少し遅くなりましたが、標題企画を今年もやります。まず昨年の予測の答え合わせから。まず問題なく生き残れるであろうと見た丸山騎手ですが、ローカルでは向かうところ敵なしの活躍ぶりで、念願の重賞優勝を果たし、特別競走もしっかり勝っていましたね。秋からは果敢に主場で騎乗、さすがに勝利ペースは落ちたものの、大きく負けることもなく、まずまず順調と言えるでしょう。国分恭騎手と松山騎手も大丈夫だろうと見ましたが、両名は昨年若干調子を落とした感じ。とはいえ大スランプというところまでは行かず、若干の伸び悩み程度でしょうか。松山騎手は年明けの小倉で息を吹き返したかのような活躍、ローカルに回れば減量がなくても上位というところを見せていますね。小野寺騎手は昨年も苦しく、このままジリ貧ということになりそう。国分優騎手に関しては完全な見込み違いで、栗東移籍が大成功ということに。減量ニーズが関西で多かったのはもちろんですが、それにしてもここまで勝つとは思いませんでした。1kg減でもそれなりにやれており、3月に減量が外れてもローカルならそこそこやれそうです。
さて、今年3年目となる騎手は川須騎手、高倉騎手、西村騎手、平野騎手、水口騎手、菅原騎手(通算勝利順)。彼らについて、将来を展望します。
わたしが勝手に提唱している若手騎手の生き残り条件の目安は以下の通りです。
- ・デビュー2年目を終えるまで(12月まで)に特別競走最低1勝、できれば2勝以上。
- ・特別競走の勝率・連対率・複勝率が、平場競走のそれに比べ、5〜7割程度で歯止めがかかっている。
- ・ただし、特別競走の勝率・連対率・複勝率が、平場競走のそれに比べて5割以下の項目がある場合は要注意。
これを各騎手の昨年までの戦績に照らし合わせてみます。
集計期間:2010. 3.13 〜 2011.12.25 ------------------------------------------------------------------------------- クラス 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値 ------------------------------------------------------------------------------- 川須騎手 平場 101- 79- 85- 59- 73- 643/1040 9.7% 17.3% 25.5% 78 90 特別 8- 6- 10- 16- 16- 141/ 197 4.1% 7.1% 12.2% 48 47 ------------------------------------------------------------------------------- 高倉騎手 平場 65- 63- 59- 54- 72- 828/1141 5.7% 11.2% 16.4% 60 61 特別 12- 6- 9- 9- 9- 170/ 215 5.6% 8.4% 12.6% 42 82 ------------------------------------------------------------------------------- 西村騎手 平場 23- 30- 21- 31- 48- 450/ 603 3.8% 8.8% 12.3% 46 56 特別 1- 1- 1- 0- 2- 20/ 25 4.0% 8.0% 12.0% 82 52 ------------------------------------------------------------------------------- 平野騎手 平場 22- 30- 37- 36- 32- 521/ 678 3.2% 7.7% 13.1% 42 78 特別 1- 1- 1- 1- 1- 42/ 47 2.1% 4.3% 6.4% 165 53 ------------------------------------------------------------------------------- 水口騎手 平場 6- 8- 13- 5- 17- 278/ 327 1.8% 4.3% 8.3% 24 86 特別 0- 0- 0- 0- 1- 9/ 10 0.0% 0.0% 0.0% 0 0 ------------------------------------------------------------------------------- 菅原騎手 平場 3- 4- 4- 4- 7- 231/ 253 1.2% 2.8% 4.3% 9 17 特別 0- 0- 0- 0- 0- 2/ 2 0.0% 0.0% 0.0% 0 0 -------------------------------------------------------------------------------
上位2名、中位2名、下位2名という感じではっきり分かれてしまいました。
川須騎手は昨年伸びに伸びて、先週ついに重賞優勝も果たした若手のホープ。減量が外れたばかりの時はスランプ気味でしたが、再度上昇気配です。勝率が10%近くあること、既に100勝を突破していることなど、申し分ない成績ではありますが、特別競走の成績が平場競走のそれに比べ大きく見劣るのが気になります。秋頃に一時的に参戦した主場でもスランプ時期と重なったとはいえほとんど歯が立たなかったわけで、ローカル中心ならそこまで気にするほどのことではないでしょうが、今後主場でやっていくのであれば注意といったところでしょうか。
高倉騎手は川須騎手の後塵を拝しているものの、例年の3年目騎手以上の成績は残しています。彼の場合、初年度の夏競馬で特別競走を3勝しているように、平場競走よりむしろ特別競走での活躍が目立っているように思えます。昨年末時点で特別競走12勝は堂々たるもの、これだけの勝ち星でありながら、勝率、連対率、複勝率のいずれも平場競走に比べて大きく見劣りする率ではありません。高倉騎手は所属先の崎山厩舎との関係がすこぶる良好で、それも好成績の一因ではありますが、一厩舎で勝てる数には限界があるわけで、自厩舎関係では平場13勝、特別4勝。そこまで依存しているわけではないですね。昨年の高倉騎手はやや壁にぶつかったようなところもありますが、ローカルなのか主場なのか、主戦場がはっきり定まらない中でもそれなりに結果を出しています。自力で減量を外すのは怪我でもない限り大丈夫でしょうし、特別競走の戦績から、減量がなくなってもやれるのではないかと考えます。
西村騎手と平野騎手は平場競走の成績も特別競走の成績も似通っています。ともに特別1勝で最低限の条件はクリア、平場競走と特別競走の比較でいっても、各率の低下度合いは許容範囲内と言えるでしょうが、いかんせん騎乗数が少なめで、素直に評価していいか微妙なところです。3年目はだいぶ慣れが見込める勝負の年ですが、両者とも1kg減までたどりつけるかどうか、というのが当面の目標というか注目になるのではないでしょうか。あと25勝ちょっとです。平野騎手は主場に軸足を置きつつこの成績で、勝手にヤングバトルシリーズでもそこそこ善戦したように、ローカル回りならもう少しやれる気はしますが、所属先の二ノ宮厩舎の都合に合わせて動いているところも多分にありますし、結局このまま主場中心でいくのでしょうかね。
水口騎手と菅原騎手、両者は美浦所属であるものの、騎乗馬以前に騎乗に恵まれず、騎乗機会を求めるような形で実質栗東留学状態。現在の依頼はほとんど関西からですが、昨年の国分優騎手のような勢いは感じられません。水口騎手は西園厩舎に目をかけてもらうなど、昨年の夏競馬のあたりから関西に名が知れてきた感じですが、その割に勝てないですね。最近は早くも騎乗数が減少気味で、ここで踏ん張れないと一気に苦しくなるかも。菅原騎手は屈辱の初年度未勝利から昨年3勝ですから、大進歩といえば大進歩なのですが、そこに至るまでの成績がひどかっただけで客観的に見ればまだまだ物足りない成績です。
ということでまとめです。
- ○川須騎手(ローカルを回るなら◎)
- ○高倉騎手
- △西村騎手
- △平野騎手(ローカルを回るなら▲)
- −水口騎手
- −菅原騎手
面白みのない推測になりました。ここまではっきり分かれると、こういう印にせざるを得ないですね…。個人的には、川須騎手には今一度主場で勝負してほしいです。一時的に稼げなくなるかもしれませんが、それは決して無駄にはならない、長期的に見たときには糧になってくれると思うので。もっともこれは外野の目であり、当事者にとってはローカルであっても貴重な成長の場なのかもしれませんけど。
<参考>
3年目騎手の将来を推測する:http://d.hatena.ne.jp/horsedata/20100105/p1
3年目騎手の将来を推測する2011:http://d.hatena.ne.jp/horsedata/20110126/p1