中央競馬のためにならない話

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新人騎手の現状確認・増補版

ダービーデーの東京2Rで石川騎手が優勝し、競馬学校30期生は全員勝利を挙げたことになります。デビュー3ヶ月で同期が全員勝利とは、なかなか優秀なように思いますね。小崎騎手や松若騎手を中心に、平場競走では幾度となく馬券に絡んでおり、新潟の小崎騎手などは既に騎手買いが始まっているかのような人気。夏競馬での30期生の飛躍が期待されます。
ところで、この時期で競馬学校卒業生が全員勝っているのは本当に早いのでしょうか。以前、「新人騎手の現状確認」にて第17期〜第26期卒業生の初勝利時期をまとめたことがあったので、その前後の期を追加する形で整理しました。当時の記事の増補版ですね。1986年デビューの2期生以降の初勝利の時期を、4月までに勝利を挙げた組、8月まで(デビュー半年以内)に勝利を挙げた組、9月以降に勝利を挙げた組に分類して、以下に示します。


3〜4月5〜8月9月以降
第2期古川寛和(3/15)武藤善則(3/15)林満明(3/16)松永幹夫(3/23)熊沢重文(3/29)清山宏明(4/5)大森勇一(4/19)横山典弘(4/29)北川和典(5/4)森勝義(5/11)小谷祐司(5/18)横山雄一(6/7)瀬古正明(8/23)
第3期武豊(3/7)合谷喜壮(3/15)伊藤暢康(3/21)塩村克己(3/22)蛯名正義(4/12)寺島祐治(4/19)町田俊夫(7/12)長峰一弘(翌10/30)
第4期芹沢純一(3/5)岸滋彦(3/12)山本康二(3/19)千田輝彦(3/20)岡潤一郎(3/20)菊沢隆徳(3/27)内田浩一(4/10)藤原英幸(5/1)横田雅博(8/27)
第5期佐伯清久(3/11)角田晃一(3/18)小池隆生(3/25)町田義一(4/1)山田泰誠(4/23)佐藤哲三(4/30)小野次郎(5/7)水流添久(6/3)高橋明(6/11)田中勝春(10/21)
第6期小原義之(3/3)北沢伸也(3/10)牧田和弥(3/18)久保田英敬(3/24)江田照男(4/1)村山明(4/22)沢昭典(4/28)浜野谷憲尚(6/2)玉ノ井健志(8/11)
第7期橋本広喜(3/2)藤田伸二(3/9)安田康彦(3/16)日吉正和(3/23)徳吉孝士(3/31)水野貴広(4/7)土屋智紀(4/28)河北通(5/5)四位洋文(5/19)郷原洋司(6/9)宝来城多郎(8/17)
第8期横山義行(3/7)高橋康之(3/7)吉永護(3/21)小林淳一(3/21)菊沢隆仁(3/22)橋本美純(3/28)上村洋行(3/28)後藤浩輝(4/4)  
第9期飯田祐史(3/6)川合達彦(3/14)亀山泰延(3/21)小林徹弥(5/2)伊藤直人(5/8)嶋田高宏(5/15)宗像徹(5/16)藤井正輝(5/23) 
第10期植野貴也(3/5)小林久晃(3/6)吉田豊(3/6)高山太郎(3/26)菊地昇吾(4/9)幸英明(4/10)岩部純二(5/8)田口大二郎(6/25)渡辺薫彦(6/26) 
第11期野元昭嘉(3/4)西谷誠(3/5)青木芳之(3/12)石山繁(3/18)西田雄一郎(5/6)矢原洋一(5/28)金折知則(6/3)山本康志(8/19)
第12期福永祐一(3/2)常石勝義(3/10)和田竜二(3/16)牧原由貴子(3/17)柴田大知(3/31)田村真来(3/24)高橋亮(3/24)細江純子(5/12)古川吉洋(6/22) 
第13期池田鉄平(3/1)江田勇亮(3/2)武幸四郎(3/2)武士沢友治(3/8)秋山真一郎(3/9)松田大作(3/15)仲田雅興(3/16)田村宏之(3/22)村田一誠(4/12)押田純子(6/7)勝浦正樹(6/14)今村康成(翌4/18)板倉真由子(翌10/24)
第14期穂苅寿彦(3/1)荻野要(3/7)太宰啓介(3/8)酒井学(3/8)池添謙一(3/14)中谷雄太(4/5)竹之下智昭(4/18)白浜雄造(5/3)野崎孝仁(翌々5/14)
第15期北村宏司(3/14)白坂聡(3/21)宇田登志夫(3/27)二本柳壮(4/11)武英智(4/11)菊池憲太(4/25)高橋智大(5/9)高田潤(6/12)佐藤年毅(6/26) 
第16期梶晃啓(3/4)嘉藤貴行(3/4)畑端省吾(3/19)小林慎一郎(3/19)西原玲奈(3/25)田嶋翔(3/26)鈴来直人(4/22)服部剛史(4/30)金子光希(5/6) 
第17期小坂忠士(3/3)川島信二(3/4)平沢健治(3/18)石神深一(3/31)柄崎将寿(4/21)難波剛健(4/22)田中亮(4/29)蓑島靖典(4/29) 大庭和弥(翌2/3)大沢辰也(未勝利)
第18期井西泰政(3/3)南井大志(3/10)柴原央明(3/17)五十嵐雄祐(4/28)高野容輔(6/30)黒岩悠(7/14)田辺裕信(8/3)岩崎祐己(翌2/2)
第19期長谷川浩大(3/1)加藤士津八(3/8)北村浩平(3/9)佐久間寛志(3/15)高井彰大(3/15)松岡正海(3/23)石橋脩(3/29)生野賢一(4/5)南田雅昭(4/6)鈴木慶太(5/17) 
第20期竹本貴志(3/7)藤岡佑介(3/13)川田将雅(3/20)津村明秀(3/21)丹内祐次(4/10)高野和馬(4/18)吉田隼人(4/24)水出大介(5/9)上野翔(8/14) 
第21期小島太一(3/12)大野拓弥(3/13)塚田祥雄(3/26)佐藤聖也(4/24)中村将之(5/22)鮫島良太(6/4) 
第22期田中克典(3/5)船曳文士(3/5)的場勇人(3/11)田中博康(3/18)北村友一(3/19)黛弘人(4/1)田村太雅(7/9)千葉直人(12/2)
第23期田中健(3/3)藤岡康太(3/3)荻野琢真(3/10)浜中俊(4/7)宮崎北斗(4/21)大下智(5/12)草野太郎(5/13)丸田恭介(5/26)池崎祐介(翌5/11)
第24期三浦皇成(3/1) 伊藤工真(10/26)大江原圭(翌7/26)
第25期松山弘平(3/1)小野寺祐太(3/29)国分優作(4/19)国分恭介(4/25)丸山元気(7/11) 
第26期平野優(3/7)高倉稜(3/14)川須栄彦(5/23)西村太一(6/20)水口優也(6/27)菅原隆一(翌8/28)
第27期嶋田純次(3/5)森一馬(3/26)花田大昂(3/27)横山和生(4/30)杉原誠人(5/14)藤懸貴志(8/20)高嶋活士(未勝利)
第28期中井裕二(3/3)原田和真(3/10)山崎亮誠(4/1)菱田裕二(4/14) 長岡禎仁(12/9)
第29期原田敬伍(3/9)伴啓太(4/27)岩崎翼(5/19)城戸義政(6/29) 
第30期義英真(3/2)松若風馬(3/2)木幡初也(3/15)井上敏樹(4/13)小崎綾也(4/19)石川裕紀人(6/1) 
※括弧内は初勝利日。


9月以降になってようやく勝つ騎手がいる期も多いので、6/1で全員勝利というのはぱっと見でも早めです。昨年も6/29で全員勝っているのは少々意外だったというか、去年のことなのにあまり記憶にありません。菅原騎手や大江原騎手のような、産みの苦しみがあった騎手がいる期の方がかえってよく覚えてますね。


全員勝利が最も早かったのは8期。4/4で終了とは驚異的です。近年の新人騎手の境遇を思えば、デビューが3人とかそのくらいの少人数になってもこの記録を上回るのは難しいのではないでしょうか。この期で最後に勝利を挙げたのが、結果的に同期で最も活躍した後藤騎手。この世代はデビューした8人全員がデビュー年に二桁勝利を挙げた唯一の世代(トップは上村騎手の40勝)でもあり、少なくともデビュー年については超ハイレベルであったと言えそうです。
同期で最後に勝利を挙げた騎手が出世頭になるパターンというのはないわけではなく、25期の丸山騎手、最近抜かれたものの21期の鮫島騎手、古くは5期の田中勝騎手がそれに当てはまります(田中勝騎手の場合は病気休業の期間があったので、順調に騎乗できればもっと早く勝ったのでしょうけど)。一番最後ではないものの、遅めの初勝利だった四位騎手、渡辺騎手、古川騎手、勝浦騎手、田辺騎手、丸田騎手、川須騎手はその後出遅れを挽回する活躍を見せていますし、石川騎手の今後の活躍の可能性も十分です。
8期に続いては16期(5/6で全員勝利)、19期(5/17)で、今年の30期はそれに次ぐ、29年で4番目のスピード記録。やはり早かったですね。16期は地味目の騎手の集合体のような期、19期も現在一線で活躍するGIジョッキーがいるとはいえ、いくらか地味な顔触れで、全員早く勝ち上がったからといってその後の活躍が保証されているわけではないですが、見る側としてまだ勝てないのかとやきもきすることはないですから、そこはいいと思います。


あと初勝利一番乗りの騎手の初勝利の日付を見ると、すべての期でデビュー2週以内に初勝利を挙げる騎手が出ていることがわかります。今年はデビュー週で2人勝っており、これは23期以来7年ぶり。デビュー週に勝利を挙げた最多人数は10期と13期の3人です。小崎騎手の今の活躍ぶりを思えば、小崎騎手が順調にデビューできていれば17年ぶりのデビュー週の3人勝利もあったかもしれませんね。終わったことを言っても詮無いですが、そのあたりが少し残念です。