あの名馬、(86年以降に)一度だけ騎乗したことがあります選手権
先日ネオユニヴァース号の死去が報じられ、改めて戦績を見ていたら一度だけ池添謙騎手が騎乗しているのを見つけました。筆者が競馬を見るようになった頃の活躍馬で、当時は馬の過去の戦績についてはあまり見ていなかった、騎手もそこまで知らなかったため、そんな過去があったことに全く気付いていませんでした。
このような、有名馬の代打騎乗、一回きりの騎乗として語り草なのは近年、と言っても15年以上前ですが、キングカメハメハ号のD.バルジュー騎手ではないかと思います。そのような例がもっとあるのではないか、各騎手が一度だけ騎乗した馬にどんな馬がいるか、という興味のもとで調べてみることにしました。
本件の最初の着想は「主戦じゃなかった馬」という括りだったのですが、主戦か否かの定義が曖昧なのと、仮に騎乗数1位だった馬を除外ということにしてもそれをいちいち確認するのが大変なので、明快な線引きと調査の軽減を目的に「騎乗数1回の馬」を対象としました。考え方は以下です。
・86年以降に騎乗した全中央騎手(まだ騎乗数の少ない20~21年デビューの騎手は除く)が対象。86年以前にデビューした騎手も含む。地方・海外出身騎手は、中央移籍後の騎乗馬のみを対象とした。例として、小牧騎手や内田騎手が一度だけ騎乗したことのある賞金上位馬のカンパニー号は地方騎手時代の騎乗だったため対象外。
・各騎手、86/1/1~21/2/28に一度だけ騎乗したことのある馬(その際の着順は問わない)の中で最終的な獲得賞金が大きい馬(21/2/28終了時点)を、賞金順に上位3頭抽出。西村淳騎手は最新データまで含めると21年金鯱賞のギベオン号が1位になるが、集計期間の関係では除外。賞金ゼロの馬が上位に来る騎手は賞金を1万円でも稼いだ馬のみ掲載*1。
・獲得賞金額はTARGET frontier JV上の「本賞金」(1~5着の入着賞金の合計)に基づく。地方・海外の賞金は含まない。
・「一度だけ騎乗」の定義は集計に用いるTARGET frontier JVの性質上、地方や海外で一度だけのケースは除く。中央で一度だけであっても、地方海外も含めると二度以上になるケースも除いた*2つもりだが、これはチェックが甘いため見落としがある可能性もある。また、86年前後の活躍馬については、86年以降では一度のみの騎乗でも85年に騎乗しているケースが散見される*3が、これに関しては除外せずそのまま掲載することとした。
・出走取消、競走除外は騎乗数にカウントしない。
・賞金は最近の方が高いので、ランキング形式にすると最近の騎手ばかり上位になること、調査の主眼が「この騎手はどんな馬に一度だけ騎乗したのか」であって騎手中心であること、騎手の探しやすさを重視したこと等から、リストはランキング形式ではなく騎手名五十音順とした。改姓した騎手は引退時あるいは現時点の姓でソート。例えば岩崎翼騎手は和田翼騎手とする。
ちょっとわかりづらいですが、リストをご覧いただくとわかるのではないかと思います。全部で500人超と膨大ですが早速どうぞ。一覧は騎手をキーとして並べていますが、最後のほうに馬をキーとして一流馬(ここでは本賞金5億円以上としました)に限り一度だけ騎乗した騎手のリストを作成したのでそちらも併せてご参照ください。
<騎手あ・い>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
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<騎手う~お>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
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<騎手か・き>
<騎手く~こ>
<騎手さ行>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
---|---|
<騎手た>
<騎手ち~と>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
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<騎手な行>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
---|---|
<騎手は行>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
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<騎手ま行>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
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<騎手や行・ら行・わ>
騎手名 | 1回騎乗馬賞金上位3頭 |
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<本賞金5億円以上の馬に一度だけ騎乗した騎手>(馬の本賞金順)
調べていて見えてきた傾向としては以下が挙げられます。
・有名馬に意外な騎手が騎乗している場合、デビューから3戦以内、もしくは引退レースに騎乗しがち。
・複数の騎手が1回しか騎乗していない有名馬は意外と多い。主戦が固定されるまでさまざまな騎手が騎乗した(ディープスカイ号など)、障碍馬の平地一叩きでの単発起用が多かった(メルシーエイタイム号など)など。
・そこまで有名馬でなくても複数の騎手にとって1回騎乗馬の賞金上位になっているケースも散見される(マツノエブエ号など)。厩舎の騎手起用の傾向がある程度表れていると思われる。
1回だけ騎乗したことがあるという今回の観点で、個人的にインパクトがあったのは武豊騎手のタップダンスシチー号、岩崎祐騎手のスーパーホーネット号、二本柳騎手のマンハッタンカフェ号、吉永護騎手のスナークレイアース号、土肥騎手のシルクフェイマス号あたりでしょうか。調べる過程で「本当に乗ったことあるの?」と実際に馬の戦績を確認したのも一度や二度ではありません。主戦のイメージが強い馬ほど他の騎手が乗っていると意外な印象を受けますし、競馬を見るようになった時期によって騎手なり馬なりの注目ポイントが違ってくるのではないかと思います。