中央競馬のためにならない話

客観的事実・データから妄想を繰り広げます。

ツイッター@horsedatacも少しやってます

ドゥラエレーデ号の乗り替わり回数・騎乗騎手は多いと言えるのか

22年のホープフルS単勝90.6倍の人気薄で優勝し、GI馬となったドゥラエレーデ号。現在4歳ですが、未勝利戦脱出はダートであるようにダートも芝も走れること、ホープフルS優勝により賞金を積んでしまったことから、異例のローテーションで走っているのは周知の通りです。先週はエルムSで2着になりましたが、次走は札幌記念と報じられ話題に。また、鞍上予定がテン乗りとなる藤岡佑騎手で、騎乗騎手の多さ、乗り替わりの多さも取り沙汰されます。

このため、「こんなに乗り替わりの多いGI馬もいないのでは」「こんなに騎乗騎手が多いGI馬もいないのでは」という話になりがちですが、ホープフルS優勝後の戦歴を見る限りは、ムルザバエフ騎手が乗れそうな時は極力同騎手を乗せようとしていることも感じられ、果たして言われるほど乗り替わりや騎乗騎手が多いのだろうか、との感想を持っています。印象が先走っていないか、悪い言い方をするとネットのおもちゃになっていないか?ということですね。

そこで、過去のGI馬について、乗り替わりの回数、騎乗騎手の人数を一通り確認し、ドゥラエレーデ号が過去に類を見ないほど乗り替わり・騎乗騎手が多いGI馬なのかを見てみました。対象は86年以降デビューで中央平地GIを優勝した中央所属馬472頭。ただ、「GI馬として」という観点で確認する以上、テンハッピーローズ号やブローザホーン号のように、条件戦時代にいろいろと試行錯誤があった馬と2歳GIを優勝したドゥラエレーデ号を横並びに論じていいかどうかは大いに疑問があるため、原則「中央GI初優勝後」のみの戦績を対象に見ています。すなわち、ドゥラエレーデ号についてもホープフルS優勝を起点に、その後の戦績のみで比較します。マル地馬および中央登録抹消後に地方に移籍した馬は、中央在籍時の戦績だけ見ています。

[ 乗り替わり回数の定義 ]
一つの基準となるドゥラエレーデ号を例にします。同馬はホープフルS優勝後、UAEダービー東京優駿宝塚記念セントライト記念、チャンピオンズC、東京大賞典フェブラリーSドバイWCエルムSと歴戦。UAEダービーホープフルSのムルザバエフ騎手からC.デムーロ騎手に替わっているのでここで1回、以下東京優駿の坂井騎手で2回、宝塚記念の幸騎手で3回、セントライト記念の坂井騎手で4回、チャンピオンズCのムルザバエフ騎手で5回、ここから4戦ムルザバエフ騎手で、エルムSの武騎手で6回。ドゥラエレーデ号の乗り替わり回数は6回とします。次走予定の札幌記念で7回目の予定ですが、出走が確定していないため考慮しません。

[ 騎乗騎手人数の定義 ]
同様にドゥラエレーデ号を例にします。UAEダービー以降同馬に騎乗した騎手は、順にC.デムーロ騎手、坂井騎手、幸騎手、ムルザバエフ騎手、武騎手。騎乗騎手は5人とします。次走予定の札幌記念の扱いは乗り替わり回数と同様です。

この考え方に則って中央GI初優勝後の各馬の乗り替わり回数や騎乗騎手人数を降順で並べました。472頭すべて載せるのは量が多いため上位馬のみです。複数いる場合は中央GI初優勝直近順で並べています。「~など○頭」としている際の代表馬は、グループ内で中央GI初優勝が直近である馬としました。いずれもその多くを目視で算出しているため、多少の間違いがある可能性があります。ご了承ください。

<中央GI初優勝後の乗り替わり回数>

回数馬名
33回ノボトゥルー
29回イーグルカフェ
21回テイエムプリキュア
19回タイムフライヤー
16回ロゴタイプリアルインパクトエイシンチャンプマイネルマックスエルウェーウィン
15回キセキマイネルホウオウグレープブランデーウインクリューガー
14回ペルシアンナイトモーニンワンアンドオンリーグランプリボス
13回マカヒキレジネッタコガネタイフウバンブーメモリー
12回マルセリーナエイシンフラッシュローズキングダムピンクカメオロジックフサイチリシャール
11回アルフレードタイムパラドックスダンスインザムードスティンガー
10回レシステンシアビッグウィークサンテミリオンジャガーメイルオウケンブルースリヴィクトリーデルタブルースレガシーワールドホクトベガ
9回キラーアビリティなど12頭
8回ドルチェモアなど23頭
7回ラウダシオンなど8頭
6回ドゥラエレーデなど24頭
<中央GI初優勝後の騎乗騎手人数>
人数馬名
18人ノボトゥルー
14人テイエムプリキュア
13人タイムフライヤーペルシアンナイトイーグルカフェ
12人グレープブランデー
11人キセキリアルインパクトウインクリューガーエイシンチャンプコガネタイフウ
10人モーニンワンアンドオンリーグランプリボスヴィクトリー
9人ケイティブレイブマカヒキレッドリヴェールマイネルホウオウマルセリーナビッグウィークレジネッタマイネルレコルトマイネルマックスエルウェーウィン
8人ドルチェモアなど16頭
7人モズアスコットなど11頭
6人ジェラルディーナなど33頭
5人ドゥラエレーデなど30頭

ドゥラエレーデ号は確かに乗り替わり回数、騎乗人数とも少なくないのかもしれませんが、他のGI馬に比べたらまだまだ。さらに同年齢・同馬主のドルチェモア号がその上を行っています。ドゥラエレーデ号がある程度走っているから、ローテが異色だから注目される側面はあるでしょうが、ドルチェモア号の乗り替わりや騎手の人数についての話題は観測範囲内ではほぼ見ることがありません。近年ではジェラルディーナ号もエリザベス女王杯優勝後に鞍上がコロコロ替わっていますが、そのことにはほぼ触れられていなかったと記憶しています。ドゥラエレーデ号ばかり取り沙汰されるのには釈然としない思いがあります。

とはいえ最上位のノボトゥルー号はキャリアが長いからこその数字。4歳のドゥラエレーデ号と比較してもキャリアが違いすぎるのが実情です。そこで、2歳GI(阪神JF朝日杯FSホープフルS。前身競走含む)の優勝馬に限り、さらにドゥラエレーデ号が現在4歳であることを勘案して、4歳暮れまでの乗り替わり回数、騎乗人数を確認してみました。 このカウントにはGI優勝前の分も入っています。

<2歳GI優勝馬・4歳までの乗り替わり回数(優勝前含む)>

人数馬名
14回エイシンチャンプ
12回フサイチリシャールテイエムプリキュア
11回サトノアレスグランプリボス
10回ドゥラエレーデ
9回ドルチェモアキラーアビリティタイムフライヤーロゴタイプ
8回レシステンシアコスモサンビームコガネタイフウ
7回サリオスレッドリヴェールタムロチェリーアドマイヤコジーンスティンガー
<2歳GI優勝馬・4歳までの騎乗騎手人数(優勝前含む)>
人数馬名
10人エイシンチャンプ
9人ドゥラエレーデテイエムプリキュア
8人ドルチェモアタイムフライヤーサトノアレスグランプリボスフサイチリシャール
7人キラーアビリティレッドリヴェールコスモサンビームコガネタイフウ
6人サリオスゴスホークケンアドマイヤコジーン
5人レシステンシアロゴタイプローブティサージュローズキングダムマイネルレコルトタムロチェリースティンガー

この括りだとドゥラエレーデ号も上位に来て、特に騎乗人数は札幌記念でトップタイになりそう。とはいえ過去にいなかったほどの人数かというとそうでもなく、乗り替わり回数はまだまだエイシンチャンプ号に及びません。やはり群を抜いた数字とは言えないと思われます。

ということで、「ドゥラエレーデ号の乗り替わり回数・騎乗人数は多いと言えるのか」という問いに対して、現時点の答えとしては「2歳GI馬の4歳シーズンの数字としては多い方だが、断トツとは言えない。ローテ面はともかく、乗り替わりや騎手の人数に関しては類を見ないほどではない」と結論付けるしかないのではと思われます。むしろ、無茶なローテーションの割に抑えられているのではとすら感じます。このあたりは個人の印象でしかなく、読み手によって違う印象を持つでしょうが、主観を除いた客観的な数字としては上掲のとおりなので、あとはこれをもって個々に解釈してくださればと思います。

獲得賞金不完全ランキング(現在の賞金で換算した場合)2023

アーモンドアイ号がヴィクトリアマイルを優勝し、獲得賞金が10億円を突破したと報じられた際に、「昔の馬も含め、すべて現代の賞金に換算して集計し直した場合にどうなるか」という記事を書きました。これがもう3年半前のことです。

https://horsedata.hatenadiary.jp/entry/20200521/1590050337

当時はこれが一回限りの集計、と述べましたしそのつもりでしたが、その後いろいろと状況が変わってきました。まず一つは2023年に発生した、パンサラッサ号のサウジC優勝やウシュバテソーロ号のドバイWC優勝、そしてイクイノックス号の大レースの立て続けの優勝。収得賞金では各馬上位に進出してきて、過去の名馬との比較で賞金面での歪みがだいぶ出てきています。もう一つは一部レースの賞金高騰。3年半前の記事で「ジャパンC有馬記念が1着5億円くらいにならない限り、傾向としては大きく変わらないでしょう」と書いたのですが、ご存知の通り2023年から両レースの1着賞金が5億円に。当時この事態を予見していたわけでは全くないですが、ここまで上がってしまうと見直しが必要になってくるのでは、と考えました。2024年は2024年でNARのダート路線の大改革が待っていますが、まずは現時点で見直しを行うべきと判断しました。

ということで、今回「獲得賞金不完全ランキング(現在の賞金で換算した場合)2023」を行うこととしました。半年以上かけて準備をしていたためか、その間にテイエムオペラオー号をモデルにした記事*1が出たりもしましたが、気にせず出すことにします。前回と大きく違うのは、「中央獲得賞金」ではなく「獲得賞金」としたこと。すなわち、海外重賞、地方重賞も含めた点にあります。これにより、交流重賞を回るダート馬、海外の高額賞金レースを優勝した馬に、前回から浮上する可能性を持たせています。ただし、条件戦、オープン特別、障碍競走の平場オープンは86年より前の馬も含めると算入が困難であるため、「不完全ランキング」を「完全ランキング」とすることはできませんでした。ご了承ください。

賞金の集計ルールは前回に準じており、以下のとおりです。細かいので読み飛ばしても何も問題ありませんが、このくらいはルールを定めて作業しているという表明のようなものです。人によって解釈が異なるところもあるでしょうが、この記事ではこういうルールとした、とご理解ください。今回は将来的に見直しが行えるような整理を行っているので、将来の見直し時もルールは原則変わらないです。

・集計対象は2023年末までの重賞競走とする。85年以前の重賞は「優駿達の蹄跡」*2記載の重賞で集計。オープン特別や一般競走は含まないため、厳密な結果ではない。青葉賞チューリップ賞のように当初オープン特別だったレースは重賞昇格後のみが対象。
中央競馬の本賞金の考え方に則り、重賞5着以内の賞金を加算する。付加賞や特定の競走を優勝して出されるボーナスは加えない。
・地方開催の重賞、海外重賞も5着までが集計対象。4着までしか賞金が出なかった一部の地方重賞は4着までが対象。
・海外重賞はJRA-VAN Data Lab.で記録されたグレードレース(TARGET Frontier JVで参照可能な海外グレードレース)が集計対象。このため、今年オオバンブルマイ号が優勝したザ・ゴールデンイーグルは含まない。
・地方重賞はJRA-VAN Data Lab.で重賞レースとして記録されているレース(TARGET Frontier JVのメニューパネル「成績」プルダウンの「地方成績(重賞レースのみ)」で参照可能なレース)が集計対象。よって、グレードレースのみではなくたんぽぽ賞のような重賞も集計。
・中央は本賞金の1~5着の配分が一律*3だが、地方や海外はレースにより異なる。地方については同じ競馬場でも年により、レースにより配分比率が異なることがあり(南関のように一貫して同比率を用いる地区はほとんどない)、一律化は困難と判断し、各年各レースの配分比率を適用。海外は一部の有名GI以外は配分比率の情報がほとんどないので、わかっているものも含め一律中央と同様とした。
・全競走2023年の1着賞金を適用。一時期に比して賞金が減ったレースも2023年の賞金とする。
・グレードが変わった重賞の場合、グレード変更前の賞金は現行の同グレード類似条件を準用。例えば、GII時代のフェブラリーSはGII相当の賞金、GIII時代はGIII相当の賞金とし、GIの賞金を適用しない。グレードが下がる場合も同様。ただし、ホープフルS(GII)は重賞化当初から賞金がGI並み(通常の2歳GIIの倍近く)だったので、現在と同賞金にする。
・「同グレード類似条件」は同じグレードでも芝ダ障の別、牝限か否かの別、2歳3歳古馬の別、距離体系で賞金が異なるため、それを考慮する。例えば、GIIのフェブラリーSには古馬芝GIIの賞金(同じ芝でも多少の違いはある)を適用するのではなく、古馬ダートGIIの東海Sの賞金を適用する。
・85年以前は86年のグレードを準用。例えば85年以前の弥生賞セントライト記念GIII扱い(86年までGIII、87年からGII)とする。
・中央ノングレード重賞はGIIIとし、現行の同グレード類似条件を準用。
・ジャンプグレード導入前の障碍重賞は中山大障害春・中山大障害秋をGIとする。また、阪神障害S春、東京障害特別春、京都大障害秋をGIIとする(GII競走である阪神スプリングジャンプ東京ハイジャンプ(ジャンプグレード導入当時は春)、京都ハイジャンプ(当時は秋)の代替)。それ以外はGIII
阪神3歳S阪神JFの賞金を用いる。
フェアリーSは2歳12月に施行されていた時期も3歳牝限GIIIの賞金とする。
・3歳限定のエリザベス女王杯秋華賞の賞金を適用。
ビクトリアカップは3歳限定のエリザベス女王杯の前身という経緯を踏まえ、ノングレードながら秋華賞の賞金を適用。
・2011年に東京で行われた南部杯、2018年に京都で行われたJBC3競走は今年の各競走の1着賞金を適用。
・アラブの競走はサラ系競走に比べ賞金が全然違う(安い)ので細かい設定を諦め、セイユウ記念やタマツバキ記念の95年(最終年)の賞金を芝ダ障によらずすべての年に割り当てる。
・日本馬出走時と現在とでグレードが異なる海外重賞の1着賞金は、国内同カテゴリのグレード間の1着賞金比率を2023年の1着賞金にかけて換算。例としてGII時代のドバイシーマクラシックの1着賞金は、古馬中長距離ということで23年の348万米ドル×(6700÷22000)=105.98万米ドルとする。6700万円は阪神大賞典日経賞、22000万円は宝塚記念天皇賞春の1着賞金。
・賞金総額のみ確認できる海外重賞の1着賞金は、総額が国内と同比率で1~5着に与えられるという前提で換算。1着賞金を1とした場合、総額は1+0.4+0.25+0.15+0.1=1.9で表されるため、総額÷1.9=1着賞金となる。
・廃止されたシンガポールの2重賞(シンガポール航空インターナショナルC、クリスフライヤーインターナショナルスプリント)についてはWikipediaから賞金総額を得て、廃止年の2015年と2023年に関して香港Cや香港スプリント(近傍地区の参考レース)の総額比率を算出し、これを適用して総額の割増を行ったうえで、今年換算総額÷1.9で1着賞金を得た。
・海外重賞賞金の日本円換算にあたっての為替レートは2023年12月28日(ホープフルS開催日)の終値を参照した。1米ドル141.39円、1ユーロ156.36円、1ポンド179.99円、1豪ドル96.56円、1香港ドル18.094円、1シンガポールドル107.07円、1ウォン0.1096円。
・存続競馬場で現在施行されていない地方重賞の1着賞金は、現在も行われる代表的な重賞の廃止年の1着賞金と今年の1着賞金を比較し、そのアップ率(もしくはダウン率)を廃止重賞最終年の1着賞金に掛けて算出。もしくは廃止重賞最終年と同等の賞金の現行重賞がある場合、その現行重賞賞金を適用。
・廃止競馬場の地方重賞の1着賞金は、近傍の存続競馬場(旭川岩見沢・帯広は門別、新潟・三条・上山・北関東は金沢、福山は兵庫、中津・荒尾は佐賀)の代表的な重賞の廃止年の1着賞金と今年の1着賞金を比較し、そのアップ率(もしくはダウン率)を廃止重賞最終年の1着賞金に掛けて算出、あるいは同等の重賞と判断した場合現行重賞賞金を適用。北関東は地理的には南関の方が近いが、規模や賞金体系としては金沢の方が近いと判断。福山も地理的には高知の方が交流等もあるが、高知は賞金がV字回復しすぎて参考にならないと判断。

ということで以下が結果です。「換算賞金」が現在の賞金で重賞戦績を手集計した結果、単位万円。「実際の本賞金」が賞金ランキング等で表に出る数字と思ってください(こちらには一般競走の結果も含みます)。「実際の本賞金」の集計結果はTARGET frontier JV(元データはJRA-VAN DataLab.)によるJRA本賞金。86年以前も走った競走馬の賞金はWikipediaを参照しており(付加賞金等が含まれている?)、万円未満四捨五入です。前回は上位50頭としましたが、今回は換算賞金10億円以上の馬を全馬含み、かつ切りのいい数字ということで120位まで示すこととしました。以下のテキストにおける金額はすべて換算賞金です。(追記)以下のリストにおいて、パンサラッサ号のドバイターフの1着同着賞金を単独1着として扱ってしまっていますのでご注意ください。

<1~40位>

順位馬名換算賞金合計中央換算賞金地方換算賞金海外換算賞金実際の本賞金
1テイエムオペラオー314,060314,060175,787
2ジェンティルドンナ299,240230,35568,885125,190
3キタサンブラック281,680281,680181,320
4シンボリルドルフ278,000278,00066,570
5オルフェーヴル272,835234,78038,055122,220
6アーモンドアイ253,703212,70041,003144,580
7ディープインパクト251,500251,500132,400
8スピードシンボリ242,725242,72516,321
9オグリキャップ242,100240,9001,20088,830
10イクイノックス239,004189,80049,204172,500
11ゴールドシップ223,210223,210130,820
12ブエナビスタ222,231202,55019,681130,580
13ウオッカ211,851205,6106,241123,200
14ゼンノロブロイ207,767204,5603,207108,680
15ヴィクトワールピサ207,681109,10098,58155,180
16パンサラッサ206,59324,200182,39329,810
17スペシャルウィーク206,000206,000102,400
18シンボリクリスエス194,000194,00095,550
19シンザン176,700176,7006,022
20ナリタブライアン171,760171,76089,510
21クロノジェネシス171,731152,05019,681107,750
22アドマイヤムーン171,040109,00062,04072,800
23コントレイル169,500169,500110,800
24ダイワメジャー169,166158,91510,25194,540
25リスグラシュー164,921119,78045,14186,560
26メジロマックイーン164,600164,60099,810
27モーリス162,83973,31089,52952,300
28シュヴァルグラン159,046139,36519,68199,020
29トウカイテイオー158,900158,90060,470
30メイショウサムソン158,080158,08098,150
31タップダンスシチー157,785157,785106,880
32ハクチカラ156,240156,2401,657
33ハーツクライ155,139103,43051,70953,720
34テンポイント153,475153,47532,842
35グラスワンダー153,270153,27067,740
36リユウフオーレル152,460152,4603,868
37アンバーシャダイ151,720151,72046,205
38グリーングラス149,940149,94032,845
39アグネスデジタル146,32478,72520,80846,79153,020
40ロードカナロア144,80092,11052,69065,140

<41~80位>

順位馬名換算賞金合計中央換算賞金地方換算賞金海外換算賞金実際の本賞金
41トウショウボーイ144,620144,62028,077
42エイシンプレストン144,50056,86087,64048,400
43スワーヴリチャード143,026130,72512,30187,310
44ステイゴールド141,748102,44539,30375,430
45ホッコータルマエ141,03634,17597,0209,84134,380
46マヤノトップガン139,705139,70575,309
47カネミノブ139,040139,04034,056
48シャフリヤール138,18975,51062,67956,760
49ミホシンザン136,875136,87548,468
50エアグルーヴ136,530136,53078,350
51ヴァーミリアン136,08138,52082,80014,76137,820
52ウシュバテソーロ134,81932,000102,81911,845
53メイショウドトウ134,555134,55590,900
54ドリームジャーニー134,440134,44083,520
55チュウワウィザード133,56524,60045,00063,96527,410
56カブトシロー132,295132,2957,381
57グランアレグリア132,250132,250102,750
58ジャスタウェイ131,95390,95041,00358,440
59ダイワスカーレット131,780131,78074,400
60ナリタトップロード131,675131,67592,270
61ビワハヤヒデ130,300130,30081,740
62エイシンフラッシュ126,956120,5106,44670,600
63レイデオロ125,236117,8557,38184,600
64カツラギエース124,220124,22041,068
65コパノリッキー123,90032,50091,40029,950
66タマモクロス123,200123,20048,967
67メジロブライト122,370122,37081,130
68ラヴズオンリーユー122,03732,77089,26731,050
69ニッポーテイオー121,015121,01554,390
70オンワードゼア120,910120,9101,148
71ミスターシービー120,660120,66040,960
72ハイセイコー120,005120,00521,957
73タイトルホルダー118,350118,350102,000
74サトノダイヤモンド117,149116,97517481,420
75カンパニー116,325116,32592,340
76ジャングルポケット116,130116,13065,400
77エスポワールシチー115,82048,21067,61052,200
78キタノオー115,235115,2351,340
79シーザー114,775114,7752,731
80スーパークリーク113,950113,95055,610

<81~120位>

順位馬名換算賞金合計中央換算賞金地方換算賞金海外換算賞金実際の本賞金
81エピファネイア113,753109,8853,86863,080
82メジロアサマ113,250113,25018,737
83エフフォーリア113,000113,00073,510
84タニノチカラ111,460111,46021,424
85トウメイ111,040111,04015,097
86コスモバルク110,27272,9853,20534,08244,940
87イナリワン110,120110,12040,430
88メイズイ108,960108,9603,539
89メイヂヒカリ108,240108,2401,043
90ドウデュース108,034107,86017499,100
91ホウヨウボーイ108,010108,01027,466
92ラブリーデイ107,85998,5209,33978,670
93アカネテンリュウ107,680107,68014,260
94サクラローレル107,280107,28061,550
95ライスシャワー106,985106,98566,240
96モンテプリンス106,830106,83034,787
97ヴィブロス106,72519,95086,77518,180
98ヒシアマゾン106,610106,61068,690
99ウインブライト105,97229,12076,85229,550
100オンスロート105,775105,7752,024
101カツラノハイセイコ105,585105,58531,216
102リアルスティール105,54954,29551,25439,600
103スマートファルコン104,790104,7905,980
104サクラショウリ104,460104,46030,361
105ゴールドアクター104,380104,38073,025
106ローズキングダム104,155104,15566,500
107ホマレボシ103,475103,4752,006
108デルタブルース102,96853,24049,72835,780
109ルーラーシップ102,75976,97525,78454,270
110ブルーコンコルド100,68029,53071,15036,420
111コダマ100,175100,1751,816
112キセキ100,11795,9604,15766,550
113トランセンド100,03353,7706,90039,36355,950
114ヤマトキヨウダイ99,97599,9753,195
115タイキシャトル99,68490,7508,93459,710
116ニホンピロウイナー99,36599,36548,160
117フィエールマン98,63098,63067,400
118エルコンドルパサー98,57575,08023,49511,145
119フリオーソ98,3854,80093,5853,800
120グローリーヴェイズ98,32033,29065,03030,530

3年半前にはテイエムオペラオー号しかいなかった20億円ホースが10頭超になり、テイエムオペラオー号に至っては30億円ホースに。上位馬は有馬記念ジャパンCの1着賞金5億円の影響を大きく受けており、この2競走は賞金面ではバランスブレイカーになっていることがよくわかります。続くのはジェンティルドンナ号。ドバイシーマクラシックの2年連続連対が大きく、キタサンブラック号などを交わしました。円安の影響もあるでしょうが、1ドル120円としても海外賞金が1億円程度目減りするだけで、1ドル100円前後の円高にならない限りはキタサンブラック号を上回ります。ジェンティルドンナ号は海外を除きJRAだけで見ても、同じ三冠牝馬のアーモンドアイ号を上回ります。ジェンティルドンナ号の場合、ジャパンCを2勝、有馬記念を1勝しているので、これで15億円相当になっているのが大きそうです。前回も述べましたが近年の馬が多い中でシンボリルドルフ号、スピードシンボリ号、オグリキャップ号が上位におり、当時の国内実績が圧倒的であったことが見て取れます。

有馬記念ジャパンCも優勝していない馬の最上位はメジロマックイーン号、次いでダイワメジャー号、メイショウサムソン号と続きます。ダイワメジャー号は賞金面でのアドバンテージが小さいマイル~2000mを主に走ってこの位置、モーリス号やロードカナロア号より上にいるので、現役期間が少し長かったとはいえ相当な名馬であると言えるのかもしれません。

中央獲得賞金のない(JRA重賞で5着以内がない)馬の最上位は52位につけているウシュバテソーロ号。ウシュバテソーロ号は23年大活躍でしたが、中央ではOP特別2勝馬で中央重賞には出走すらしていません。2024年はサウジCとドバイWCを転戦する話もあるようで、中央重賞出走歴がないのに獲得賞金が日本馬歴代1位になる可能性もあります。以下、スマートファルコン号(103位)、ボンネビルレコード号(482位・4.66億円)、マキバスナイパー号(511位・4.52億円)、サプライズパワー号(535位・4.40億円)と続きます。ただ地方重賞についてはTARGET frontier JVから確認できるものだけとしているので、取りこぼしもあり、それによって結果が変わる可能性があることはご了承ください。

前回は牝馬の上位馬、障碍競走の上位馬を並べましたが、そのあたりは基本的に大きく変わっていないので今回は割愛して、地方獲得賞金の賞金上位馬、海外獲得賞金の賞金上位馬を抽出してみました。

<地方獲得賞金上位15頭>

順位馬名換算賞金合計地方換算賞金中央換算賞金海外換算賞金実際の本賞金
1スマートファルコン104,790104,7905,980
2ホッコータルマエ141,03697,02034,1759,84134,380
3フリオーソ98,38593,5854,8003,800
4コパノリッキー123,90091,40032,50029,950
5ヴァーミリアン136,08182,80038,52014,76137,820
6アブクマポーロ78,20072,7005,5005,800
7ブルーコンコルド100,68071,15029,53036,420
8オメガパフューム86,75068,20018,55020,770
9エスポワールシチー115,82067,61048,21052,200
10アジュディミツオー67,53566,935600590
11ケイティブレイブ79,76861,18818,58020,080
12タイムパラドックス86,23558,13028,10543,050
13サウンドトゥルー70,58153,65616,92526,135
14ワンダーアキュート90,28052,86037,42046,580
15スーニ50,35848,1582,2005,670

地方獲得賞金のトップはスマートファルコン号。通算23勝の実績は伊達ではなく、唯一の10億円超えです。上位15頭の中に現役馬はおらず(現役最上位はウシュバテソーロ号の3.2億円)、地方10億円ホースはもう現れない可能性も。これについては先ほどの中央獲得賞金ゼロ馬の上位馬と同様、地方重賞の取りこぼしが影響する可能性はありますが、ここで示される馬はグレードレースの実績馬ばかりなので大きくは変わらないと思われます。

<海外獲得賞金上位15頭>

順位馬名換算賞金合計海外換算賞金中央換算賞金地方換算賞金実際の本賞金
1パンサラッサ206,593182,39324,20029,810
2ウシュバテソーロ134,819102,81932,00011,845
3ヴィクトワールピサ207,68198,581109,10055,180
4モーリス162,83989,52973,31052,300
5ラヴズオンリーユー122,03789,26732,77031,050
6エイシンプレストン144,50087,64056,86048,400
7ヴィブロス106,72586,77519,95018,180
8ウインブライト105,97276,85229,12029,550
9ジェンティルドンナ299,24068,885230,355125,190
10グローリーヴェイズ98,32065,03033,29030,530
11チュウワウィザード133,56563,96524,60045,00027,410
12シャフリヤール138,18962,67975,51056,760
13アドマイヤムーン171,04062,040109,00072,800
14ロードカナロア144,80052,69092,11065,140
15ハーツクライ155,13951,709103,43053,720

海外獲得賞金はさすがにパンサラッサ号が最上位。23年サウジCで14億円、22年ドバイターフで4億円を稼いでいます。上位3頭はいずれもサウジCあるいはドバイWCの優勝馬で、この2競走の賞金の高さが伺えます。また、エイシンプレストン号やウインブライト号、グローリーヴェイズ号が上位にいることや、ロードカナロア号が存外低いことから、香港の中距離競走と短距離競走で賞金面に開きがあることがわかります(香港Cの1着賞金は香港スプリントのおよそ1.5倍)。

今回、何かの節目で見直しができるようにデータ整理は行ったものの、前回と今回を比較すると競走実績の横並びによる可視化はやれるだけのことを概ねやった印象があります。最初に述べたように今年は地方ダート路線大改革が待っていますが、有馬記念ジャパンC並みと言わないまでも、1着賞金2億円程度の交流重賞が複数出てこないと(具体的には東京大賞典帝王賞JBCクラシックなど古馬の頂点レースが軒並みそのくらいにならないと)上位馬の傾向は変わらないのだろうと思われます。強いて言うなら、公開されている地方重賞をすべて取り込むかどうかですね。整理がだいぶ進んだ段階で、TARGETよりNAR公式の重賞結果を参照すればより網羅できると気づいたのですが、やり直すと時間が足りなくなると判断してやめていました。骨が折れるうえに上位に影響しないことは明らかなので、現時点ではやるかもしれない程度に保留しておきます。

集計開始以前のMVJを(中央戦績限定で)勝手に集計した

例年あまり話題になることがないですが、JRA賞には「MVJ」という部門表彰があります。Most Valuable Jockeyを略したもので、現在は前年度のMVJに対し、夏に札幌で開催されるワールドオールスタージョッキーズへの出場権が付与される特典があります。MVJの内容についてはJRA公式によると以下の通り。

JRAと地方・海外の指定レースを合わせた成績を「勝利度数」「勝率」「獲得賞金」「騎乗回数」の項目ごとに順位付けをして、その総合得点により受賞者を決定いたします。この決定方法は、厩舎関係者表彰における『優秀騎手賞』に準じており、『MVJ』はその最上位の騎手となります。

この集計結果を見ると、4項目の上位15騎手(勝率は250回以上騎乗の騎手が対象)について15pt、14pt…とポイント化し、そのポイント合計の最上位騎手をMVJとしています。ポイント合計が同じ場合は勝利度数上位をより上位とします。2022年は川田騎手が勝利度数、勝率、獲得賞金で1位で騎手大賞となり、MVJの最右翼かと思われましたが、騎乗数が上位15人にあたらず、戸崎騎手が逆転で獲得しました*1。このように、MVJは騎乗数が評価対象になっているのがポイントで、騎手大賞を獲得するほどの圧倒的な成績を収めても、どんな理由があろうとも騎乗数を絞っていれば逆転される可能性があるところに面白さがあります。競馬は野球、サッカーなどのプロスポーツとはまた違いますが、興行として捉えた時にパフォーマンスを示す機会を多く持つことが競馬界への貢献につながる、と解釈するなら、騎乗数を評価することも理解できます。

さて、MVJは最近設けられた制度で、JRA公式では2013年以降、10年間の記録しかありません。そこで、2013年以前についても同様の手法でMVJが誰であったか、2022年のような逆転現象は発生していたのかを見てみることとしました。先日、MVJの選出方法について疑義を呈したスポニチの記事*2も出ており、「MVJは創設された13年から昨年まで、全て最多勝利騎手が受賞してきた。ノンタイトルでの受賞は今回が初」との記載に、「たまたま13年以降でそうなっただけでは?」とデータを示したい意図も少しあります。ただし、この記事が出る前から集計作業はしていて、この記事がきっかけになったというわけではありません。

TARGET frontier JVを用いて集計する都合上、以下の点が本家MVJと異なります。

・地方や海外の競走の戦績を含まない。
・獲得賞金は「本賞および付加賞の合計。地方交流差額分を含む」とあるが、本賞金(中央競走5着以内で与えられる賞金)のみで集計。

これにより本家と多少の違いが生じます。総合1位の騎手が入れ替わるほどの誤差は発生しないのでは、と思われますが、実際にそうなのかどうか、まずはJRA公式で示されている2013~2022年の近10年分の結果とTARGET frontier JVによる集計との齟齬を確認しました。

2022年 リーディング:川田将雅

順位本家総合ptTARGET総合pt
1戸崎圭太47戸崎圭太50
2川田将雅45川田将雅45
3横山武史42横山武史43
4松山弘平42松山弘平41
5C.ルメール39C.ルメール39
2021年 リーディング:C.ルメール
順位本家総合ptTARGET総合pt
1C.ルメール52C.ルメール52
2松山弘平51松山弘平51
3川田将雅43川田将雅42
4福永祐一40福永祐一40
5横山武史39横山武史38
2020年 リーディング:C.ルメール
順位本家総合ptTARGET総合pt
1C.ルメール54C.ルメール54
2松山弘平49松山弘平49
3川田将雅43川田将雅43
4福永祐一41福永祐一41
5武豊34武豊34
2019年 リーディング:C.ルメール
順位本家総合ptTARGET総合pt
1C.ルメール44C.ルメール44
2川田将雅43川田将雅43
3戸崎圭太43戸崎圭太42
4武豊38福永祐一40
5福永祐一38武豊37
2018年 リーディング:C.ルメール
順位本家総合ptTARGET総合pt
1C.ルメール50C.ルメール50
2戸崎圭太48戸崎圭太48
3M.デムーロ42M.デムーロ42
4川田将雅37川田将雅37
5福永祐一35福永祐一35
2017年 リーディング:C.ルメール
順位本家総合ptTARGET総合pt
1C.ルメール51戸崎圭太52
2戸崎圭太51C.ルメール51
3川田将雅43M.デムーロ42
4M.デムーロ42福永祐一40
5福永祐一40和田竜二39
2016年 リーディング:戸崎圭太
順位本家総合ptTARGET総合pt
1戸崎圭太58戸崎圭太58
2C.ルメール51C.ルメール51
3M.デムーロ42M.デムーロ40
4川田将雅36川田将雅38
5内田博幸36内田博幸36
2015年 リーディング:戸崎圭太
順位本家総合ptTARGET総合pt
1戸崎圭太54戸崎圭太52
2岩田康誠46M.デムーロ42
3M.デムーロ41岩田康誠42
4福永祐一38福永祐一39
5C.ルメール36C.ルメール37
2014年 リーディング:戸崎圭太
順位本家総合ptTARGET総合pt
1戸崎圭太56戸崎圭太55
2岩田康誠53岩田康誠53
3浜中俊43北村宏司45
4福永祐一43浜中俊43
5北村宏司41福永祐一41
2013年 リーディング:福永祐一
順位本家総合ptTARGET総合pt
1福永祐一50福永祐一50
2岩田康誠49浜中俊47
3戸崎圭太46内田博幸47
4内田博幸46戸崎圭太42
5浜中俊45岩田康誠42

2017年のTARGET集計は戸崎騎手の賞金ポイントがJRA公式より高くなった結果、僅差で逆転MVJになっています。公式集計で僅差になる場合はこのような逆転現象が発生する可能性に留意する必要がありますし、ポイントに若干の相違が出る、順位の変動も少しあるものの、概ね総合ポイント1位(MVJになる騎手)への影響は小さいと判断して、引き続き2012年以前のMVJを確認することとしました。そんなわけで、記事タイトルに「中央戦績限定で」と但書をつけています。結果は以下のとおりです。

2012年

順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1浜中俊横山典弘岩田康誠幸英明浜中俊49
2蛯名正義福永祐一内田博幸和田竜二岩田康誠47
3岩田康誠蛯名正義福永祐一三浦皇成蛯名正義46
4内田博幸浜中俊蛯名正義北村宏司内田博幸41
5福永祐一内田博幸浜中俊浜中俊福永祐一38
2011年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1福永祐一福永祐一岩田康誠幸英明岩田康誠54
2岩田康誠川田将雅福永祐一川須栄彦福永祐一53
3川田将雅岩田康誠池添謙一和田竜二蛯名正義38
4蛯名正義横山典弘横山典弘岩田康誠川田将雅37
5横山典弘藤田伸二蛯名正義田辺裕信横山典弘35
2010年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1横山典弘横山典弘横山典弘幸英明蛯名正義48
2内田博幸武豊蛯名正義和田竜二横山典弘45
3蛯名正義安藤勝己福永祐一北村宏司内田博幸44
4福永祐一藤田伸二内田博幸吉田豊福永祐一39
5松岡正海内田博幸後藤浩輝蛯名正義松岡正海39
2009年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1内田博幸安藤勝己武豊内田博幸内田博幸57
2武豊武豊内田博幸幸英明武豊45
3岩田康誠内田博幸横山典弘岩田康誠岩田康誠45
4藤田伸二横山典弘藤田伸二和田竜二藤田伸二36
5横山典弘藤田伸二岩田康誠中舘英二横山典弘36
2008年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊岩田康誠幸英明内田博幸53
2内田博幸安藤勝己安藤勝己内田博幸岩田康誠49
3安藤勝己内田博幸武豊中舘英二武豊43
4岩田康誠横山典弘内田博幸浜中俊安藤勝己41
5後藤浩輝岩田康誠横山典弘岩田康誠後藤浩輝40
2007年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊安藤勝己武豊幸英明岩田康誠54
2岩田康誠武豊岩田康誠吉田隼人後藤浩輝45
3安藤勝己岩田康誠安藤勝己岩田康誠武豊44
4後藤浩輝藤田伸二蛯名正義後藤浩輝安藤勝己41
5田中勝春横山典弘後藤浩輝中舘英二田中勝春38
2006年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊岩田康誠藤田伸二51
2藤田伸二安藤勝己安藤勝己中舘英二岩田康誠51
3岩田康誠横山典弘岩田康誠藤田伸二武豊48
4安藤勝己藤田伸二藤田伸二幸英明安藤勝己40
5横山典弘内田博幸福永祐一和田竜二後藤浩輝36
2005年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊田中勝春武豊58
2横山典弘横山典弘福永祐一中舘英二横山典弘47
3藤田伸二安藤勝己横山典弘武豊藤田伸二47
4福永祐一藤田伸二藤田伸二幸英明福永祐一46
5柴田善臣福永祐一安藤勝己蛯名正義柴田善臣39
2004年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊柴田善臣武豊59
2柴田善臣安藤勝己安藤勝己武豊柴田善臣53
3安藤勝己O.ペリエ柴田善臣中舘英二藤田伸二43
4藤田伸二横山典弘横山典弘後藤浩輝安藤勝己41
5横山典弘柴田善臣福永祐一藤田伸二横山典弘40
2003年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊柴田善臣武豊59
2柴田善臣安藤勝己安藤勝己武豊柴田善臣54
3安藤勝己柴田善臣横山典弘藤田伸二藤田伸二46
4藤田伸二蛯名正義柴田善臣蛯名正義蛯名正義46
5蛯名正義藤田伸二蛯名正義中舘英二安藤勝己42
2002年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊中舘英二柴田善臣52
2柴田善臣横山典弘藤田伸二柴田善臣藤田伸二50
3藤田伸二岡部幸雄柴田善臣田中勝春武豊45
4蛯名正義藤田伸二岡部幸雄蛯名正義蛯名正義42
5横山典弘柴田善臣福永祐一藤田伸二福永祐一36
2001年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1蛯名正義武豊蛯名正義蛯名正義蛯名正義57
2柴田善臣四位洋文横山典弘柴田善臣柴田善臣52
3岡部幸雄岡部幸雄柴田善臣田中勝春横山典弘42
4中舘英二蛯名正義四位洋文中舘英二岡部幸雄39
5四位洋文柴田善臣岡部幸雄藤田伸二四位洋文37
2000年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊松永幹夫岡部幸雄50
2岡部幸雄河内洋岡部幸雄中舘英二横山典弘47
3後藤浩輝岡部幸雄横山典弘田中勝春武豊45
4横山典弘横山典弘松永幹夫四位洋文後藤浩輝45
5四位洋文後藤浩輝四位洋文後藤浩輝四位洋文44
1999年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊武豊武豊60
2蛯名正義岡部幸雄蛯名正義蛯名正義蛯名正義55
3柴田善臣蛯名正義横山典弘柴田善臣柴田善臣48
4岡部幸雄藤田伸二柴田善臣横山典弘横山典弘43
5横山典弘高橋亮的場均的場均藤田伸二38
1998年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊蛯名正義武豊58
2蛯名正義蛯名正義蛯名正義柴田善臣蛯名正義57
3柴田善臣岡部幸雄横山典弘武豊横山典弘48
4横山典弘横山典弘岡部幸雄松永幹夫柴田善臣47
5岡部幸雄四位洋文柴田善臣横山典弘岡部幸雄40
1997年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊武豊武豊武豊60
2岡部幸雄岡部幸雄岡部幸雄柴田善臣松永幹夫51
3松永幹夫松永幹夫松永幹夫福永祐一岡部幸雄48
4柴田善臣河内洋横山典弘松永幹夫柴田善臣46
5横山典弘横山典弘柴田善臣蛯名正義横山典弘43
1996年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊岡部幸雄武豊武豊武豊59
2岡部幸雄武豊横山典弘柴田善臣岡部幸雄53
3横山典弘横山典弘岡部幸雄横山典弘横山典弘53
4蛯名正義河内洋蛯名正義蛯名正義蛯名正義43
5柴田善臣佐藤哲三藤田伸二岡部幸雄柴田善臣40
1995年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊岡部幸雄武豊横山典弘武豊58
2横山典弘武豊岡部幸雄武豊横山典弘55
3岡部幸雄横山典弘横山典弘松永幹夫岡部幸雄50
4的場均柴田善臣的場均的場均的場均47
5松永幹夫的場均柴田善臣田中勝春柴田善臣42
1994年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊武豊岡部幸雄的場均岡部幸雄51
2岡部幸雄岡部幸雄武豊田中勝春武豊50
3的場均河内洋南井克巳南井克巳的場均49
4南井克巳角田晃一的場均横山典弘南井克巳49
5柴田善臣南井克巳河内洋松永幹夫柴田善臣40
1993年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊岡部幸雄武豊武豊武豊59
2岡部幸雄武豊岡部幸雄南井克巳柴田政人50
3柴田政人柴田政人柴田政人的場均南井克巳48
4南井克巳河内洋南井克巳田中勝春岡部幸雄45
5的場均的場均河内洋柴田政人的場均45
1992年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊岡部幸雄岡部幸雄南井克巳岡部幸雄56
2岡部幸雄武豊南井克巳柴田政人武豊55
3南井克巳南井克巳武豊武豊南井克巳55
4柴田政人角田晃一柴田政人岡部幸雄柴田政人49
5田中勝春柴田政人河内洋田中勝春横山典弘34
1991年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1岡部幸雄岡部幸雄岡部幸雄南井克巳岡部幸雄57
2武豊増沢末夫武豊武豊武豊55
3南井克巳武豊南井克巳松永幹夫南井克巳49
4増沢末夫角田晃一河内洋岡部幸雄松永幹夫41
5松永幹夫的場均柴田政人岸滋彦増沢末夫40
1990年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊岡部幸雄武豊武豊武豊57
2岡部幸雄増沢末夫岡部幸雄南井克巳岡部幸雄55
3増沢末夫河内洋柴田政人安田隆行増沢末夫47
4河内洋武豊南井克巳岡部幸雄柴田政人45
5柴田政人柴田政人横山典弘増沢末夫河内洋42
1989年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1武豊岡部幸雄武豊武豊武豊59
2岡部幸雄武豊岡部幸雄南井克巳柴田政人48
3柴田政人増沢末夫南井克巳松永幹夫松永幹夫47
4松永幹夫柴田政人柴田政人蛯沢誠治岡部幸雄46
5増沢末夫松永幹夫松永幹夫柴田政人増沢末夫41
1988年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1柴田政人岡部幸雄南井克巳南井克巳柴田政人55
2武豊柴田政人河内洋柴田政人武豊53
3南井克巳武豊武豊武豊南井克巳53
4河内洋河内洋柴田政人河内洋河内洋50
5増沢末夫増沢末夫岡部幸雄増沢末夫増沢末夫43
1987年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1岡部幸雄岡部幸雄岡部幸雄岡部幸雄岡部幸雄60
2増沢末夫増沢末夫柴田政人南井克巳増沢末夫54
3南井克巳河内洋増沢末夫増沢末夫南井克巳50
4河内洋南井克巳河内洋柴田政人河内洋46
5柴田政人田原成貴南井克巳的場均柴田政人45
1986年
順位勝利度数勝率賞金騎乗数総合総合pt
1河内洋増沢末夫河内洋南井克巳河内洋58
2増沢末夫河内洋増沢末夫河内洋増沢末夫54
3岡部幸雄岡部幸雄岡部幸雄柴田政人岡部幸雄51
4柴田政人田原成貴柴田政人岡部幸雄柴田政人48
5的場均柴田政人南井克巳増沢末夫的場均41

リーディングになったからといってMVJになるわけではない年が多く発生していることがわかります。1986年以降の37年間(正式集計が始まった2013年以降を含む)でリーディング騎手がMVJを獲得していないのは10回。昨年の川田騎手が11年ぶりであったとはいえ、平均すると3,4年に1回はリーディング騎手がMVJではないというのは決して少なくないように思います。武豊騎手は92年から9年連続、1年挟み02年から7年連続リーディングを獲得していますが、この16年でのMVJは9回。少ないとさえ言えます。ノンタイトルでのMVJも2000年、2002年、2006年、2007年、2008年、2010年の6度発生。騎乗数を評価対象にする以上、この現象は何らおかしいなものではないと判断します。

特に00年、02年、06年の武豊騎手は、勝利度数、勝率、賞金で1位でありながら、騎乗数が影響してMVJ集計では3位と、2位ですらない結果に。各年で1位になった岡部騎手、柴田善騎手、藤田伸騎手は、騎乗数もしっかりあって4部門すべてで上位になった結果、1位になっています。やはりMVJは騎乗数でも上位にならないと獲得できないもので、そのネーミングはともかくとして騎乗数あっての「Valuable」なのだろうと想像されます。

一方で4部門すべて1位で満点というのは87年の岡部騎手、97年、99年の武豊騎手。20年以上満点獲得者が出ておらず、かなりハードルが高くなっています。かつてはリーディング上位騎手が自然と騎乗数も多くなる傾向がありましたが、近年は騎乗数上位騎手が勝利度数、勝率、獲得賞金と明らかに違うので、満点が出づらくなっています。満点に向けては騎乗数で1位を獲れるかが鍵で、そうした意味でMVJ完全制覇に最も近い位置にいる(騎乗数最多の可能性があり、なおかつリーディングを獲れそう)のは戸崎騎手であろうと思われます。もっとも現在の勝率部門は川田騎手が盤石なので、結局完全制覇は難しいのかもしれませんが。

以上、各年の数字を見てきた中では

・MVJは騎乗数も評価するところに意義がある
・その結果、騎手大賞級の成績を収めてもMVJを受賞できないことがある。それは22年に限ったことではない

ということが見えてきました。MVJをJRA賞の部門として大々的に表彰することの是非、ポイントの与え方に議論の余地はありましょうが、この制度は集計が簡単な割に、現時点でもなかなかいい感じに機能しているのではないかと思います。

*1:川田騎手がMVJになるにはあとおよそ120鞍の騎乗が必要でした。1日あたりに均すと1鞍以上2鞍以下ですが、積み重ねると大きな数字に…

*2:【書く書くしかじか】再考を期待したいJRA賞「MVJ」の選出方法 https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2023/02/08/kiji/20230208b00004048003000c.html