先週の秋の天皇賞を優勝したのはジャスタウェイ号、個人的にはかなり驚きの結果だったのですが、単勝5番人気に支持されていたというのは世の中には馬券のプロが多いというか何というか…。
ところで天皇賞は伝統のレースであるからして、それまで何勝もしていて当たり前、わずか2勝、昨日の勝利が通算3勝目というジャスタウェイ号が優勝する、というのは極めて珍しいことのように思います。天皇賞云々以前に、古馬平地GIを2勝馬が優勝すること自体珍しいのではないでしょうか。もちろん、安田記念を通算1勝で制したリアルインパクト号の例はありますが、3歳馬、デビューから1年も経っていない、という事情がありましたよね。
ということで、JRAの古馬平地GIを初優勝した際の通算勝利数が少ない馬を調べてみました。地方馬・海外馬を除いた1986年以降のJRAの古馬平地GIの優勝馬は176頭いますが、そのうち3勝以下で優勝した馬を以下に挙げます(条件戦の特別競走はレース名を省きました)。
馬名 | 年齢 | 優勝時成績 | 優勝レース | 1勝目 | 2勝目 | 3勝目 |
---|---|---|---|---|---|---|
リアルインパクト | 3歳 | (1.2.1.1) | 安田記念 | 新馬 | − | − |
フサイチパンドラ | 3歳 | (2.2.4.2) | エリザベス女王杯 | 新馬 | 3歳500万下 | − |
ジャスタウェイ | 4歳 | (2.5.1.7) | 天皇賞・秋 | 新馬 | アーリントンC | − |
リトルアマポーラ | 3歳 | (3.0.0.4) | エリザベス女王杯 | 新馬 | 2歳500万下 | クイーンC |
エリモシック | 4歳 | (3.2.2.8) | エリザベス女王杯 | 新馬 | 3歳500万下 | 3歳以上900万下 |
アドマイヤマックス | 6歳 | (3.2.4.7) | 高松宮記念 | 新馬 | 東京スポーツ杯2歳S | 富士S |
スズカマンボ | 4歳 | (3.3.1.7) | 天皇賞・春 | 未勝利 | 萩S | 朝日チャレンジカップ |
エイシンアポロン | 4歳 | (3.4.0.6) | マイルCS | 未勝利 | 京王杯2歳S | 富士S |
マイネルラヴ | 3歳 | (3.4.1.3) | スプリンターズS | 新馬 | 2歳500万下 | セントウルS |
ハーツクライ | 4歳 | (3.4.2.6) | 有馬記念 | 新馬 | 若葉S | 京都新聞杯 |
ヴィルシーナ | 4歳 | (3.5.1.1) | ヴィクトリアマイル | 新馬 | 2歳500万下 | クイーンC |
ヒルノダムール | 4歳 | (3.5.1.4) | 天皇賞・春 | 未勝利 | 若駒S | 産経大阪杯 |
ダンスパートナー | 4歳 | (3.6.1.4) | エリザベス女王杯 | 新馬 | 優駿牝馬 | 京阪杯 |
ローレルゲレイロ | 5歳 | (3.7.2.9) | 高松宮記念 | 新馬 | 東京新聞杯 | 阪急杯 |
これだけです。176頭中14頭ということで全体の8%、見ようによっては多い、とも言えますが、少ないと見るべきではないでしょうか。
4歳の2勝馬が古馬GIを優勝したのは、少なくとも過去30年近くなかった珍事。3歳馬を含めても、通算2勝以下で古馬GIを優勝したのは今回のジャスタウェイ号で1986年以降3度目のようです。通算勝利の少ない馬が優勝する古馬GIは、上記を見た感じではエリザベス女王杯が筆頭、次いで春の天皇賞、高松宮記念あたりがあるようですが、最強馬決定戦の趣のある秋の天皇賞がこの中に入るのにはやはり違和感があります。
秋の天皇賞の優勝馬に限定して、それまでの通算成績を見てみると以下のようになります。
馬名 | 年齢 | 優勝時成績 |
---|---|---|
ジャスタウェイ | 4歳 | (2.5.1.7) |
バブルガムフェロー | 3歳 | (4.0.2.0) |
スーパークリーク | 4歳 | (4.1.2.3) |
シンボリクリスエス | 3歳 | (4.2.2.0) |
エイシンフラッシュ | 5歳 | (4.3.4.8) |
ゼンノロブロイ | 4歳 | (4.4.2.2) |
ニッポーテイオー | 4歳 | (4.6.2.2) |
サクラユタカオー | 4歳 | (5.1.0.3) |
ダイワメジャー | 5歳 | (5.4.1.8) |
1986年以降の秋の天皇賞の優勝馬27頭で、通算5勝以下で優勝したのは上記9頭。半数以上が6勝以上を挙げており、繰り上げ優勝のプラクラスニー号でも優勝時点で6勝馬でした。最多はカンパニー号の10勝です。過去のデータ的には最低4勝は欲しい、という感じでしたが、ジャスタウェイ号がそれをあっさり覆してしまいました。
1986年以降の秋の天皇賞の優勝馬、ジャスタウェイ号を除く26頭のその後の戦績を見ると、11頭が異なるGIを優勝、19頭がGIで馬券圏内に入っており、GIで馬券対象にならなかったのは7頭のみと少数派と、秋の盾は基本的に強豪馬のもの。ジャスタウェイ号はここまで重賞2着5回が示すようにGIIIでも勝ち切れないキャラでしたが、GIを優勝した以上は今後GI・GIIを中心に戦うことになるでしょう、そのときGIでどこまで勝負になるでしょうか。距離適性的に、マイルCSや安田記念なら出番があってもよさそうですが、果たして。