週末のマイルチャンピオンシップにテイエムアンコール号が登録しています。このテイエムアンコール号、前走は春の天皇賞…といっても半年前の天皇賞ではなく、2010年の天皇賞なので、実に2年半という出走間隔になります。いきなりGIというのはハードルが高く、出てきてもまず勝負にならなさそうですが、賞金別定競走では斤量が重くなりそうですし、一度使わなければハンデ競走にも出られない*1ためか、本日時点でどうも出走する方向のようです。
ここ数ヶ月、サンライズプリンス号、ジョウノボヘミアン号、コマノティブロン号など、2年以上休養していた馬がぽつぽつと出走していましたが、復帰初戦がGI、という例はあまりないように思います。そこで、長期休養明けでJRAのGI競走に出走した馬を挙げてみました。例によって1986年以降、1年以上の休養明けで拾っています。
馬名 | 復帰レース | 着順 | 前走 | 復帰後の主な戦績 |
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ゴールドウェイ | 870614 宝塚記念 | 13着 | 860216 京都記念 | 特になし |
アサヒエンペラー | 880429 天皇賞・春 | 13着 | 870429 天皇賞・春 | なし(復帰戦が最終出走) |
カシマウイング | 891224 有馬記念 | 10着 | 880918 オールカマー | 天皇賞・春3着、日経賞3着 |
ナイスナイスナイス | 911027 天皇賞・秋 | 16着 | 900429 天皇賞・春 | 特になし |
アズマイースト | 920517 安田記念 | 17着 | 901202 ディセンバーS | なし(復帰戦が最終出走) |
レオダーバン | 921227 有馬記念 | 13着 | 911103 菊花賞 | 特になし |
トウカイテイオー | 931226 有馬記念 | 1着 | 921227 有馬記念 | 有馬記念1着 |
ナリタタイシン | 950604 宝塚記念 | 16着 | 940424 天皇賞・春 | なし(復帰戦が最終出走) |
シンコウウインディ | 990613 安田記念 | 13着 | 970624 帝王賞 | 特になし |
プリモディーネ | 001112 エリザベス女王杯 | 16着 | 990530 優駿牝馬 | 特になし |
セイウンスカイ | 010429 天皇賞・春 | 12着 | 991031 天皇賞・秋 | なし(復帰戦が最終出走) |
アグネスフライト | 021027 天皇賞・秋 | 15着 | 010401 大阪杯 | 特になし |
サンライズペガサス | 031102 天皇賞・秋 | 6着 | 021027 天皇賞・秋 | 毎日王冠1着、大阪杯1着、中京記念2着 |
ヒシミラクル | 041031 天皇賞・秋 | 16着 | 031012 京都大賞典 | 京都記念3着 |
サイドワインダー | 050605 安田記念 | 9着 | 040417 マイラーズC | 関屋記念1着、スワンS2着、北九州記念3着 |
ヤマニンシュクル | 051113 エリザベス女王杯 | 4着 | 041017 秋華賞 | 中山牝馬S1着、クイーンS2着 |
ナリタセンチュリー | 060430 天皇所・春 | 12着 | 050219 京都記念 | 宝塚記念2着 |
アサクサキングス | 110626 宝塚記念 | 16着 | 100321 阪神大賞典 | なし(復帰戦が最終出走) |
わずか18頭でした。そもそも、1986年以降のJRA・GI出走馬が外国馬・地方馬を除いて約8,400頭いる中、半年以上の休み明けで拾っても約110頭しかいません(連闘よりは多いですが)。長く休んでぶっつけでGI、というのは少なく、1年以上ならなおさら、ということですね。最近はそうした馬がほとんどおらず、昨年のアサクサキングス号で5年ぶりでした。この先そういう馬が出るかは不明です。長く休んでいる現役馬をざっと見た感じでは、GIIやGIIIでも問題なく復帰できそうな馬が多いだけに、またしばらく出てこないかもしれません。
復帰レースとして選ばれるのが一部に偏っているのが興味深いです。18頭いても6レースしかなく、特に天皇賞は春秋合わせて7頭が出走。なんとなく、フルゲート割れしやすいレースが選ばれているように感じますが、秋の天皇賞や安田記念はそこまでフルゲート割れの印象がないだけに、陣営がどういう腹積もりで復帰レースを選んでいるのかがいまいち見えません。まあ、復帰緒戦にGIを選ぶのはGI馬が多いですし、そもそも賞金面で問題なく出走できる、ということなのかもしれませんが、それは復帰レースが偏る理由にはならないですし…。
復帰緒戦の着順としては当然ながら揃いもそろって惨憺たるもので、馬券圏内はわずか1頭。いまも語り継がれるトウカイテイオー号のラストランですね。それまでの戦績も立派ですが、このレースひとつ取っても、記録的に大偉業であることがわかります。
最近の調教の進歩、高齢馬の活躍という背景もあって、21世紀に入ってからの復帰馬は復帰後でもある程度活躍できている例が多いです。近年の復帰馬の中ではサンライズペガサス号の戦績が出色で、1年休んで秋の天皇賞に出たのち、もう一度1年以上の休養を経て、GIIを2勝。当時不死鳥と形容されたように、これはこれでトウカイテイオー号の偉業に引けを取らない大記録だと思います。テイエムアンコール号も、復帰緒戦はダメでも諦めず体調を整えれば、どこかで馬券になるチャンスがあるのではないでしょうか。
*1:ハンデキャップ競走は過去一年の成績に基づいてハンデを定める(実際はそれ以前の成績も加味しているふしがありますが)ため、一年以内の出走歴がないと出られない