3月に入りました。今週末はチューリップ賞に弥生賞、桜花賞や皐月賞のトライアルレースがスタートということで、熱い季節が刻一刻と近づいています。
さて、桜花賞や東京優駿への出走が、騎手、調教師、馬産地にとっての憧れ・目標となる舞台であることはご存知の通りですが、それは一口馬主・POGなど、応援している3歳馬を持つ競馬ファンにとっても同じ思いでしょう*1。本番までに重賞を勝っている、トライアルで権利を獲っているなら出走には問題ないですけど、それ以外のメンバーは純粋に収得賞金順で出走の可否が決まります。そこで、例年春の三冠レースはどのくらいの収得賞金があれば出走できるのか、過去10年をサンプルに拾ってみました。
以下に、桜花賞・皐月賞・優駿牝馬・東京優駿それぞれの、過去10年の出走馬の中の最低収得賞金(トライアルで権利を得た馬は除く)を示します。最低収得賞金の馬は抽選で滑り込むことも多いので、JRA公式HPから除外馬がわかる2002年以降については、抽選の倍率というか何頭が出馬投票して何頭が通ったかも併せて示しました。
桜花賞
年 | 収得賞金 | 出走枠数 | 抽選倍率 | 該当馬 |
---|---|---|---|---|
2000 | 800 | 2 | − | パールビコー・マヤノメイビー |
2001 | 800 | 5 | − | タケイチイチホース・ツァリーヌ・フィールドサンデー・ムーンライトタンゴ・マイネカプリース |
2002 | 800 | 2 | 2/3 | アイノブリーズ・マチカネテマリウタ |
2003 | 1,050 | 2 | 無抽選 | シーイズトウショウ・トーホウアスカ |
2004 | 800 | 1 | 1/3 | エイシンヘーベ |
2005 | 1,200 | 2 | 無抽選 | ジョウノビクトリア・テイエムチュラサン |
2006 | 1,050 | 1 | 1/2 | ウエスタンビーナス |
2007 | 1,350 | 1 | 無抽選 | ローブデコルテ |
2008 | 1,350 | 2 | 無抽選 | エーソングフォー・ポルトフィーノ |
2009 | 1,200 | 2 | 2/3 | ショウナンカッサイ・ルシュクル |
かつては新馬・未勝利勝ち→500万下勝ちの2勝馬、現在の収得賞金にして900万円の馬にも出走のチャンスはありましたが、近年はそのボーダーが上がっているのがよくわかります。1,350万円(1勝+3歳OP特別勝ち)が一応大丈夫というレベルで、出走権確実とするには1,500万円くらいが必要です。現時点だと1,350万のエーシンリターンズ号やワイルドラズベリー号が当落線上、1,200万のカレンナホホエミ号やパリスドール号、モトヒメ号あたりが抽選対象になるかどうか、というところでしょうか。それにしても2001年は800万から5頭も出られるなんてボーダーが低いなあ…と思いきや、その中からムーンライトタンゴ号が2着になっているのですからわからないものですね。
皐月賞
年 | 収得賞金 | 出走枠数 | 抽選倍率 | 該当馬 |
---|---|---|---|---|
2000 | 800 | 2 | − | ニシノアラウンド・マイネルチャージ |
2001 | 800 | 7 | − | カオリジョバンニ・カシマサキモリ・シュアハピネス・スキャンボーイ・ダークウィザード・テイエムゴーカイ・ミヤビリージェント |
2002 | 800 | 2 | 2/7 | ノーリーズン・マイネルリバティー |
2003 | 800 | 2 | 無抽選 | ダイワセレクション・ブラックカフェ |
2004 | 1,750 | 1 | 無抽選 | メイショウムネノリ |
2005 | 1,200 | 2 | 無抽選 | シックスセンス・ストラスアイラ |
2006 | 1,150 | 1 | 無抽選 | ダイアモンドヘッド |
2007 | 900 | 1 | 1/3 | ブラックシャンツェ |
2008 | 1,200 | 1 | 無抽選 | ベンチャーナイン |
2009 | 900 | 1 | 1/5 | サトノロマネ |
皐月賞は2004年だけやたらボーダーが上がりました(通常出られる収得賞金1,600万円のタマモホットプレイ号が除外)が、基本的には1,200万円、1勝+重賞2着あるいは1勝+2歳時OP特別勝ちくらいの成績で出走が可能となります。最近も2勝馬がたびたび出られていますが、抽選枠は毎回狭いので、やはり1,200〜1,350万は欲しいところです。今年の牡馬は収得賞金1,200万以上の馬が既に約30頭、その中に短距離馬やダート馬があまりいない(バーディバーディ号もクラシック路線のようですし)だけにもう少しボーダーが上がるかもしれません。現時点での評判が高いアリゼオ号、リルダヴァル号もより確実に出走するためには権利獲りが必要でしょう。
優駿牝馬
年 | 収得賞金 | 出走枠数 | 抽選倍率 | 該当馬 |
---|---|---|---|---|
2000 | 800 | 2 | − | スギノフォルモーザ・リビングデイライツ |
2001 | 800 | 4 | − | アデレードシチー・サマーキャンドル・ブライアンハニー・モットヒカリヲ |
2002 | 800 | 1 | 1/2 | ビューティマリオン |
2003 | 800 | 2 | 2/3 | アイシースズカ・コインオブスター |
2004 | 400 | 2 | 2/4 | シルキーフレンド・ラグレスロマニー |
2005 | 400 | 2 | 2/8 | ピューマカフェ・ヤマニンアリエル |
2006 | 800 | 3 | 3/4 | キープユアスマイル・マイネジャーダ・ブルーメンブラット |
2007 | 400 | 4 | 4/8 | ウィンナワルツ・スマートストーム・ラストベガ・レインダンス |
2008 | 1,050 | 2 | 無抽選 | シャランジュ・ジョイフルスマイル |
2009 | 400 | 1 | 1/4 | ルージュバンブー |
優駿牝馬は春の3歳牝馬の2400mということで、距離不安があるのか、賞金が足りていても出走しない陣営が多いんですよね。ローテーションが多少厳しくなるにせよ、NHKマイルカップという受け皿があるのも理由の一つでしょう。ということで、ボーダーラインも下がっています。2008年だけ少し高めですが、新馬未勝利戦を勝ったばかりの1勝馬も抽選をクリアすれば出られるのが最近の傾向。2勝して出馬投票すればほぼ出走可能、1,000万あれば当確レベルです。桜花賞の傾向と併せて今年で言うと、収得賞金1,000万円のベストクルーズ号は、現状では権利を獲らないと桜花賞は苦しいが、優駿牝馬なら直行でもほぼ確実に出走できる、という感じ。
東京優駿
年 | 収得賞金 | 出走枠数 | 抽選倍率 | 該当馬 |
---|---|---|---|---|
2000 | 1,620 | 1 | − | クリノキングオー |
2001 | 1,350 | 1 | − | マイネルライツ |
2002 | 1,750 | 3 | 3/4 | ゴールドアリュール・サスガ・モノポライザー |
2003 | 1,500 | 1 | 無抽選 | チャクラ |
2004 | 2,000 | 2 | 無抽選 | アドマイヤビッグ・マイネルマクロス |
2005 | 1,350 | 1 | 無抽選 | アドマイヤフジ |
2006 | 1,750 | 2 | 2/4 | ナイアガラ・パッシングマーク |
2007 | 2,000 | 1 | 無抽選 | ゴールドアグリ |
2008 | 2,100 | 1 | 無抽選 | レッツゴーキリシマ |
2009 | 2,400 | 1 | 無抽選 | アイアンルック |
さすがホースマンの夢舞台だけあって、他の春の3歳GIとはボーダーが違いすぎます。ボーダーラインが高いので、抽選が発生しないことも多いですね。並べてみると、去年のボーダーが例年以上に高く、重賞で勝利していたアントニオバローズ号やアイアンルック号の陣営すら「出られないかも」と思っていたのも頷けます。例年の傾向でいけば、2,000万が一つのラインになるでしょうか。2,000万のシャイン号で当落線上、2,350万のガルボ号やネオヴァンドーム号はまず大丈夫かな?と思われます。シャイン号にしてもオープン特別を勝利したうえに重賞2着もあるんですけどねえ。ハードルが高い。
実際のところ、東京優駿については今年からトライアルの優先出走枠が変更になっている*2ため、今年からのボーダーラインの傾向は変わるかもしれません。ただ、優先出走枠が減少するので、収得賞金400万の馬に出走枠を埋められる、という事態が減ると思われます。というか、皐月賞3着あるいは4着でなければ収得賞金400万の馬は出走できないということになりますね。ならばボーダーラインは上がるというより、やや下がるか横ばいか、くらいではないでしょうか。いずれにしても上記に示した賞金が一つの目安になることでしょう。