中央競馬のためにならない話

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条件戦を順に連勝した馬

日曜阪神のムーンライトハンデでエイシンヒカリ号が優勝。無傷の4連勝を飾りました。4連勝ならそれなりにありますが、降級を挟まず未勝利(新馬)、500万下、1000万下、1600万下と順に勝っていくのは少ないのではないでしょうか(これを表現する言葉が思い浮かばないので、勝手にステップを踏んだ連勝、ステップ連勝と呼ぶことにします)。そこで、1986年以降のステップ連勝馬、とりあえず1600万下までのステップ連勝馬を調べてみました。全馬一覧は以下のとおりです。


馬名連勝期間路線連勝内容次走重賞実績
ボールドノースマン1986〜1988芝中距離新馬、400万下、900万下、1400万下OP特別3着未勝利(GII・3着)
ケイコバン1988ダート未勝利(2戦目)、400万下、900万下、1400万下GI・18着未勝利
オギティファニー1994芝短距離未勝利(初戦)、500万下、900万下、1500万下OP特別2着GIII
ヒシアケボノ1995芝短距離未勝利(6戦目)、500万下、900万下、1500万下GIII・3着GI
マルカダイシス1996芝中距離未勝利(9戦目)、500万下、900万下、1500万下OP特別2着GII
サクラスイートキス1999〜2000芝短距離未勝利(3戦目)、500万下、900万下、1600万下GIII・15着未勝利
ロードプラチナム1999〜2000芝中距離未勝利(3戦目)、500万下、900万下、1600万下GII・2着GIII
フィフティーワナー2005〜2006ダート未勝利(2戦目)、500万下、1000万下、1600万下、GIIIOP特別14着GIII
タガノゲルニカ2005〜2006ダート未勝利(7戦目)、500万下、1000万下、1600万下、GIIIGI・8着GIII
アグネスアーク2006〜2007芝中距離新馬、500万下、1000万下、1600万下OP特別6着未勝利(GI・2着)
アロンダイト2006ダート未勝利(4戦目)、500万下、1000万下、1600万下、GIGIII・4着GI
マルカフェニックス2007〜2008芝短距離未勝利(7戦目)、500万下、1000万下、1600万下GIII・12着*1GII
ウォータクティクス2008〜2009ダート未勝利(2戦目)、500万下、1000万下、1600万下、OP特別、GIIIGII・16着GIII
ヒカルカザブエ2008芝中距離未勝利(3戦目)、500万下、1000万下、1600万下GII・7着未勝利(GII・2着)
ナムラタイタン2009〜2010ダート未勝利(初戦)、500万下、1000万下、1600万下、OP特別、OP特別 GIII・3着GIII
トウショウフリーク2010〜2011芝ダート未勝利(4戦目)、500万下、1000万下、1600万下、1600万下GIII・2着未勝利(GI・3着)
ダノンフェアリー2011〜2012芝短距離未勝利(6戦目)、500万下、1000万下、1600万下GIII・16着未勝利
バーバラ2012〜2013芝短距離未勝利(2戦目)、500万下、1000万下、1600万下OP特別6着未勝利(GIII・3着)
ジョヴァンニ2012〜2013ダート未勝利(5戦目)、500万下、1000万下、1600万下GIII・10着未勝利
エイシンヒカリ2014芝中距離未勝利(初戦)、500万下、1000万下、1600万下未定未勝利
※「次走」は連勝が止まったレースの成績、「重賞実績」は最終的な重賞戦績(現役馬は9月28日終了時点)で、優勝した最高グレードを掲載(オープン特別は除外)。
※トウショウフリーク号のみ、未勝利戦が芝、ほかがダートという異なる条件下での連勝。


エイシンヒカリ号は1986年以降20例目にあたるようです。年間1頭弱ですか。思っていたよりは多いという印象です。デビュー以来の無傷でのステップ連勝となると、ボールドノースマン号、オギティファニー号、アグネスアーク号、ナムラタイタン号に次いで5例目。デビュー以来のステップ連勝をさらに伸ばしたのはナムラタイタン号のみ。また、1600万下優勝後もひとつずつ階段を上がった例は、デビュー以来ではないものの、ウォータクティクス号の未勝利→500万下→1000万下→1600万下→オープン特別→GIII、の6連勝が最高。エイシンヒカリ号は両馬に並ぶことができるでしょうか。後者は陣営のローテーションに左右されますが、距離の関係で菊花賞には向かわないことが明言されていますし、堅実なローテとなるかもしれません。単純な中央での連勝記録となると、マックスビューティ号、タマモクロス号、テイエムオペラオー号の8連勝が最高のはず。こちらにはまだまだ遠いですね。
ただ、パッと見の印象で言うと、ステップ連勝の馬には全体的に「重賞級だが超大物ではない」という傾向があるように思います。引退までにGI競走を優勝したのは2頭だけ、重賞未勝利馬もエイシンヒカリ号を除いても9頭と約半数。条件戦とオープン特別・重賞との間に高い壁があるのかなと想像され、エイシンヒカリ号がオープンクラスでも同じような強さを見せられるか、となると半信半疑です。
ステップ連勝は注目を集めるものですが、オープンクラスの能力がありながら、気性や体質に難があるがゆえにデビューが遅れ、条件戦を順に使わざるを得なかった、という事情を抱える馬が多いように思います。最近の連勝馬、ダノンフェアリー号、バーバラ号、ジョヴァンニ号も、連勝中の勢いは良かったですが、連敗が止まって以降はなかなか立て直しできていません。そもそも、真に地力をつけるなら、どこまでいっても昇級できないような弱い相手もいる条件戦で楽勝を続けるよりも、早い段階から重賞・オープンで他馬に揉まれる方がいいようにも思いますし(これは印象論でしかないですが)。エイシンヒカリ号も気性に難しさを抱えての連勝のようなので、一度壁に当たるとやる気をなくす可能性も。馬券的にはこの先どこで切るかの見極めが重要そうです。


ちなみにステップ連勝の趣旨とは外れますが、1000万下を経ずに飛び級で1600万下に挑戦して連勝を飾った例も散見されます。未勝利優勝→1600万下優勝の例は1986年以降、キョウワユウショウ号(1991)のみ。500万下優勝→1600万下優勝は、ダイゴシンプー号(1986)、メジロゴスホーク号(1987)、ヒデドラゴン号(1989)、テイエムメガトン号(1997)、ミスズシャルダン号(1998)、タマモトッププレイ号(2012)の6例。タマモトッププレイ号のときはそれなりに話題になったと記憶してますが、14年ぶりの椿事だったんですね。

*1:5位入線降着