4.3.4.22)12.1%(10.17.19.72)8.5%
菊沢隆徳(3.3.6.36)6.3%(4.7.12.31)7.4%(7.10.18.67)6.9%
千田輝彦(3.2.2.38)6.7%(3.1.3.27)8.8%(6.3.5.65)7.6%
内田浩一騎乗なし(3.3.3.29)7.9%(3.3.3.29)7.9%
横田雅博(0.0.0.12)0.0%(2.1.1.22)7.7%(2.1.1.34)5.3%
1989角田晃一開催なし(12.7.8.44)16.9%(12.7.8.44)16.9%
佐藤哲三(4.5.13.45)6.0%(4.5.13.45)6.0%
山田泰誠(4.5.9.32)8.0%(4.5.9.32)8.0%
高橋明(0.2.0.5)0.0%(0.2.0.5)0.0%
小野次郎(0.0.1.6)0.0%(0.0.1.6)0.0%
1990小原義之(5.5.4.64)6.4%(0.2.1.8)0.0%(5.7.5.72)5.6%
北沢伸也(3.1.2.14)15.0%(1.6.3.27)2.7%(4.7.5.41)7.0%
久保田英敬(4.1.1.28)11.8%(0.0.2.9)0.0%(4.1.3.37)8.9%
玉ノ井健志(0.2.3.29)0.0%(1.3.5.31)2.5%(1.5.8.60)1.4%
1991橋本広喜騎乗なし(8.10.7.28)15.1%(8.10.7.28)15.1%
藤田伸二騎乗なし(4.0.2.35)9.8%(4.0.2.35)9.8%
徳吉孝士(2.4.4.40)4.0%(1.1.3.15)5.0%(3.5.7.55)4.3%
四位洋文(0.4.3.29)0.0%(1.2.0.3)16.7%(1.6.3.32)2.4%
河北通騎乗なし(1.2.2.13)5.6%(1.2.2.13)5.6%
1992横山義行(4.5.8.50)6.0%(7.9.4.43)11.1%(11.14.12.93)8.5%
吉永護(1.3.1.35)2.5%(1.1.2.9)7.7%(2.4.3.44)3.8%
後藤浩輝騎乗なし(2.0.3.15)10.0%(2.0.3.15)10.0%
1993亀山泰延騎乗なし(5.7.3.25)12.5%(5.7.3.25)12.5%
飯田祐史騎乗なし(4.3.7.41)7.3%(4.3.7.41)7.3%
川合達彦騎乗なし(4.3.0.17)16.7%(4.3.0.17)16.7%
藤井正輝(1.0.1.34)2.8%(3.0.4.23)10.0%(4.0.5.57)6.1%
小林徹弥(2.4.3.22)6.5%(0.0.2.2)0.0%(2.4.5.24)5.7%
1994菊地昇吾(5.5.4.41)9.1%(4.2.3.29)10.5%(9.7.7.70)9.7%
岩部純二(3.1.3.38)6.7%(0.2.1.28)0.0%(3.3.4.66)3.9%
吉田豊(0.3.5.62)0.0%(0.4.6.28)0.0%(0.7.11.90)0.0%
小林久晃騎乗なし(0.0.0.3)0.0%(0.0.0.3)0.0%
1995石山繁(2.1.3.27)6.1%(0.0.0.4)0.0%(2.1.3.31)5.4%
青木芳之(0.1.0.18)0.0%(1.3.3.28)2.9%(1.4.3.46)1.9%
野元昭嘉(1.0.0.3)25.0%騎乗なし(1.0.0.3)25.0%
1996田村真来騎乗なし(0.0.0.3)0.0%(0.0.0.3)0.0%

騎手函館札幌合計
成績勝率成績勝率成績勝率
1997池田鉄平(3.2.1.37)7.0%(1.0.5.52)1.7%(4.2.6.89)4.0%
武士沢友治騎乗なし(0.1.2.42)0.0%(0.1.2.42)0.0%
1998太宰啓介(11.8.5.73)11.3%騎乗なし(11.8.5.73)11.3%
荻野要(4.6.2.46)6.9%(2.4.10.58)2.7%(6.10.12.104)4.5%
1999二本柳壮(1.2.8.38)2.0%(6.3.6.63)7.7%(7.5.14.101)5.5%
高田潤騎乗なし(2.4.1.35)4.8%(2.4.1.35)4.8%
菊池憲太(0.0.3.14)0.0%騎乗なし(0.0.3.14)0.0%
2000小林慎一郎(2.2.3.38)4.4%(5.0.8.43)8.9%(7.2.11.81)6.9%
梶晃啓(1.4.2.51)1.7%(4.4.1.52)6.6%(5.8.3.103)4.2%
田嶋翔(2.1.3.41)4.3%(0.0.0.5)0.0%(2.1.3.46)3.8%
鈴来直人騎乗なし(0.1.0.13)0.0%(0.1.0.13)0.0%
2001川島信二騎乗なし(2.3.5.48)3.4%(2.3.5.48)3.4%
大沢辰也(0.0.0.17)0.0%騎乗なし(0.0.0.17)0.0%
2002南井大志(3.1.1.19)12.5%騎乗なし(3.1.1.19)12.5%
2003長谷川浩大(7.7.8.57)8.9%(3.0.1.18)13.6%(10.7.9.75)9.9%
石橋脩(1.2.5.53)1.6%(7.4.1.57)10.1%(8.6.6.110)6.2%
北村浩平(4.5.4.74)4.6%(3.10.4.57)4.1%(7.15.8.131)4.3%
高井彰大騎乗なし(2.4.7.32)4.4%(2.4.7.32)4.4%
鈴木慶太(0.0.0.15)0.0%(0.0.2.35)0.0%(0.0.2.50)0.0%
2004藤岡佑介(6.4.6.71)6.9%(3.6.8.53)4.3%(9.10.14.124)5.7%
津村明秀(2.1.2.28)6.1%(0.2.1.46)0.0%(2.3.3.74)2.4%
丹内祐次騎乗なし(2.1.0.6)22.2%(2.1.0.6)22.2%
高野和(1.1.4.22)3.6%(0.1.0.21)0.0%(1.2.4.43)2.0%
2005大野拓弥(4.2.3.28)10.8%(1.3.4.58)1.5%(5.5.7.86)4.9%
塚田祥雄(1.2.2.22)3.1%(3.3.1.13)15.0%(4.5.3.35)8.5%
小島太一(1.4.4.23)3.1%(2.2.1.23)7.1%(3.6.5.46)5.0%
2006的場勇人(1.1.1.34)2.7%(4.2.4.72)4.9%(5.3.5.106)4.2%
北村友一(2.5.2.38)4.3%騎乗なし(2.5.2.38)4.3%
黛弘人(1.0.1.50)1.9%(0.0.3.45)0.0%(1.0.4.95)1.0%
千葉直人騎乗なし(0.0.3.23)0.0%(0.0.3.23)0.0%
2007草野太郎騎乗なし(2.1.0.18)9.5%(2.1.0.18)9.5%
丸田恭介(1.0.0.27)3.6%(0.3.1.27)0.0%(1.3.1.54)1.7%
池崎祐介(0.0.0.2)0.0%(0.0.0.7)0.0%(0.0.0.9)0.0%
2008三浦皇成(18.21.10.114)11.0%(23.11.19.84)16.8%(41.32.29.198)13.7%
大江原圭(0.0.0.30)0.0%(0.0.1.11)0.0%(0.0.1.41)0.0%
2009丸山元気開催なし(3.4.6.80)3.2%(3.4.6.80)3.2%
小野寺祐太騎乗なし(1.0.3.57)1.6%(1.0.3.57)1.6%
国分優作騎乗なし(0.1.3.56)0.0%(0.1.3.56)0.0%
2010西村太一(3.2.1.62)4.4%(1.2.3.44)2.0%(4.4.4.106)3.4%
川須栄彦騎乗なし(4.1.3.35)9.3%(4.1.3.35)9.3%
2011杉原誠人(1.1.0.17)5.3%騎乗なし(1.1.0.17)5.3%
横山和生騎乗なし(1.0.1.25)3.7%(1.0.1.25)3.7%
2012菱田裕二(2.4.1.37)4.5%(4.2.6.50)6.5%(6.6.7.87)5.7%
長岡禎仁(0.1.0.2)0.0%(0.0.0.4)0.0%(0.1.0.6)0.0%
2013伴啓太(4.3.6.72)4.7%開催なし(4.3.6.72)4.7%
城戸義政(2.7.1.66)2.6%(2.7.1.66)2.6%
2014小崎綾也(7.1.5.64)9.1%(8.9.9.69)8.4%(15.10.14.133)8.7%
井上敏樹(1.1.4.54)1.7%(2.2.3.59)3.0%(3.3.7.113)2.4%
2016坂井瑠星(6.5.4.64)7.6%(4.5.7.72)4.5%(10.10.11.136)6.0%
菊沢一樹(0.0.0.20)0.0%騎乗なし(0.0.0.20)0.0%
2017横山武史(4.4.5.44)7.0%(3.6.5.65)3.8%(7.10.10.109)5.1%
2018西村淳也(1.7.7.37)1.9%騎乗なし(1.7.7.37)1.9%
2019団野大成(6.3.2.49)10.0%未騎乗(6.3.2.49)10.0%
菅原明良(4.2.9.58)5.5%(4.2.9.58)5.5%
亀田温心(2.1.2.40)4.4%(2.1.2.40)4.4%
斎藤新(0.0.0.6)0.0%(0.0.0.6)0.0%
大塚海渡(0.0.0.1)0.0%(0.0.0.1)0.0%

ぱっと見で読み取れると思いますが、デビュー年に北海道で騎乗して勝率10%に達する例は稀。新人騎手の北海道勝率10%は、見るからにエグい*1成績を残した三浦騎手以来11年ぶりのことです。ある程度騎乗した上で北海道勝率10%以上を記録した新人騎手の多くが、その後GIや重賞で活躍しているだけに、北海道開催スタートまで2勝と苦しんだ団野騎手もきっかけを掴んでいるなら先々明るいかもしれません。
開催の勝利数としても、北海道前半の開催で6勝した例はあまりなく、これだけ勝てれば上々という印象。近年函館で6勝以上した騎手だと坂井騎手、小崎騎手、三浦騎手、藤岡佑騎手、長谷川騎手ですか。その後の成績にやや幅はあるものの、彼らくらいの活躍は見込めそうです。
ほか滞在している菅原明騎手、亀田騎手は過去と比較しても水準程度でしょうか。菅原明騎手は札幌続戦とした場合、函館で勝ち切れなかった馬への継続騎乗がかなえば、成績が上がりそう。亀田騎手は現状人気馬での上位進出がほとんどで穴馬を持ってこられていないので、水準程度とはいえ少し気になるところです。

このように並べてみると、新人騎手のその後の活躍は夏競馬の成績とある程度の相関がありそうですね。勝率10%、開催半分で5,6勝というのがひとつの基準になるのではないでしょうか。東西主場でも同様の傾向になるかは見てみないとわかりません(そして実際に確認する意欲はあまりない)が、少なくとも北海道開催ではこのようなことが言えそうです。

それにしてもこう見ると騎乗数、勝利数とも断トツの三浦騎手が本当に際立っています。いまだ中央GIの優勝がない、高額条件でいまいち目立たないなど揶揄されがちな騎手ではありますが、20代のうちに800勝近く挙げられそうなのは立派。若手が育ちにくい関東において、ここ15年くらいでの最高傑作であることは疑いようがないと思います。デビュー年に北海道開催で40勝を挙げる騎手など、この先出ないのではないでしょうかね。

*1:あまりこういう表現は使うべきではないのでしょうが、他と比較しての印象が「エグい」以外の何物でもなかったので…