中央競馬のためにならない話

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GI競走における関東馬・関西馬の優勝

月初めのスプリンターズS、先週の秋華賞を経て、本格的な秋のGI戦線がスタートしました。春のGI戦線は、京成杯馬が東京優駿を優勝したとか、あのジャガーメイル号がGIを勝利したとか、あのダノンがGIを勝利したとか、あの柴田善騎手が右回りの、しかも関西のGIを勝利したとか、とにかく異例ずくめだったことが思い出されますね。特に、関東馬の優勝が関西馬の優勝を上回ったことは、宝塚記念終了後にスポーツ紙で述べられていたとおり13年ぶりの椿事でありました。
秋華賞も上位人気は関東馬ばかり、蓋を開けたら関東馬のワンツースリー決着。関西圏のGIなのに関東馬ばかりなのも珍しいな、そういえば春も関西圏のGIを勝ったのって関東馬がほとんどだったような?ということで、東西のGIの優勝馬の所属を見てみました。せっかくなので、21世紀以降の各年について見てみます。


 春競馬秋競馬
関東圏関西圏関東圏関西圏
関東馬関西馬関東馬関西馬関東馬関西馬関東馬関西馬
2001年34132523
2002年24223314
2003年07042305
2004年35224314
2005年15040505
2006年15131514
2007年34042514
2008年08041515
2009年17130624
2010年36400010
※春競馬は宝塚記念まで(フェブラリーS含む)、秋競馬はスプリンターズS以降。それぞれ障碍競走含む。新潟は関東圏、中京は関西圏。外国馬はカウント外。


本年の関西圏のGIは、現時点ですべて関東馬の優勝でした。関西馬が1勝もできていなかったとは…。春の関西圏のGIを関西馬が優勝できなかったのは実に24年ぶり、坂路コースが栗東トレセンにできたばかりの頃です。近年のGI優勝馬に関しては東西の開催を問わず関西勢の圧勝、関東馬の優勝は年間1〜2勝ということも珍しくないので、今年のここまでの傾向がいかに違うかがよくわかると思います。


関東馬が躍進しているのは、少し前だと調教コースにポリトラックができたからだとか、最近だと栗東留学が定着したからだとか言われていますが、実際どうなんでしょうか。それらが全く関係ない、ということはないでしょうが、個人的には調教師の年齢がひとつのポイントになっているのでは、と考えます。見ていて気付いたのですが、ここ10年でGIを優勝した関東の調教師って、優勝時点で60歳を過ぎていた例がほとんどないんですよね。関東馬の優勝は2001年以降53回ありますが、60歳以上の調教師が勝利した例は、04年春の天皇賞イングランディーレ号の清水波師(60歳2ヶ月)、04年阪神JFショウナンパントル号の大久保洋師(60歳1ヶ月)、この2例のみです。関西では松田博師や橋口師のように、60歳を過ぎてもGIを優勝する調教師も多いのですが。
関東の調教師といえば、三冠馬アパパネ号を育てた国枝師が現在55歳、凱旋門賞2着馬ナカヤマフェスタ号を育てた二ノ宮師は58歳、GI戦線常連の藤沢和師も59歳。彼らに続く、勢いのある厩舎は40代〜50代前半の調教師が率いている状況です。世代問題として片付けるのは、それはそれで短絡的、主観的ではありますが、これらの世代は栗東留学もポリトラック調教も積極的に採り入れているように、調教に対する柔軟な考え方ができていて、それが結果に結びついている印象があります。もっとも、藤沢和師は還暦を過ぎてもGIを優勝しそう*1なので関東60歳限界説はすぐ打ち破られそうですね。


今週末も関西圏でのGI競走、菊花賞が開催されます。関西馬ローズキングダム号が人気を集めそうですが、出走すれば一番人気を争ったであろうエイシンフラッシュ号が回避したことにより、クォークスター号、トウカイメロディ号あたりの関東勢もそれなりに人気しそう。引き続き関東馬の勢いが止まらないのか、関西馬がクサビを打ち込むことになるのか、果たしてどうなることでしょう。

*1:とはいえ、もう4年5ヶ月GI優勝から遠ざかっているのは気になります