今週末は東京でヴィクトリアマイルが開催されます。人気の一角になりそうなのがサウンドオブハート号。管理する松山康師は来年2月いっぱいで定年の69歳、ここ最近の関東馬の好調の波に乗って、引退間際のGI優勝なるか、に注目が集まっています。
ところで、以前本ブログにて「関東の60歳を過ぎた調教師はGIを優勝できない」という、あくまで結果論で根拠に乏しいながらも、そのような説を唱えたことがあることをご存知でしょうか*1。この説というかジンクスは、「関東の61歳以上の調教師は平地GIを優勝できない」と微修正すれば今なお継続されている珍説になっています。
確認してみましょう。平地GIを優勝した関東馬を管理していた調教師の、優勝時点での年齢を見てみます。最新のレースから、調教師年齢が61歳以上だった時点まで遡ります。
61歳以上の関東の調教師の平地GI優勝は全くないわけではないですが、実に14年半前まで遡ることになります。オカルトではありますが、これを素直に受け取ると、サウンドオブハート号とホエールキャプチャ号(田中清師が61歳)は勝ち切るまでには苦しい、ということになります。
そもそも61歳以上の関東の調教師が有力馬を出走させていなかった可能性もゼロではないので、1998年11月1日以降の、3番人気以内かつレース時点の調教師年齢が61歳以上だった関東馬の例を以下に挙げます。
年月日 | レース名 | 対象馬 | 着順 | 調教師 | 年齢(当時) | 優勝馬 |
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130414 | 皐月賞 | コディーノ | 3着 | 藤沢和雄 | 61歳 | ロゴタイプ |
130324 | 高松宮記念 | サンカルロ | 9着 | 大久保洋吉 | 68歳 | ロードカナロア |
121216 | 朝日杯FS | コディーノ | 2着 | 藤沢和雄 | 61歳 | ロゴタイプ |
120520 | 優駿牝馬 | ミッドサマーフェア | 13着 | 小島太 | 65歳 | ジェンティルドンナ |
120325 | 高松宮記念 | サンカルロ | 2着 | 大久保洋吉 | 67歳 | カレンチャン |
111211 | 阪神JF | サウンドオブハート | 3着 | 松山康久 | 68歳 | ジョワドヴィーヴル |
101017 | 秋華賞 | アプリコットフィズ | 3着 | 小島太 | 63歳 | アパパネ |
100411 | 桜花賞 | アプリコットフィズ | 5着 | 小島太 | 63歳 | アパパネ |
090510 | NHKマイルC | サンカルロ | 18着※ | 大久保洋吉 | 64歳 | ジョーカプチーノ |
081026 | 菊花賞 | マイネルチャールズ | 5着 | 稲葉隆一 | 67歳 | オウケンブルースリ |
080601 | 東京優駿 | マイネルチャールズ | 4着 | 稲葉隆一 | 67歳 | ディープスカイ |
080420 | 皐月賞 | マイネルチャールズ | 3着 | 稲葉隆一 | 66歳 | キャプテントゥーレ |
060507 | NHKマイルC | マイネルスケルツィ | 10着 | 稲葉隆一 | 64歳 | ロジック |
990418 | 皐月賞 | マイネルプラチナム | 9着 | 矢野進 | 61歳 | テイエムオペラオー |
こうして見ると、人気していたとはいえ、1着馬を見る限り、人気で負けても仕方ないか、というレースも少なくないです。今回のヴィクトリアマイルは絶対的な本命がおらず混戦模様なので、サウンドオブハート号にとってはチャンスなのかもしれません。
コディーノ号が朝日杯FSや皐月賞に出走してきた際、名門藤沢和厩舎、かなりの人気馬ということもあって、60歳限界説を検証するにはちょうどいい材料と思っていたのですが、実際負けてしまったことで、このジンクスの信憑性が増した形に。今回、上位人気は間違いないであろうサウンドオブハートが優勝できないとなると、どんどん本説が補強されることになってしまいます。そろそろジンクスが破れてもいい頃ではありますが、果たして。
それとも、このジンクスが破れるのは3年後に61歳になる国枝師あたりまで待たねばならないのでしょうかね。
*1:「GI競走における関東馬・関西馬の優勝」http://d.hatena.ne.jp/horsedata/20101022/p1