中央競馬のためにならない話

客観的事実・データから妄想を繰り広げます。

ツイッター@horsedatacも少しやってます

最終騎乗を勝利で飾った騎手

2月は競馬サークルでは年度末ということで、例年引退騎手、引退調教師が多く出る時期です。今年は7名の騎手が引退、そのうち高橋亮騎手は調教師試験に合格したため、調教師転身のため自動的に引退するパターン。12月の調教師試験の合格発表後も騎乗を続け、最終騎乗は抽選を突破して遠征した日曜のブラッドストーンS、ニシオドリーム号を見事勝利に導き、自身の引退に華を添えました。
先週の伊藤直騎手や田中克騎手の活躍でも見られるように、引退がわかっている騎手には関係者が勝てそうな馬を用意することがままあります。ただ、それで実際に勝てるかどうかはまた別。勝った例はあまりないように思います。松永幹騎手の阪急杯優勝→最終レースも連勝して通算1400勝を達成、という劇的なケースは印象に残っていますが、最近だとそのくらいのような…。
ということで、1986年以降に騎手免許を抹消した騎手で、最終騎乗(結果的に最終騎乗になったケースも含む)が優勝だった例を調べてみました。以下のとおりです。


騎手最終騎乗日該当レース最終騎乗馬人気
中西武信 1986.2.23 阪神10Rアドバンスボーイ 15
嶋田功  1988.2.28 東京 9Rアイビートウコウ 2
伊藤稔 1990.2.18 京都 6Rユートジョージ 6
田所秀孝 1995.2.26 京都 1Rマーチンチェリー 3
五十嵐久 1995.4.9 中山 5Rネイビーソルジャー9
長峰一弘 1995.9.24 中山 8Rパンペロウ 5
牧ノ瀬幸夫1996.2.25 中山12Rシャイニースター 5
大崎昭一 1998.6.27 阪神 9Rフィールドプロスパ7
町田義一 1998.9.26 札幌 1Rマイネルジェントル1
古小路重男1998.12.20阪神 5Rテイエムモンスター5
南井克巳 1999.2.28 中京11Rリキアイワカタカ 1
田島信行 2002.2.24 阪神 4Rジェットセッター 4
古川寛和 2004.2.28 中山 5Rアルファダンジグ 6
松永幹夫 2006.2.26 阪神12Rフィールドルージュ1
高橋亮 2012.2.26 中山10Rニシオドリーム 1


1986年以降に騎手免許を抹消した騎手は全部で327人、最終騎乗で勝利した騎手はうち15人。約22人に1人ですから、16〜18頭フルゲートの場合の1着の単純な確率よりは若干低めになりますね。
傾向は様々。一流騎手だからといって最後を飾れるわけではなく、ファンの記憶が薄れているような騎手でも最終騎乗で勝利を飾ることがままあるようです。特に長峰騎手は通算勝利がわずか25勝の騎手。このような騎手でも、最終騎乗で優勝することがあるんですねえ。
人気を見ると、近年は最終騎乗馬が人気になるケースが多くなっているものの、馬の実力を考えると人気も当然、ということを考えると、ご祝儀(餞別?)で単勝が売れるというのはあまりないのかなと思えます。馬券を買っただけで、その騎手の収入になるわけではないですからね。人気については327人分の最終騎乗馬を分析しなければならないのでしょうが、そこまでの手間をかける余裕が現在はないです。
時期としては、最近は減少傾向。90年代は多く、95年や98年のような当たり年もありましたが、21世紀に入ってからは今回でやっと4例目。前回から6年のブランクは、過去最大です。定年を前に解散する厩舎が多くなっているように、厩舎経営の厳しさゆえに、勝てそうな馬はできるだけ勝てそうな騎手に、という流れになっているからなのかもしれません。推測の域を出ないですが…。


さてこうなると、調教師はどうなのかということになるかと思います。したがって、次回は調教師編です。