中央競馬のためにならない話

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重賞初優勝時の人気

今週末の函館2歳Sではコスモメガトロン号が丹内騎手鞍上で出走予定。先日の函館記念マイネルスターリー号で優勝を逃した丹内騎手にとって、ここが重賞初優勝の最大のチャンス。少なくとも馬のデキについては「不安はない」そうで、1番人気が濃厚です。となると、枠順等はもちろんのこと、鞍上が人気のプレッシャーに耐えられるか、ということが焦点になりそう。函館記念で一度経験しているとはいえ、重賞未勝利の状態で重賞で1番人気、というのはけっこうなプレッシャーなのではないでしょうか。
思えば現在重賞で優勝を重ねている騎手たちは、初めての重賞優勝時はほどほど〜人気薄だったことが多いような気がします。つまり、1番人気で初重賞、というのはそんなにないのではないか、と。なので調べてみました。1986年以降にデビューした騎手(地方出身騎手、地方騎手、外国人騎手、横山賀騎手を除く)が初めて重賞で優勝したときの人気を、人気順、グレード別に以下に示します。

人気GIGIIGIII障碍
1番人気 飯田祐史石山繁武士沢友治田中博康常石勝義福永祐一藤田伸二北沢伸也西谷誠
2番人気吉田豊橋本美純野元昭嘉丸山元気三浦皇成幸英明山田泰誠渡辺薫彦林満明穂苅寿彦宗像徹村山明
3番人気 北村友一小原義之郷原洋司佐藤哲三鮫島良太柴田大知高橋亮田辺裕信角田晃一浜中俊藤原英幸牧田和弥松永幹夫安田康彦五十嵐雄祐金折知則菊地昇吾白浜雄造横山義行
4番人気 岡潤一郎河北通国分恭介田中健藤岡康太藤岡佑介横山典弘江田勇亮
5番人気 秋山真一郎小林淳一酒井学千田輝彦津村明秀西田雄一郎小坂忠士佐久間寛志
6番人気 武豊小野次郎北村浩平芹沢純一長谷川浩大武藤善則高田潤山本康志
7番人気古川吉洋 北村宏司生野賢一鈴来直人田嶋翔宝来城多郎吉田隼人岩崎祐己植野貴也
8番人気 四位洋文高橋明伊藤直人菊沢隆徳清山宏明徳吉孝士和田竜二蓑島靖典
9番人気 小林徹弥菊沢隆仁塩村克己高山太郎太宰啓介田中勝春二本柳壮橋本広喜 
10番人気熊沢重文 上村洋行内田浩一蛯名正義勝浦正樹小池隆生後藤浩輝松岡正海今村康成
11番人気 荻野琢真武幸四郎石橋脩川島信二川田将雅小林慎一郎村田一誠浜野谷憲尚
12番人気  池添謙一高野容輔丸田恭介中村将之
13番人気    
14番人気  江田照男 
15番人気    
16番人気  宮崎北斗 
17番人気    
18番人気    
19番人気〜岸滋彦   


初の重賞優勝を1番人気で飾った騎手は9人。多いか少ないかというのは微妙ですが、思ったよりは多い印象です。とはいえ、1番人気以外だった時の方が圧倒的に多いですね。特に3番人気で初重賞だった騎手の多いこと。馬の力はある程度認められているけど、鞍上が重賞未勝利で不安、といった感じで若干人気を落としたケースが多いのでしょうか。重賞未勝利騎手の3番人気というのは狙い目なのかもしれません。3番人気以外ではわりと満遍なく来ているようですが、さすがに13番人気以降では来た例がほとんどなく、重賞未勝利騎手がこの人気でアタマで持ってきたら事故、ということで良さそうです。


重賞未勝利騎手が1番人気を背負った場合の勝率等はどうなっているのでしょう。上記の9例を含め集計してみると、こんな感じです。手集計なので誤りがある可能性もありますが、概ねのところで…。

870830 小倉記念              トウカイローマン   武豊       5着
881009 京都大賞典            コスモドリーム     岡潤一郎   2着
891224 阪神牝馬特別          マロングラッセ     岡潤一郎   2着
900114 京成杯                クロスキャスト     古川寛和   4着
900128 京都牝馬特別          マロングラッセ     岡潤一郎   2着
910428 4歳牝馬特別          スカーレットブーケ 千田輝彦   2着
910707 七夕賞                ツルマイナス       蛯名正義   9着
911221 ラジオたんぱ杯3歳S  ノーザンコンダクト 藤田伸二   1着
921025 カブトヤマ記念        シャコーグレイド   土谷智紀   9着
941211 愛知杯                メルシーステージ   河北通     6着
951028 スワンS              ニホンピロスタディ 小林徹弥   6着
951210 愛知杯                ポジー             北沢伸也   10着
960331 クリスタルカップ      バンブーピノ       渡辺薫彦   7着
970831 小倉3歳S            タケイチケントウ   常石勝義   1着
971115 東京スポーツ杯3歳S  キングヘイロー     福永祐一   1着
980307 チューリップ賞        ファレノプシス     石山繁     4着
980314 阪神障害S            ゴッドスピード     西谷誠     1着
981107 ファンタジーS        エイシンレマーズ   幸英明     5着
981212 シリウスS            イソノウイナー     飯田祐史   6着
990912 朝日チャレンジカップ  メイショウオウドウ 飯田祐史   2着
990925 札幌3歳S            ピサノガルボ       飯田祐史   5着
991127 京阪杯                メイショウオウドウ 飯田祐史   3着
000312 4歳牝馬特別          サイコーキララ     石山繁     1着
000402 産経大阪杯            メイショウオウドウ 飯田祐史   1着
000723 小倉サマージャンプ    ヒサコーボンバー   北沢伸也   6着
000916 阪神ジャンプS        ヒサコーボンバー   北沢伸也   中止
001209 シリウスS            エイシンサンルイス 太宰啓介   2着
020608 東京ハイジャンプ      ミレニアムスズカ   北沢伸也   2着
020609 ファルコンS          タイキリオン       村田一誠   15着
020901 新潟2歳S            マルロス           村田一誠   3着
020914 阪神ジャンプS        ミレニアムスズカ   北沢伸也   1着
030330 マーチS              サンエムノヴァ     村田一誠   4着
050820 新潟ジャンプS        コアレスクレバー   穂苅寿彦   4着
060819 新潟ジャンプS        テレジェニック     金子光希   5着
060903 新潟2歳S            マイネルレーニア   石橋脩     3着
061105 アルゼンチン共和国杯  トウショウナイト   武士沢友治 1着
080713 七夕賞                カネトシツヨシオー 石橋脩     6着
090531 目黒記念              ジャガーメイル     石橋脩     2着
090606 ユニコーンS          シルクメビウス     田中博康   1着
091011 京都大賞典            ジャガーメイル     石橋脩     4着
100912 セントウルS          スカイノダン       国分恭介   6着
101120 福島記念              ディアアレトゥーサ 丸山元気   2着
110320 中京記念              ラフォルジュルネ   田辺裕信   15着
110423 福島牝馬S            スマートシルエット 田辺裕信   7着
110724 函館記念              マイネルスターリー 丹内祐次   8着

集計すると(9.9.3.24)で、勝率20.0%、連対率40.0%、複勝率46.7%でした。重賞1番人気の勝率等は、1986年から現在までで勝率31.3%、連対率48.5%、複勝率58.9%ですから、さすがに若干期待値が落ちるようです。あの武豊騎手でさえ、重賞未勝利の身で重賞1番人気になった際には勝てていませんし、そこまで気にすることはないのかもしれませんが…。


丹内騎手は実家が函館競馬場の近所、何でも実家から函館競馬場が見えるとかで、函館は地元中の地元。函館の重賞は是が非でも優勝したいことでしょう。医療ミスとも噂された長期の戦線離脱や、なかなか勝てなかった時期もありましたが、デビュー当時から評価されていた調教技術を武器にラフィアンの信頼を勝ち取り、先月はキャリアハイの戦績で上り調子と、これ以上ないタイミングで迎える重賞。大チャンスであることは間違いないですが、逆にここで勝っておかないと重賞優勝が遠のくようにも思います。果たしてどういう結果になるでしょうか。