中央競馬のためにならない話

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減量が取れて以降未勝利のまま引退した騎手

田面木騎手、穂苅騎手とともに、11月末付けで千葉騎手の引退が発表されました。千葉騎手は12月いっぱいで引退という噂はあったものの、11月とは思っておらず、正直戸惑っているところです。
弊ブログでも何度か触れたことのある千葉騎手は、ここ最近全く勝てておらず、騎乗自体が激減している状態でした。エルムSに向けた最終追い切りではローマンレジェンド号の調教をつけ、これは藤原英厩舎からご褒美依頼があるか?と思ったものの、結局なかったですね…。夏のローカル開催くらい乗せてやっても、と外野としては思うものですが、いろいろと事情があったのでしょうか。そのへんは何とも言えないところがあります。千葉騎手の最終勝利は実に2008年末、まだ3kg減だった時期で、減量特典がなくなってからはとうとう未勝利のまま引退となりました。
この「減量特典がなくなってから未勝利のまま引退」というパターンはそうそうないのではないか、もしかして初のケース?とも思ったので、1986年以降に騎乗のあった騎手で調べてみました。全くいないわけでもありませんでした。デビュー順です。

騎手デビュー年通算勝利減量時騎乗数減量なし騎乗数引退年
大宮竜一198326577161989
小谷祐司198611500871994
田村真来1996 9419112001
板倉真由子1997 1209372001
野崎孝1998 3141132001
船曳文士200620570642010
千葉直人2006248001842012
※大宮騎手、小谷騎手の騎乗時は減量期間が長かった模様。大宮騎手は1988年末まで、小谷騎手は1992年2月末まで減量特典付きで騎乗している。
※減量特典がなくなる前に騎手免許を抹消した井西泰政騎手、大沢辰也騎手、押田純子騎手、竹本貴志騎手、福有稔騎手、森勝義騎手を除く。
※減量時騎乗数は、減量特典のある期間の騎乗数。この間の特別競走騎乗を含む。


過去の騎手は、減量期間中にある程度先が見えていて、減量が取れたらやっぱりいまいちだった、という感じで早めに見切りをつけたような減量前後での騎乗数差ですが、千葉騎手の場合、減量最終年で20勝と勝ち星が一気に伸びたこともあって、なかなか踏み切れなかったところがあるのかなと想像します。踏み切る踏み切らないというより、競馬学校で研鑽を積んで選択した職業なのだから、このできるだけ長くやるという姿勢が本来の姿なのかもしれませんが。
まあ、減量が取れてからでも勝てないわけではない騎乗馬だったのは事実だと思います。手が合っていたチノハテマデモ号やイサミチェリー号、そこまで人気はなかったけれど条件的にチャンス十分だったアサギリ号、1番人気も背負ったアルセーヌシチー号…。極めつきは昨秋から今春まで何度も騎乗したパイライトパワー号ですね。懇意の馬主らしい西森鶴氏が千葉騎手を勝たせるために用意した馬のようで、中央の全レースに千葉騎手が騎乗したわけですが、いつも展開と真逆の位置取りになって掲示板止まりと、未勝利戦を脱出できませんでした。パイライトパワー号の戦績を確認したら、地方で2勝を挙げて中央に戻ってきています。復帰戦は近そうなのに、騎乗せずに引退してしまうのでしょうか。もったいない。
引退後は調教助手に転向するという千葉騎手、幸いというか何というか、人柄は競馬サークル内で受けがいいと何かで見たような記憶があります。調教技術やインタビューの受け答えの評価はわかりませんが、人当たりの良さからするとむしろ調教助手の方が向いているのかもしれません。第二の人生に幸多からんことを。