異なる競馬場での同一JRA重賞制覇

この時期は本来中京開催が行われていますが、中京競馬場が改装中のため、代替で小倉開催が行われています。そんな代替開催で日曜に開催された愛知杯を優勝したのは、2年前の覇者、セラフィックロンプ号。先週、中日新聞杯でサンライズマックス号やヤマニンキングリー号が挑んで叶わなかった「異なる競馬場での同一JRA重賞制覇」を見事に成し遂げました。そもそも同一重賞制覇や連覇ということが少ない中で、代替開催にならない限り可能性のない異なる競馬場での同一重賞制覇というのは、かなり珍しいケースのはず。すぐに思い出されるのは秋の天皇賞のシンボリクリスエス号ですが、他にはあるのでしょうか。1986年以降の重賞で根こそぎ調べてみました。

馬名	優勝レース	1勝目	2勝目以降
リキアイノーザン	京都牝馬S	89京都（本田）	90阪神（武豊）
ダイタクヘリオス	マイラーズC	91中京（武豊）	92阪神（岸）
メジロマックイーン	阪神大賞典	91中京（武豊）	92阪神（武豊）
ナリタブライアン	阪神大賞典	95京都（南井克）	96阪神（武豊）
ベストタイアップ	中山金杯	96東京（横山典）	97中山（岡部）
サイレントハンター	新潟大賞典	98新潟（吉田豊）	01福島（吉田豊）
ダイワテキサス	関屋記念	98新潟（蛯名正）	00福島（北村宏）
サウスヴィグラス	根岸S	02東京（柴田善）	03中山（柴田善）
ブレイクタイム	京成杯オータムハンデ	02新潟（松永幹）	03中山（松永幹）
シンボリクリスエス	天皇賞・秋	02中山（岡部）	03東京（ペリエ）
カネヒキリ	ジャパンカップダート	05東京（武豊）	08阪神（ルメール）
コウエイトライ	阪神ジャンプS	06中京（小坂）	07〜08・10阪神（小坂）
セラフィックロンプ	愛知杯	08中京（宮崎）	10小倉（宮崎）

以上13頭です。多いと見るか少ないと見るかは人によると思いますが、代替開催自体がそうそうないことを思うと意外と多いなあという印象を持ちました。セラフィックロンプ号のケースは、牝馬としてはリキアイノーザン号、コウエイトライ号に続く3例目、同一騎手による記録達成としてはメジロマックイーン号、サイレントハンター号、サウスヴィグラス号、ブレイクタイム号、コウエイトライ号に続く6例目、ハンデ戦としてはベストタイアップ号、サイレントハンター号、ブレイクタイム号に続く4例目、連覇ではないケースとしてはダイワテキサス号、サイレントハンター号、カネヒキリ号に続く4例目、重賞優勝はこの2勝のみという例ではブレイクタイム号に続く2例目*1というなかなかのレアケースのようです。セラフィックロンプ号は来年も現役続行のようで、来年の愛知杯も優勝するようなら、同一重賞3勝、しかも代替開催の方が多く勝っているという椿事になります。どうなるでしょうか。

中京開催は来年もお休み。このため、中京開催の重賞優勝馬には、異なる競馬場での同一重賞制覇のチャンスがあります。少し前の代替開催の重賞優勝馬を含めると、来年のチャンスは以下のレースになるようです*2。

対象レース	過去の優勝馬（現役のみ）
小倉大賞典	オースミスパーク（10中京）
中京記念	サクラオリオン（09）、シャドウゲイト（10）
高松宮記念	ファイングレイン（08）、キンシャサノキセキ（10）
金鯱賞	サクラメガワンダー（09）
東海S	メイショウトウコン（07）、ヤマトマリオン（08）、ワンダースピード（09）
CBC賞	シンボリグラン（05）
函館スプリントS	グランプリエンゼル（09札幌）
プロキオンS	メイショウバトラー（06中京）
函館記念	サクラオリオン（09札幌）
エルムS	マチカネニホンバレ（09新潟）
シリウスS	メイショウバトラー（06中京）
中日新聞杯	トーホウアラン（06）、サンライズマックス（07）、ヤマニンキングリー（08）、アーネストリー（09）

※今年の中京代替開催の重賞は、来年も同一場で開催されるため省略。

来春高橋成厩舎が解散となるメイショウバトラー号などは来年も現役続行かは怪しいですが、現時点での現役馬ということで挙げておきました。ハンデ重賞が多いだけに、そもそも出走しない、ということも多いですが、上記のレースに対象馬が出走してきたら注目してみてもよいかもしれません。実現の可能性が最も高いのは高松宮記念のキンシャサノキセキ号でしょうか。順調なら出走は濃厚。優勝すれば、GIでは3例目の「異なる競馬場での同一JRA重賞制覇」となります。

*1:サウスヴィグラス号はJRA重賞は2勝のみですが、交流重賞優勝多数

*2:集計漏れの可能性あり