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サウンドオブハート号はGIを優勝できるのか

今週末は東京でヴィクトリアマイルが開催されます。人気の一角になりそうなのがサウンドオブハート号。管理する松山康師は来年2月いっぱいで定年の69歳、ここ最近の関東馬の好調の波に乗って、引退間際のGI優勝なるか、に注目が集まっています。
ところで、以前本ブログにて「関東の60歳を過ぎた調教師はGIを優勝できない」という、あくまで結果論で根拠に乏しいながらも、そのような説を唱えたことがあることをご存知でしょうか*1。この説というかジンクスは、「関東の61歳以上の調教師は平地GIを優勝できない」と微修正すれば今なお継続されている珍説になっています。

確認してみましょう。平地GIを優勝した関東馬を管理していた調教師の、優勝時点での年齢を見てみます。最新のレースから、調教師年齢が61歳以上だった時点まで遡ります。

年月日レース名勝馬調教師年齢(当時)
130505NHKマイルCマイネルホウオウ畠山吉宏50歳
130428天皇賞・春フェノーメノ戸田博文49歳
130414皐月賞ロゴタイプ田中剛52歳
130407桜花賞アユサン手塚貴久48歳
121216朝日杯FSロゴタイプ田中剛51歳
121111エリザベス女王杯レインボーダリア二ノ宮敬宇60歳
120603安田記念ストロングリターン堀宣行44歳
120513ヴィクトリアマイルホエールキャプチャ田中清隆60歳
111218朝日杯FSアルフレード手塚貴久47歳
110605安田記念リアルインパクト堀宣行43歳
110515ヴィクトリアマイルアパパネ国枝栄56歳
110327高松宮記念キンシャサノキセキ堀宣行43歳
101017秋華賞アパパネ国枝栄55歳
100627宝塚記念ナカヤマフェスタ二ノ宮敬宇57歳
100606安田記念ショウワモダン杉浦宏昭49歳
100523優駿牝馬アパパネ国枝栄55歳
100523優駿牝馬サンテミリオン古賀慎明44歳
100502天皇賞・春ジャガーメイル堀宣行42歳
100411桜花賞アパパネ国枝栄55歳
100328高松宮記念キンシャサノキセキ堀宣行42歳
091213阪神JFアパパネ国枝栄54歳
091115エリザベス女王杯クィーンスプマンテ小島茂之41歳
090531東京優駿ロジユニヴァース萩原清50歳
090503天皇賞・春マイネルキッツ国枝栄54歳
081130ジャパンカップスクリーンヒーロー鹿戸雄一46歳
081019秋華賞ブラックエンブレム小島茂之40歳
071223有馬記念マツリダゴッホ国枝栄52歳
071209朝日杯FSゴスホークケン斎藤誠36歳
071118マイルCSダイワメジャー上原博之50歳
070603安田記念ダイワメジャー上原博之50歳
070513ヴィクトリアマイルコイウタ奥平雅士34歳
070506NHKマイルCピンクカメオ国枝栄52歳
061119マイルCSダイワメジャー上原博之49歳
061029天皇賞・秋ダイワメジャー上原博之49歳
060514ヴィクトリアマイルダンスインザムード藤沢和雄54歳
060409桜花賞キストゥヘヴン戸田博文42歳
050605安田記念アサクサデンエン河野通文55歳
041226有馬記念ゼンノロブロイ藤沢和雄53歳
041212朝日杯FSマイネルレコルト堀井雅広53歳
041205阪神JFショウナンパントル大久保洋吉60歳
041128ジャパンカップゼンノロブロイ藤沢和雄53歳
041031天皇賞・秋ゼンノロブロイ藤沢和雄53歳
040502天皇賞・春イングランディーレ清水美波60歳
040418皐月賞ダイワメジャー上原博之47歳
040411桜花賞ダンスインザムード藤沢和雄52歳
031228有馬記念シンボリクリスエス藤沢和雄52歳
031102天皇賞・秋シンボリクリスエス藤沢和雄52歳
021222有馬記念シンボリクリスエス藤沢和雄51歳
021123ジャパンカップダートイーグルカフェ小島太55歳
021117マイルCSトウカイポイント後藤由之49歳
021027天皇賞・秋シンボリクリスエス藤沢和雄51歳
020519優駿牝馬スマイルトゥモロー勢司和浩40歳
020504NHKマイルCテレグノシス杉浦宏昭41歳
020428天皇賞・春マンハッタンカフェ小島太55歳
020324高松宮記念ショウナンカンプ大久保洋吉57歳
011223有馬記念マンハッタンカフェ小島太54歳
011118マイルCSゼンノエルシド藤沢和雄50歳
011021菊花賞マンハッタンカフェ小島太54歳
010930スプリンターズSトロットスター中野栄治48歳
010603安田記念ブラックホーク国枝栄46歳
010520優駿牝馬レディパステル田中清隆49歳
010325高松宮記念トロットスター中野栄治48歳
000507NHKマイルCイーグルカフェ小島太53歳
991226有馬記念グラスワンダー尾形充弘52歳
991219スプリンターズSブラックホーク国枝栄44歳
991121マイルCSエアジハード伊藤正徳51歳
991114エリザベス女王杯メジロドーベル大久保洋吉55歳
990711宝塚記念グラスワンダー尾形充弘51歳
990613安田記念エアジハード伊藤正徳50歳
990530優駿牝馬ウメノファイバー相沢郁39歳
990516NHKマイルCシンボリインディ藤沢和雄47歳
981227有馬記念グラスワンダー尾形充弘51歳
981220スプリンターズSマイネルラヴ稲葉隆一57歳
981206阪神3歳牝馬Sスティンガー藤沢和雄47歳
981129ジャパンカップエルコンドルパサー二ノ宮敬宇46歳
981122マイルCSタイキシャトル藤沢和雄47歳
981115エリザベス女王杯メジロドーベル大久保洋吉54歳
981108菊花賞セイウンスカイ保田一隆46歳
981101天皇賞・秋オフサイドトラップ加藤修甫63歳


61歳以上の関東の調教師の平地GI優勝は全くないわけではないですが、実に14年半前まで遡ることになります。オカルトではありますが、これを素直に受け取ると、サウンドオブハート号とホエールキャプチャ号(田中清師が61歳)は勝ち切るまでには苦しい、ということになります。

そもそも61歳以上の関東の調教師が有力馬を出走させていなかった可能性もゼロではないので、1998年11月1日以降の、3番人気以内かつレース時点の調教師年齢が61歳以上だった関東馬の例を以下に挙げます。

年月日レース名対象馬着順調教師年齢(当時)勝馬
130414皐月賞コディーノ 3着藤沢和雄61歳ロゴタイプ
130324高松宮記念サンカルロ 9着大久保洋吉68歳ロードカナロア
121216朝日杯FSコディーノ 2着藤沢和雄61歳ロゴタイプ
120520優駿牝馬ミッドサマーフェア13着小島太65歳ジェンティルドンナ
120325高松宮記念サンカルロ 2着大久保洋吉67歳カレンチャン
111211阪神JFサウンドオブハート 3着松山康久68歳ジョワドヴィーヴル
101017秋華賞アプリコットフィズ 3着小島太63歳アパパネ
100411桜花賞アプリコットフィズ 5着小島太63歳アパパネ
090510NHKマイルCサンカルロ18着※大久保洋吉64歳ジョーカプチーノ
081026菊花賞マイネルチャールズ 5着稲葉隆一67歳オウケンブルースリ
080601東京優駿マイネルチャールズ 4着稲葉隆一67歳ディープスカイ
080420皐月賞マイネルチャールズ 3着稲葉隆一66歳キャプテントゥーレ
060507NHKマイルCマイネルスケルツィ10着稲葉隆一64歳ロジック
990418皐月賞マイネルプラチナム 9着矢野進61歳テイエムオペラオー
※8位入線


こうして見ると、人気していたとはいえ、1着馬を見る限り、人気で負けても仕方ないか、というレースも少なくないです。今回のヴィクトリアマイルは絶対的な本命がおらず混戦模様なので、サウンドオブハート号にとってはチャンスなのかもしれません。

コディーノ号が朝日杯FS皐月賞に出走してきた際、名門藤沢和厩舎、かなりの人気馬ということもあって、60歳限界説を検証するにはちょうどいい材料と思っていたのですが、実際負けてしまったことで、このジンクスの信憑性が増した形に。今回、上位人気は間違いないであろうサウンドオブハートが優勝できないとなると、どんどん本説が補強されることになってしまいます。そろそろジンクスが破れてもいい頃ではありますが、果たして。
それとも、このジンクスが破れるのは3年後に61歳になる国枝師あたりまで待たねばならないのでしょうかね。