3月に競馬学校騎手課程の26期生6名がデビューして2ヶ月、8週が過ぎました。崎山厩舎の全面的なバックアップを得て完全に軌道に乗った高倉騎手、三浦騎手らと同期入学ながら随分と遠回りした平野騎手が勝利を挙げたほかは未勝利、それも川須騎手がたまに馬券圏内に突入するくらいとけっこう苦しんでいる印象です。4月を終えても新人騎手が勝てないのはわりと大変なような気がしますが、これまでの新人騎手も案外とそういう感じかもしれません。そこで、今年の新人騎手を21世紀に突入してからの過去10年にデビューした騎手と比較してみました。
まずは初勝利の時期について。現時点までに勝利を挙げている組、8月まで(デビュー半年以内)に勝利を挙げた組、9月以降に勝利を挙げた組に分類して、以下に示してみます。
期 | 3〜4月 | 5〜8月 | 9月以降 |
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第17期 | |||
第18期 | |||
第19期 | |||
第20期 | |||
第21期 | |||
第22期 | |||
第23期 | |||
第24期 | |||
第25期 | |||
第26期 |
ほとんどの騎手が5月に入る前に勝っています。失礼な言い方をすると「こんな騎手まで!」という騎手も4月末までに勝っています。4月を終えて6人中4人も残っているというのは、そもそもデビューした人数が極端に少なかった24期を除くとここ最近なかったこと。4月終了時点で未勝利騎手の方が多いというのも初めてです(23期は同数ですが)。やはりこれだけ新人騎手が勝てていないのはやばいことのように思われます。
とはいえ勝つためには乗ってナンボ。これを受け、上記騎手の4月終了時点までの騎乗数について分類してみました。騎乗数の分類は4種。週10鞍以上相当の81鞍以上、週8〜10鞍程度相当の56〜80鞍、週4〜7鞍程度相当の31〜55鞍、週4鞍以下相当の30鞍以下です。年によって開催日数が若干異なりますが、それは無視します。さてどうなりますか。
期 | ||||
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第17期 | ||||
第18期 | ||||
第19期 | ||||
第20期 | ||||
第21期 | ||||
第22期 | ||||
第23期 | ||||
第24期 | ||||
第25期 | ||||
第26期 |
…ん? 今年の新人騎手は騎乗数が少ない! だから勝てないんだ! ということを述べようとしたのですが、他の年に比べて極端に少ないわけでもないですね。のちに平地重賞を制する津村騎手や鮫島騎手も、デビュー当初はほとんど騎乗機会がなかったわけです。ただ、初勝利日の表と見比べてみると、2ヶ月で30鞍も騎乗していない騎手でも、その多くが4月末までに初勝利を挙げていることがわかります。ならば今年のメンバーの問題は単純に腕なのでしょうか?
腕ではないとした場合、他の理由を強いて挙げるとするなら騎乗馬の質ですかね。各騎手の初勝利というと、3番人気以内に支持されるような人気馬を自厩舎がきっちり仕上げて、万全の体制で騎手に引き渡してまず一つ勝たせる、というイメージが強いですが、今年の新人騎手はそもそも人気馬に騎乗する機会が少ないように思います。栗東組の2人はいい馬、勝負になりそうな馬にも騎乗していますが、美浦組の4人は正直いい馬に乗れているとは思えません(平野騎手の初勝利も単勝20倍の穴馬でしたし)。毎週の出馬表を見ても、この陣容で勝てと言われても、という印象を抱きます。一つ勝つことで自信にもなるでしょうし、自厩舎が確勝級の馬を用意してやってもいいと思うんですよね。それも、やるならデビューしたての頃にやらなければならないと思うのですけど。菅原騎手が所属する保田厩舎は厩舎経営自体やばそうな雰囲気がするくらい勝てていませんが、他の未勝利3騎手が所属する厩舎はいずれも中位以上の成績を挙げている厩舎。どうして確勝級の馬に乗せてやれないのでしょう。いまはそれだけ馬主の力が大きいということでしょうか?
いずれにしても、他の年の新人騎手と比べて今年の現段階での状況を考えると、「騎乗数は意外にもそこまでひどくないが、勝てていない騎手の多さは例年にないレベル」と結論付けることができそうです。今週末からは福島に引き続き関東メインのローカル、新潟開催がスタート。ローカル戦線の中心である中舘騎手が騎乗停止になったこともあり、何とか新人騎手にもチャンスが回ってくるようにと願わずにいられません。池崎騎手や大江原騎手のように、翌年の春になってもまだ勝てていないなんて見たくない。