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騎手の平地GI初騎乗レース

週末の皐月賞では、丸山騎手がカフナ号にてGI初騎乗の予定。デビュー年は10勝にも満たなかったものの、昨年は年間100勝に迫ろうかという大ブレイク。今年も年明けの騎乗停止をものともせず、着々と勝ち星を積み重ねている丸山騎手にとっては、主戦場がローカルということもあるにせよ、ここでGI初騎乗というのは少し遅い印象。ただ、その舞台がクラシックとあっては本人としても晴れがましい思いでしょうし、緊張が多分にありつつも気合も入っていることでしょう。
丸山騎手はこれから平地GIの常連になりそうな将来期待の若手騎手でありますが、現在GIで常連の騎手も、みなGI初騎乗というレースはあったわけです。それがどのレースなのか、1986年以降デビューの騎手(競馬学校出身者のみ)について、平地GIを対象に見てみました。以下の平地GI競走の並びは、本年の開催順に則ったものです。


レース名騎手(GI初騎乗時点のデビュー以来の通算年数)
フェブラリーS小林慎一郎(11年目)横山義行(9年目)
高松宮記念川島信二(3年目)酒井学(4年目)鈴来直人(3年目)竹之下智昭(7年目)津村明秀(6年目)穂苅寿彦(10年目)
桜花賞石山繁(6年目)上村洋行(2年目)大庭和弥(9年目)小野次郎(6年目)沢昭典(7年目)四位洋文(4年目)柴田大知(2年目)田嶋翔(6年目)千田輝彦(3年目)松岡正海(3年目)松永幹夫(2年目)
皐月賞蛯名正義(3年目)梶晃啓(3年目)浜野谷憲尚(5年目)丸山元気(3年目・予定)武藤善則(4年目)横山典弘(3年目)吉田豊(3年目)渡辺薫彦(3年目)
天皇賞・春荻野琢真(3年目)小原義之(10年目)塩村克己(2年目)幸英明(2年目)
NHKマイルC伊藤工真(3年目)植野貴也(5年目)北村宏司(2年目)郷原洋司(7年目)後藤浩輝(6年目)柴田未崎(4年目)高橋亮(2年目)武士沢友治(6年目)古川寛和(16年目)
ヴィクトリアマイル北村友一(3年目)生野賢一(7年目)柄崎将寿(8年目)中村将之(3年目)的場勇人(3年目)丸田恭介(4年目)宮崎北斗(3年目)
優駿牝馬大野拓弥(3年目)菊沢隆仁(4年目)北沢伸也(3年目)熊沢重文(3年目)小林淳一(9年目)西田雄一郎(15年目)橋本広喜(2年目)
東京優駿川田将雅(3年目)高橋明(8年目)横山雄一(4年目)
安田記念五十嵐雄祐(4年目)土谷智紀(6年目)
宝塚記念なし
スプリンターズS勝浦正樹(2年目)河北通(3年目)小林久晃(4年目)佐伯清久(2年目)嶋田高宏(6年目)水流添久(3年目)三浦皇成(1年目)吉永護(3年目)
秋華賞池添謙一(3年目)菊地昇吾(3年目)北村浩平(3年目)柴原央明(2年目)高田潤(6年目)常石勝義(2年目)浜中俊(2年目)福永祐一(1年目)藤岡康太(2年目)吉田隼人(3年目)
菊花賞秋山真一郎(2年目)池田鉄平(2年目)石橋脩(3年目)嘉藤貴行(3年目)武豊(1年目)田中博康(2年目)古川吉洋(2年目)松山弘平(2年目)
天皇賞・秋内田浩一(3年目)江田照男(2年目)菊沢隆徳(6年目)藤原英幸(10年目)
エリザベス女王杯飯田祐史(1年目)岡潤一郎(2年目)岸滋彦(1年目)国分恭介(2年目)鮫島良太(2年目)芹沢純一(1年目)武英智(4年目)角田晃一(1年目)難波剛健(9年目)二本柳壮(2年目)
マイルチャンピオンシップ清山宏明(3年目)小池隆生(2年目)小林徹弥(3年目)武幸四郎(1年目)太宰啓介(1年目)田中勝春(2年目)
ジャパンカップなし
ジャパンカップダートなし
阪神ジュベナイルフィリーズ久保田英敬(4年目)小坂忠士(8年目)佐藤哲三(3年目)田中克典(3年目)田中健(4年目)野元昭嘉(4年目)長谷川浩大(2年目)藤田伸二(1年目)宝来城多郎(7年目)松田大作(3年目)
朝日杯フューチュリティS伊藤直人(7年目)伊藤暢康(2年目)田辺裕信(9年目)徳吉孝士(2年目)橋本美純(3年目)藤岡佑介(1年目)牧田和弥(6年目)村田一誠(3年目)村山明(6年目)安田康彦(2年目)和田竜二(1年目)
有馬記念なし
平地GI未騎乗97名

※西田騎手は最初のデビュー年からの通算で、返上期間を含んだ年数。エリザベス女王杯は3歳限定時を含む。水流添騎手は騎乗時点の姓。


もともとは丸山騎手のようにクラシックが平地GI初騎乗って珍しいのではないか、他にクラシックが平地GI初騎乗だった騎手はどのくらいいるのか、という疑問が出発点で、いっそのこと全員を対象に、としたのが今回の経緯であります。
見てみると、初めての平地GIがクラシック、という騎手は別に珍しくはないですね…。東京優駿は賞金を持っている(≒前哨戦で活躍している)馬が多いせいか、さすがにここで初平地GIという騎手が少ないですが、他のクラシック4レースについてはそれぞれけっこう多いです。もちろん、秋華賞も同様です。現在阪神ジュベナイルフィリーズ朝日杯フューチュリティSとして開催されている2歳GI2つで初の平地GI騎乗となった騎手も多いです。これは抽選突破でたまたま騎乗できたという例が多そう。阪神JFの小坂騎手などまさにそのパターンですよね。また、新設まもないヴィクトリアマイルが既にけっこうな人数を輩出している様子。今後もこのレースで初平地GIという騎手が増えるかもしれません。
このレースが初の平地GI、という騎手がここ25年でいなかったのは宝塚記念ジャパンCジャパンCダート有馬記念の4レース。春秋グランプリはファン投票があって、平地GIに騎乗経験のない騎手が入り込む余地は少ないですし、ジャパンC関係も外国馬の参戦で日本馬の枠が減りがち。格としてもこのレースで平地GI初騎乗、というイメージはないですね。
平地GI初騎乗時の経験年数に目をやると、3年目で初騎乗という事例が多いです。GIに騎乗したことのあるほとんどの騎手が2〜4年目で一度は経験しているようです。3年目となると順調に成長しているなら若手騎手の平地GI騎乗内規である31勝はクリアしていますから、なら一度乗せてやろうという空気があるのかな、と推測します。逆に、10年以上騎乗していてようやく初平地GI、という例は非常に少ないです。10年選手で平地GIに騎乗したことのない騎手は、以後も騎乗する機会はなさそうです。
なお、平地GI初騎乗で勝利しているのは熊沢騎手、あと江田照騎手(繰り上げ優勝)の2人です。