中央競馬のためにならない話

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夏競馬で平地の古馬オープンを2勝した3歳馬

先週をもって夏競馬が終了。3歳馬戦線は、クラシック最後の一冠(厳密には、牝馬はクラシックではなく三冠最後の一冠)に向けて、春のGIを戦ってきたメンバーと、所謂夏の上がり馬との力関係の判断が馬券検討のうえで重要になってくるものと思われます。夏の上がり馬の上位として名前が挙がるであろう競走馬がトウカイメロディ号。1000万下のHTB杯を勝利したのち、格上挑戦でみなみ北海道Sを優勝。ハンデ戦から別定戦になった札幌日経オープンも優勝し、一躍菊花賞の有力候補になりました。
トウカイメロディ号の戦績の特徴は、「夏競馬における平地のオープン格の競走で、3歳馬が古馬相手に2勝している」ことです。これはローテーションの関係等々あってほとんどの方が「最近そんな馬いたかな」と思いそうな戦績であります。果たしてそのような馬が過去にいたのでしょうか。調べてみました。


結果として、トウカイメロディ号を含め4頭いました。順番に、夏競馬の成績を挙げていきます。特記しない限り、すべてオープン特別競走です。

ニホンピロスタディ号(3歳時1995年)
白樺賞(芝1000) 1着→札幌スプリントS(G3・芝1200) 2着→マリーンS(芝1200) 1着→青函S(芝1200) 2着

エアエミネム号(3歳時2001年)
巴賞(芝1800) 1着→札幌記念(G2・芝2000) 1着

クーヴェルチュール号(3歳時2007年)
バーデンバーデンC(芝1200) 1着→アイビスサマーダッシュ(G3・直線芝1000) 3着→キーンランドC(G3・芝1200) 1着

トウカイメロディ号(3歳時2010年)
HTB杯(1000万下・芝2000) 1着→みなみ北海道S(芝2600) 1着→札幌日経オープン(芝2600) 1着

こういうのはなかなか思い出せないものですが、そういえばエアエミネム号やクーヴェルチュール号がいました。ニホンピロスタディ号はわたしはよく知らないのですが、短距離戦とはいえオープン格の競走4連戦ですべて連対というのは立派ではないかと思います。4頭で複勝圏を外した馬はおらず、この時期としては3歳勢の中でもかなりの安定株であったと想像されます。


なお、過去の3頭の秋競馬初戦・第2戦の成績は以下のようになっています。

 秋初戦第2戦
ニホンピロスタディオパールS 1着スワンS(G2) 6着
エアエミネム神戸新聞杯(G2) 1着菊花賞(G1) 3着
クーヴェルチュールスプリンターズS(G1) 8着福島民友C 2着
このサンプル数でどうこう言うのも問題ですが、強いて言うなら格のあまり高くない競走では大きく崩れていない、と言えそうです。ただGIくらいの格にもなるとなかなか難しいところがあるのかもしれません。


果たして夏競馬で3歳馬のオープン2勝がよいことなのかは不明です。実績馬は敢えて勝つ必要はありませんし、条件馬にしてもトライアルに向かうことのできる、あるいは本番に出られるだけの賞金があればよいわけですし*1。トウカイメロディ号の場合も、いかに目標が菊花賞といっても、みなみ北海道S優勝の時点で賞金を心配する必要はなくなったのだから、再戦ムードの札幌日経オープンよりはトライアル競走で同世代の強豪と戦うほうが本番に向けて、さらには秋以降の糧になるのでは、と思うのですが。次走は菊花賞直行とのことで、当然人気はするでしょうけれどぶっつけでどこまでやれるかな?となると不透明かと。いかに古馬相手で強い内容だったとしてもメンバーが薄くなりがちな長距離戦ですし、つい疑問視してしまいたくなります。案外、みんな同じようなことを考えて人気しないかもしれませんけどね。


なお、補足的なことになりますが、3歳以上のオープン級のレースで史上最も早く勝利した3歳馬はクーヴェルチュール号、07年6月17日。重賞では06年6月18日のマーメイドSソリッドプラチナム号です。春競馬の間の3歳以上の競走では、初の3歳馬の出走があった91年以降の約20年において、出走数自体がわずか26頭とはいえ、いまだ勝ち馬が出ていないようです。一流どころはみなGI戦線に行ってしまうとか、斤量が軽くなるので騎乗可能な騎手が少ないという要素もあるでしょう。もっとも、07年欅Sでのトロピカルライト号を皮切りに、ここ4年で4連対。6月開催に移ったCBC賞では2年連続3歳馬が連対しています。春競馬の間に3歳馬が古馬の壁を破る日はそう遠くないのかもしれません。

*1:今年は3歳馬の勝ち上がりが多いので一概には言えませんが、例年の菊花賞のボーダーは1000万下勝ちで抽選になるかどうかです