中央競馬のためにならない話

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未勝利厩舎数の月別変遷

今年の7月終了時点での未勝利厩舎は8つ。この時期にこの数はかなり多いのでは、という印象は、先日「騎手の調子・厩舎の調子」で述べたとおりです。ただそれはあくまで印象の話。実際にどうなってるかはわかっていません。そこでこの時期の未勝利厩舎数を過去に遡って調べてみました。併せて、毎年未勝利厩舎がどのように減っていくかも見てみました。調査期間は2001年から今年まで、表の数字は各々の月の末日時点での未勝利厩舎数です。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年間未勝利厩舎
200176351911 5 3 1 1 1 1 0 0
200274311410 5 2 0 0 0 0 2 1藤岡健一(新規開業)
200390482111 5 5 4 2 2 2 0 0
200477351610 5 4 2 1 1 1 1 1浜田光正
2005744122 9 6 4 3 3 2 1 1 1中尾銑治
200677422212 9 8 5 2 0 0 0 2武市康男(新規開業)天間昭一(新規開業)
20078050251511 7 5 5 5 4 3 2大和田稔笹倉武久
200879431911 6 5 3 2 1 0 0 1牧光二(新規開業)
200972352411 910 5 3 2 2 2 2二本柳俊一和田正一郎(新規開業)
20106942231411 9 8

※未勝利厩舎数が増えることがあるのは、途中で新規開業厩舎があるため。


過去10年、傾向が大きく変わることはないですが、月々の数には微妙な違いが。7月終了時点の未勝利厩舎数に目をやると、例年5厩舎以下なのに今年は8厩舎。この時期の数としてはやはり多い、ということが言えそうです。1月は過去10年で最高の滑り出しを見せているのにこんなことになってしまいました。それだけ上位厩舎と下位厩舎との差が開いている、どんどん開いていく一方ということなのでしょうか。下位厩舎はメリット制により馬房を減らされて出走数自体絞らざるを得ない、それによって勝つチャンスが減っている、ということも影響しているように思います。年末付近の様子を見ると、10月終了時点でほぼ膠着。11〜12月に未勝利を脱出する厩舎は数えるほどしかいません。となると実質残り3ヶ月の勝負。ここからどれだけの厩舎が勝てるでしょう。


7月終了時点での未勝利厩舎を見ますと、小林厩舎、佐藤全厩舎、嶋田功厩舎、高市厩舎、高橋隆厩舎、中野渡厩舎、二本柳厩舎、吉岡厩舎*1美浦6厩舎、栗東2厩舎。美浦では嶋田功厩舎のように、わざと負けているとしか思えないような戦績の厩舎もありますが、全体的には栗東厩舎のほうが美浦厩舎より内容として数段上です。
美浦嶋田功厩舎以外の3厩舎、佐藤全厩舎・中野渡厩舎・二本柳厩舎は連対どころか複勝圏すら覚束なく、定年までまだ時間があるのにどこも深刻。佐藤全師など34歳で調教師試験に合格したエリートなのに…。こうした厩舎は上位厩舎のようにじっくり使うということもなく、中一週など短いスパンで管理馬を出走させてJRAからの収入ができるだけ多くなるようにしていると考えられるものの、入着もそうそうない状況では黒字経営など無理だろ、と心配してしまいます。


それにしてもメリット制は下位厩舎にとっては悪循環のループに陥る地獄の制度でしかないですね。いっそのこと、下位厩舎ほど馬房を増やして、上位厩舎は馬房を減らして、その分下位は預託料を下げる、上位は預託料を上げるというようにして、(馬房数)×(預託料)が全厩舎イコールになるよう調整すればいいんじゃないかなあと思うのですが。そうすると馬主にもメリットがあると思うんですよ、最近は不景気でもありますので、預託料が高いところに預けるなら安いところを選ぶ、ということもあるかもしれませんし。とはいえ、Wikipediaによれば優勝劣敗の概念を導入するための制度のようなので、多少制度が変わっても完全に撤廃されることはないのでしょう。今後もヌルく見守っていくことくらいしかできないのがもどかしいです。

*1:このうち小林厩舎と高市厩舎は先週今年の初勝利を記録