中央競馬のためにならない話

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昨年飛躍した騎手・沈んだ騎手

昨年の各騎手の勝利数や騎乗レース数を一昨年のそれと比較して、飛躍の度合いや沈み具合を見てみます。

・勝利数比のトップは伊藤工騎手。前年1勝から23勝、前年比23倍です。正月競馬で立て続けに勝利して、軌道に乗ったのが大きいと思われます。ただ、昨日述べたとおり少し不安も…。
・次いで前年1勝から8勝、前年比8倍の柴原騎手。昆厩舎で5勝、師匠の田中章厩舎で3勝。師匠の馬の巡り合わせはもちろんありますが、昆厩舎を手伝うようになったのがやはり大きいですね。
・前年4勝の五十嵐騎手が15勝、前年比3.75倍です。平地は2勝→1勝となりましたが、障碍だけで14勝と障碍リーディングを獲得。
・一昨年末に重賞を優勝した宮崎騎手、11勝から37勝と勝ち星を伸ばしました。前年比3.36倍。昨年からある程度勝っていた騎手の中では、彼が最も勝ち星を伸ばした騎手と言えるかも。
・ほか、勝利数前年比3倍以上は1勝→3勝の上野騎手と高野容騎手。
・勝利数前年比2倍以上に田辺騎手(13勝→33勝)と熊沢騎手(14勝→34勝)がいます。熊沢騎手は春先、お子さんが生まれるなどで気合いが入っているという記事もありましたね。久々に重賞で優勝、障碍リーディングでも上位に食い込んで、この歳で例年並みの勝ち星まで復調してきました。ただ、最近はペースが落ち気味。来年はヒラボクロイヤル号にかかっているかもしれません。田辺騎手は8年目、通算125勝のうち4分の1を今年稼ぎました。もともと小回りローカルの穴といえば田辺騎手でしたが、今年は全体的に大暴れでしたね。騎乗停止の多い彼が、今年は1回だけだったのも大きかったかも。
・ほか、勝利数前年比2倍以上は丹内騎手(3勝→8勝)、黛騎手(6勝→12勝)、田面木騎手(1勝→2勝)、高橋亮騎手(1勝→2勝)、生野騎手(2勝→4勝)、柴田大騎手(1勝→2勝)、草野騎手(2勝→4勝)、北村浩騎手(1勝→2勝)。とはいえ、2倍以上になって2桁勝利に乗せたのは黛騎手のみ。また、丹内騎手は一昨年休養時期があった関係での勝利数2倍以上です。
・勝利数前年比1.5〜2倍の中には和田騎手(44勝→70勝)や太宰騎手(25勝→45勝)が。関西ダートでは買わないわけにはいかない和田騎手は自己最多勝利。とはいえ、芝で40勝、ダートで30勝と、芝でも十分やれるところを見せています。太宰騎手は先日も書きましたが地味に勝ち星を伸ばし、通算300勝弱のおよそ6分の1を12年目の昨年に挙げました。
・丸田騎手も31勝→48勝、前年比1.55倍。一昨年のブレイクをつなげることができたのは立派です。通算82勝、怪我もありますし自力で減量を外すのは少し苦しいでしょうが、減量がなくなった途端騎乗数激減ということはなさそう。
・北村宏騎手も87勝で前年比1.58倍ですが、彼は一昨年休養した時期があり、騎乗レース数も同じように増えているので、これは例年並みの勝ち星に戻っただけですね。
・小坂騎手(6勝→11勝)、植野騎手(6勝→9勝)、穂苅騎手(5勝→9勝)といった障碍組が勝ち星を伸ばしました。小坂騎手、昨年は障碍でわずか2勝だったんですねえ…。
・白浜騎手も前年比1.5倍ですが、それでも3勝。昨年2勝、今年3勝というのは、障碍界トップクラスの騎手としてはかなり物足りない数字です。休養していたわけでもないですし、まだ30歳、衰える歳でもないのですが。
・反対に大きく勝ち星を減らした騎手の筆頭は、何といっても千葉騎手(20勝→0勝)。減量がなくなった昨年は、まだ減量のあった最初の2ヶ月で勝てなかったのが響いたのか、とうとう未勝利で終えてしまいました。
・減量がなくなって苦しんでいるのは他にも田中克騎手(15勝→4勝)、田村騎手(12勝→2勝)、船曳騎手(9勝→1勝)といます。
・今年未勝利で終わった組には去年7勝の黒岩騎手も。
・それなりに名が知られている中では、長谷川騎手が一昨年22勝から3勝まで落ち込みました。騎乗数も昨年のおよそ60%と落ち込んではいますが、とにかく今年はずっと不調でした。
・ずっと不調といえば柴山騎手もそう(30勝→14勝)で、年々勝ち星を減らしています。騎乗レース数は微減なのに勝利は半分以下。重賞2着など見せ場も作っていますが、波に乗るところまではいきませんでした。今年が正念場でしょうか。
ダービージョッキー石橋守騎手も16勝→5勝とダウン。8月あたまに勝ってから未勝利です。
 
・騎乗レース数だけ見ても伊藤工騎手がジャンプアップ。デビュー年の4.5倍以上の騎乗数。09年スタートの時点で関東3kg減のファーストチョイスですからね。当然の結果ではあります。
・3年目だった池崎騎手も1.84倍に。ただ、勝ち星は2勝→3勝と漸増にとどまり、チャンスをものにできなかった印象。チャンス云々以前に、馬の質に問題があるのですけど。
・田辺騎手、宮崎騎手も前年比1.63倍の騎乗数。この2人にとっては、2009年は本当にいい年でした。
・平地競走の騎乗が3倍以上(22→71)になった柴田大騎手、平地の増分がほぼそのまま上乗せされた形で騎乗数前年比1.61倍。
 
・騎乗数の割に勝てていない…という騎手もいます。例えば中谷騎手、騎乗数はちょうど倍になりましたが勝ち星は4勝→1勝。同様に林騎手や金折騎手も騎乗増の割に勝ち星を減らしていますが、中谷騎手含め1桁勝利の中での話ではあります。
・そこそこ勝っていた中でいきますと、飯田騎手が騎乗数1.14倍、勝ち星0.84倍(19勝→16勝)。最近荒川厩舎でも乗ってるのに…と思っていたら、荒川厩舎管理馬への騎乗は08年から減ったんですね。また、小野厩舎管理馬への騎乗が増えていますが、小野厩舎の有力馬は上位騎手が騎乗するので彼にはあまりいい馬が回りません。そのあたりが影響している感じです。
・小林徹騎手が騎乗数1.09倍、勝ち星0.69倍(16勝→11勝)。最近は騎乗がない日も珍しくないのですが、それでも一昨年より増えていたんですね。と、08年は北海道で怪我をして2ヶ月休んだのを忘れていました。それなら増えて当然ですが、休んでいた期間を思うと実質減ですか。勝ち星減は、得意の北海道、昨年は札幌だけでしたが、そこで2勝に終わったのが影響しましたね。
・後藤騎手は騎乗数は1.02倍とほとんど変わらない中、勝ち星が0.69倍(107勝→74勝)と3割減。それでも74勝なら普段の後藤騎手、と言えなくもないですが、06年から3年連続100勝超えだったことを思うと落ち込んでいます。彼の持ち味は良くも悪くも積極的な騎乗と理解していますが、昨年は積極性が少し薄れていたように思います。
・他、(勝利数の前年比)÷(騎乗数の前年比)で出した実質勝利数の前年比(例えば、勝利数が半分になっても騎乗数が1/4なら実質勝利数は2倍です)が0.7倍を切った主な騎手は上村騎手(30勝→16勝)、小野騎手(16勝→9勝)、武幸騎手(34勝→18勝)、田中健騎手(24勝→12勝)、中村騎手(19勝→8勝)、大庭騎手(14勝→3勝)。
・吉田隼騎手(66勝→45勝)、鮫島騎手(36勝→22勝)、大野騎手(23勝→17勝)、浜中騎手(73勝→50勝)、津村騎手(28勝→16勝)といった先々期待の若手騎手がそろって実質勝利数前年比0.75倍前後なのが気になるところです。
 
・最後に飛躍云々とは関係ありませんが、年間騎乗数について。内田騎手が岩田騎手の持っていた年間952回騎乗を更新したということは周知のとおりで、最終的に975回まで伸ばしたのですが、幸騎手も968回と、隠れた大記録を樹立しています。