中央競馬のためにならない話

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昨年飛躍した厩舎・沈んだ厩舎

騎手と同様、昨年の各厩舎の成績を一昨年のそれと比較して、飛躍の度合いや沈み具合を見てみます。厩舎は開業したてでない限り、出走数が安定するので、主に勝ち星で見ます。

・勝ち星の前年比で行けば、高橋隆厩舎が前年比5倍でトップですが、1勝→5勝なのであまり飛躍という感じではないですね。むしろ一昨年が勝てなさすぎだったというか。
・次いで村山厩舎、4勝→19勝で前年比4.75倍ですが、ここは2年目で出走数もほぼ同じ割合で増えてますからね。この19勝という数字が、今後の厩舎の増減を見るうえでの基準になりそうです。
・他、出走数が大きく変わらなかった若手では羽月厩舎(9勝→18勝)、小笠厩舎(13勝→23勝)、松永幹厩舎(16勝→26勝)といったあたりが目に付きます。ワンダースピード号やレッドディザイア号のような大看板がいると自然と厩舎の意気も上がりそうですが、2厩舎に比べ看板馬がやや小粒な小笠厩舎の伸びが光ります。
・勢司厩舎が17勝→32勝と、そこそこ勝っている厩舎の中ではいちばんの躍進を遂げています。開業以来の最多勝利で、5歳以上の勝利はわずか1勝、ほとんどが若い世代によるもので今年も勢いを持続できそうです。
・10勝以上の上積みがあった上記以外の厩舎は安田厩舎(27勝→39勝)、久保田厩舎(27勝→38勝)、中竹厩舎(26勝→37勝)、二ノ宮厩舎(21勝→32勝)、堀厩舎(20勝→31勝)、伊藤圭厩舎(16勝→26勝)、大橋厩舎(14勝→24勝)、鹿戸厩舎(15勝→26勝、ただし出走数もほぼ同率で増)あたり。
・躍進とか飛躍という感じではなくもはや常勝厩舎ではありますが、藤沢和厩舎(44勝→56勝)や矢作厩舎(35勝→47勝)も10勝以上の上積みがありました。
・10勝以上上積みができた厩舎を見ると、やはり看板馬がいるのは大きいのかなと思わせるものがあります。看板馬一頭で何勝もできるものではありませんが、オープンでも上位を張れる馬を育てているという実績が若駒集めにも有利に働いているように思います。
・伊藤圭厩舎は実は9月末までに26勝しており、年間最多記録(28勝)の更新を目前にしていたのですが、そこから大失速となってしまいました。
・8年目、通算75勝のうち24勝を1年で稼いだ大橋厩舎の伸びが少々意外です。勝ち馬が15頭、まんべんなく勝利を挙げている様子。24勝といえば、昨年だと昆厩舎、坂口大厩舎、戸田厩舎、鮫島厩舎などですからね。地味な血統、地味な馬主が多い中、大健闘ですね。
 
・勝ち星を大きく減らした厩舎として目に付くのが宮厩舎(29勝→15勝)、鮫島厩舎(38勝→24勝)、上原厩舎(22勝→9勝)、堀井厩舎(20勝→8勝)。
・宮厩舎は数年前に戻ったと言えなくもないですが、ここ数年順調に勝ち星を伸ばしていただけに残念。厩舎の看板となるはずのタガノエルシコ号が休養、コパノジングー号も降級後いまいち、レインダンス号は最後に勝ったのは07年なのであまり影響がなさそうですが、あと頼れるのがアウトクラトール号くらいとなると少し寂しいです。今年はコスモファントム号がどこまでやれるか、でしょうか。一昨年自厩舎で7勝を挙げた藤岡康騎手が昨年2勝に終わったというのも影響していそう。
・鮫島厩舎の場合、マコトスパルビエロ号が交流重賞に回ったのがある程度影響していますかね。あと、レインボーペガサス号、ホワイトピルグリム号、メイショウキトリ号、シルクウィザード号といった次代の厩舎を担う面々がいまいちだったり休養していたりというところが大きい感じ。これらの馬が復調してくればまた30勝台には乗せられそう。もっとも24勝という数字でも十分だとは思いますが。
・上原厩舎は厩舎開業以来の大スランプを経験しましたが、プレミアムボックス号がまだやれるところを見せていますし、ダイワメジャー号を擁していた頃でも20勝していなかった厩舎なので、本来は15勝前後できていればいいのかもしれません。
・堀井厩舎はここ数年は20勝程度で安定していたので、突然落ちてきた感じ。3歳馬の勝ち上がりがいまのところゼロと、ちょっとやばいです。しばらく苦しいかも。
・他、10勝以上減らした厩舎は池江寿厩舎(51勝→40勝)、崎山厩舎(24勝→13勝)、菅原厩舎(16勝→6勝)、須貝彦厩舎(13勝→3勝)。池江寿厩舎は08年末、リーディング争いで管理馬を無理使いしたところがあるので仕方ないですね。40勝は十分すぎるところ。須貝彦厩舎はあと1年ちょっとで定年なので店仕舞いが進んでいるのでしょうかね。
・全体的に見ると、リーディング上位の常連厩舎や気鋭の厩舎が大きく勝ち星を伸ばしたり、現状維持でこらえている一方、一桁勝利に落ち込んだ厩舎が微増。今年から制度が変わるようですが、成績によって馬房が増減するメリット制の影響が出ているようにも思います。